35日間だけの奇跡。3冠馬3頭のワンツースリーで決まった第40回ジャパンカップ 感想




第40回ジャパンカップ(G1・東京・芝2400m・良)

いやー、いいレースでした。
素晴らしい力の力の戦い。これぞ最強馬決定戦という感じのレース。

これがラストランとなるアーモンドアイと後輩3冠馬2頭。
3頭が横並びになるシーンこそなかったけど、着順はワンツースリーというストーリーとしても文句なしのレース結果。

長い日本競馬において、「3冠馬」の称号を得た馬が3頭現役生活を続けたのはコントレイルが菊花賞を優勝し、アーモンドアイがジャパンカップで引退するまでの僅か35日間。
その中で実現した直接対決。私の現地観戦は敗れ去りました。本当に行った人は羨ましい。嫉妬します。

内が荒れた東京競馬場は少し時計がかかる馬場になりました。
1つ前のウェルカムステークスが2:00.7。昨日のキャピタルSが1:32.8ですので、出ないことはないですが、内が荒れていて「パンパンの高速馬場」とは違う様子。
内を各馬が避けて走るというのは最近のジャパンカップデーでは珍しく、3頭の強さを認めつつも荒れる可能性という余地を残していました。

パドック等は3頭とも悪くないと思いました。
デアリングタクトは入場前に少し熱くなっていましたが、元々がああいう馬ですし、むしろ静かすぎる方が心配です。コントレイルは相変わらず飄々としていますし、アーモンドアイもグリーンチャンネルでは「天皇賞の時の方が少しいいかも」というコメントでしたが、誤差でしょう。ただ、この相手で誤差がどうでるか?ですけどね。

返し馬はわからんですね。
グリーンチャンネルのカメラのピントが合ってない方が気になっていました。
少し暗いので、合いにくいのも分かります。

ファンファーレが鳴り響きますが、手拍子は無し。
異論は当然あると思いますが、私は競馬は盛り上がってこそなので、あの手拍子はアリのタイプです。それにより結果が変わろうとも、です。少し寂しい秋のG1。

真っ白のウェイトゥパリスがゲートを嫌がり時間がかかりましたが、日本の各馬がすんなりとゲートへ入ります。

スタートはアーモンドアイも素晴らしいですが、キセキが好スタートでワールドプレミアが下げたのもありすんなり内へ。
コントレイルとデアリングタクトはお互いちょっと離れながら。自由がありました。
大外からこちらが大逃げするのかな?と思っていたヨシオが頑張って前に行きます。

しかしキセキがコーナーワークで先手を取ってから抑えが効かないように前に行きます。
ヨシオは下げ、トーラスジェミニと並びます。
ヨシオと一緒に上がってきたグローリーヴェイズも前に。

やや内を開けながらその後ろにアーモンドアイ。桜花賞の時は追い込みましたが、本当にモデルチェンジしていいスタートを切り、いい位置を取れるようになりました。
カレンブーケドールがその後ろ、デアリングタクトが中団外目、その後ろにコントレイルと三冠馬の位置取りはコントレイルが一番後ろというのが展開予想もハズレ。

後方はワールドプレミアが内目にいたり、マカヒキとユーキャンスマイルが並んでいて、最後方にウェイトゥパリス。

キセキは猛烈なペースでぶっ飛ばしましたね。
57.9-1:09.4-1:21.2-1:33.1というラップタイム。昨日のキャピタルSでも4着に入れるという離れ業をしてきました。さすがに飛ばし過ぎです。

4コーナー付近まで割と動かないレースでした。
しかし、逃げているのはあの泥んこ菊花賞を逃げ切ったキセキです。
誰が仕掛けるのか?と思っていたらヨシオが潰れたスペースを外に仕掛けたカレンブーケドールがいい感じでした。アーモンドアイは内でじっくり。ワールドプレミアも内を走り続けていました。

デアリングタクトの外から手応え良さそうにコントレイルが映し出され、「よし、いい感じ。頑張れ、俺の軸馬」という感じで牡馬3冠馬を応援。

キセキが離れていて、内がぽっかり空いてのもあり、グローリーヴェイズが鞭で内に刺さりました。そのため、前をカットされる心配がなくなった同じ勝負服のアーモンドアイ。
その外から同じ厩舎のカレンブーケドール。一番外からコントレイル。しかもコントレイルがカレンブーケドールに並びかけるように内を閉めたので、デアリングタクトがオークスさながら出口がありません。しかもこの相手。万事休すか?と。

