第65回阪神大賞典 レース感想




第65回阪神大賞典(G2・阪神・芝3000m・良)

2016年有馬記念を制したサトノダイヤモンドの始動戦です。
前日オッズがシュヴァルグランとの馬連で1.6倍。多くのファンは文句なしの「銀行レース」と認めている証拠でしょう。

パドックで悠然と歩く姿は相変わらず。
随所に頭の良さを感じますので、引き手無しでも人間が先導さえしていれば、きちんとテクテク歩きそうな雰囲気すらあります。

ライバルのシュヴァルグランはマイナス10kgと馬体を絞り、ここを勝負かのようなピカピカの仕上がり。
同日9Rの山陽特別(古馬1000万下)で1:20.5ですので、馬場は時計が出る馬場です。

スタートゆったりと出て、3コーナー過ぎにディープが菊花賞でなったように、ゴールと勘違いしているような走りになりました。
レース通じて「おや?」と思ったのはここ位なもので、ワンアンドオンリーの後ろにつけてからは理解したように走り出しました。

むしろレーヴミストラルが先頭に行った方が余程驚きました。
マドリードカフェを抜いてウインスペクトルが先頭に立って前半から各馬色々と動きます。

動かなかったシュヴァルグラン、サトノダイヤモンド、トーセンバジルといった後方勢にスピリッツミノル。

残り1000m付近からシュヴァルグランがサトノダイヤモンドを外に押しながら外へ行き、先に仕掛けました。
その後ろからダービー馬ワンアンドオンリーに内からスピリッツミノル。
シュヴァルグランを先に行かせてサトノダイヤモンドが4コーナー付近からアクセルを踏みました。

直線は「ズバッと」切れないだけで、最後まで淡々と走るサトノダイヤモンド。
北米の強い馬とかに近い感じがします。

シュヴァルグラン以下を全く無視したように、自身がしっかり真っ直ぐ走るだけ。
馬体を併せるなんて格下のやる事、と言わんばかりの走りで抜いてからゴールに向かうにつれてジワジワと差が開き、最後は1馬身半。
今回は同斤量ですし、シュヴァルグランも言い訳ができません。

3000mを三分割して61.5 – 60.4 – 60.7。
ハードなレースです。ある程度のステイヤー資質がないと太刀打ちできず、3:03.0を切った2頭は文句なし。
その後ろの3頭(トーセンバジル、タマモベストプレイ、スピリッツミノル)はまずまず。
そこから7馬身遅れた組は残念ながら…と明確に力の差が出ました。

ワンアンドオンリーはもう厳しいですね。
道中からフワフワ走ってますし、かつての沈み込むようなフォームとは雲泥の差です。歳と共に変わるのは分かりますが、変わり過ぎました。

トーセンバジルは神戸新聞杯3着でJC出走は伊達ではありません。
一瞬シュヴァルグランを抜き去るか?とも思いましたが、そこは差がきっちり1枚ありました。
それでもさすが四位騎手らしい3着。いい意味で。力をきちんと把握し、無理に行かないのは流石です。

シュヴァルグランはかなり強い走りをしていて、これで完敗するのが可哀そう。
去年より随分パワーアップを感じて、直線入り口ではまさか1馬身半もつけられるとは思いませんでした。
4コーナー手前でサトノダイヤモンドを外へ追いやった騎乗は見応えがありましたが、それでもこの差。

サトノダイヤモンドはアクセルを踏んでからのもどかしさは変わっていませんが、書いた通り淡々と走ります。
これは相当な勝ち方です。
「G1で好勝負」級の馬では手が出ないと思います。
3200mだとゴールドアクターもディーマジェスティもいくらいい走りをしても足りない気がしますし、やっつけられる可能性があるのはキタサンブラック位か。
京都の高速馬場ならつけいる隙はありそうなものですが、菊花賞より時計をもう1つ詰めて3:02.6。

坂の下りを利用できる分、向いているのは京都だと思うだけに、キタサンブラックと枠が内外逆だったりしたらそれだけで勝負ありなんじゃないか?という感じすらしました。

個人的には道中しっかり走っていたスピリッツミノルは長距離に高い可能性を感じました。
メルボルンカップとか行ってほしい。日本だとこんなのがいて大変そうだし、ハンデも軽そうです。

払い戻しが表示された時の「おー」というのは万馬券とは違いますが、苦笑いも含むもの。面白いですね。