アーモンドアイが馬場の真ん中を堂々と。これは痺れますな。

残り200m。いつものように、JRAの映像を見るとラスト200mに引かれている仮想の黒い線を飛び越えるかのように手前をポンと替えるフライングチェンジと同時に加速し、一気にグローリーヴェイズを突き放し、キセキを飲み込みます。

その外からコントレイルもラップ落ちせずに伸びてますが、届きそうにありません。
アーモンドアイの後ろに4頭並んだシーンが撮りたかった。。。
3冠馬2頭に香港ヴァーズでラッキーライラック以下をちぎり捨てたグローリーヴェイズと相手なりに走るカレンブーケドール。その2馬身程度前に女王アーモンドアイ。3年間トップであり続けた名馬の最後の雄姿であり、強さを象徴するようなシーンでした。

牡馬3冠馬コントレイルにきっちりと1馬身1/4差をつけての勝利。
お見事でした。

勝ち時計も優秀ですし、歴代で破ってきた相手も言う事なし。
年上のスワ―ヴリチャードやサトノダイヤモンド、シュヴァルグランを倒し、昨年の天皇賞では同じ年の牡馬のダノンプレミアム、ワグネリアンを問題にせず、同い年牝馬大会となった今年のヴィクトリアマイルではノームコア、サウンドキアラを突き放し、秋の天皇賞ではフィエールマン、クロノジェネシスと春の実績馬も退け、このジャパンカップではコントレイル、デアリングタクト、グローリーヴェイズを破りました。

倒せる相手はほぼ全部なぎ倒し、マイルからこの距離までと幅広く戦ったのも珍しい名馬でしたね。

ライバルと言えるのは誰だったのかな?グランアレグリアは1戦だけですし、ラッキーライラックはライバルというには厳しい戦いでしたので、実はインディチャンプか?

コントレイルは無敗の3冠馬が次のレースは負けるというのを見事に踏襲し2着。
まぁいいんじゃない。偉大な先輩もそうだったし。それでも上がり34.3とアーモンドアイの後ろだったとはいえ0.4秒も上回り、猛追したのはさすが伊達に負けずに3冠取ってません。
スタートからの行きっぷりがもう少し良ければ。やはり中間「?」だったのが微妙に出たかな。そりゃ3冠取ったら緩むわな。仕方ない。先輩もそうだった。

デアリングタクトもあの状態で3着になるんですからこちらも相当の器です。
カレンブーケドールと最後のハナ差は馬の「持てる者」「持たざる者」の差を感じますね。
写真で見る限り、ジョッキーの頭(ヘルメットのつば)はカレンブーケドールの方が前です。でもクビの上げ下げのタイミングで3着ではなく4着というのは相当の運の差を感じました。
カレンブーケドールは強いな。でも2勝で重賞未勝利。海外でも行ければサクリと勝てそうだけどね。時期も含めて不運だ。

グローリーヴェイズも宝塚記念は酷いものでしたが、そこから復活してこのレースは見ごたえ十分でした。

ワールドプレミアもここは正直たたき台で全然ダメでも仕方ないなと思いましたが、それでも2:23.8で走れるんだから大したものです。有馬記念は俄然面白くなりました。

アーモンドアイ中心の競馬もこれで終わりますが、ここまで綺麗に終わる馬も珍しい。
この秋のライバルの倒し方が美しすぎました。着差はそこまででもないですが、誰も並んでいませんからね。併せ馬に持ち込めた馬は1頭もいませんでした。

アーモンドアイは過去5レース観戦しましたが、デビュー2戦目がニアミスだったのが今となっては悔やまれます。
なんで見なかったんだろう。ゆっくり毎日王冠に行かないで未勝利から見ておけば。。。後悔しても仕方ないですが、どこで、誰と出会うか分かりません。

ワンツースリーでトリガミの人は多かったと思いますが、「でもいいレースだったし、その代金みたいなもの」というレースでした。

アーモンドアイはどんな仔を出すのだろう?
サンデーサイレンスの肌にロードカナロア(キングカメハメハ)。
ディープだとちょいとサンデーが気になるし、キンカメは無理。
エピファネイアか、モーリスか、ハービンジャーか?まぁどちらにしてもこの素直そうな気性が受け継がれればいいですね。

あぁ、行きたかった。
もし今まで通りなら土曜日朝から並んでたな。