第87回日本ダービー ここまでの振り返りとレース展望




全体の印象

今年も年の瀬になりました。
ダービーで区切りです。その翌週から新馬戦が始まりますので、この1年の集大成ということになります。

無観客となって3ヶ月。暫く競馬場に行かない生活が慣れてしまいました。
多くのアマチュアカメラマンにとってはストックが完全に切れているでしょう。
出走馬紹介を写真付きでできないのは会ってない馬が今年は格段に多いからです。

皐月賞はコントレイルとサリオスのマッチレースとなり、勝ち馬のコントレイルにはレーティング120ポンドが与えられました。
思えば父であるディープインパクトが116。
120ポンドを得た馬は過去ディーマジェスティしかおりません。ドゥラメンテで119でした。そういう意味ではサリオスに与えられた119ポンドも素晴らしい数字で、「例年なら楽勝」レベルのパフォーマンスという評価です。

そんな今年の牡馬クラシック戦線。
盛り上がりを自分的にグラフにするとこんな感じです。

やや最後になって盛り上がり切れなかった印象です。
皐月賞までは非常にいい感じでした。

途中共同通信杯のマイラプソディ、きさらぎ賞のアルジャンナが2月にこけた影響で少し下がりましたが、サトノフラッグの登場でいい流れで皐月賞へ。
皐月賞も無敗の2歳王者同士が激しいレースをして一気に上がり切りました。

そこから突き抜けるかどうかはトライアル+NHKマイルカップにかかっていました。
その弾は十分にあったはずですが、その弾が思ったより当たらなかったというかなんというか。

京都新聞杯でアドマイヤビルゴが4着に敗れ回避。勝ったのは皐月賞18番人気14着のディープボンド。
プリンシパルSでも皐月賞11番人気14着のビターエンダーが先行押し切り。
青葉賞は皐月賞組ではないもののホープフルS、弥生賞としっかり負けたオーソリティが勝利。そして怪我で戦線離脱。
毎日杯勝ちNHKマイルカップに向かったサトノインプレッサは道中後方からそのままの形で13着大敗。

皐月賞と全く違った路線から一気に上がってくる馬がいる年は面白いのですが、そこは「やっぱり皐月賞組は強いよね」というのを再確認するトライアルだったため、どうしてももう1つ波を作り切れませんでした。
今年はもし観客が入ったとしても10万人ちょい超え位だったかな。「さすがにダービーは混むね」というありきたりな感じは受けたと思いますが、それを超える事はなかったと思います。

 

今年は離脱がなければアルジャンナまでが出走です。
皐月賞でとりあえず逃げたキメラヴェリテは出てこれない予定ですので、皐月賞とはまた違ったレースが楽しめそうです。
ウインカーネリアン、ビターエンダー辺りが先行すると思いますが、逃げるぞーっていう感じでもないので、ディープボンド辺りがスタート決めたら行ってしまったり。

ハイペースでガンガンにはならないものの、気持ちスローで淀みなく流れることになることが多いのがダービーです。上がりの時計が求められます。
コントレイルが最後方から行くタイプではないですし、この馬場ならある程度の位置を取りに行くでしょう。サリオスも前に行くはずです。
馬群が凝縮して4コーナーまでいきそうですので、不利があると厳しい。スタートからの400mが本当に大事です。

皐月賞組の印象

コントレイルがどう考えても1歩リードです。
そりゃそうだ。わざわざ言う話じゃない。

サリオスも距離は問題ないはずです。そもそもダービーは将来1800-2000m付近で戦える馬であれば全然問題なくこなせます。
同年代で1600-2000付近のレースが多いため、必然的にその辺りで強い馬が賞金を現時点で得ています。
例外もいますが、多くの馬は将来この距離は走らない面々が揃っていますし、毎年そうです。
サリオスはジャパンカップに出るか?というと正直微妙ですが、天皇賞秋は普通に走れると思いますので、大丈夫。ただ、これは「相対的に」です。
ライバルが得意なら苦しくなります。コントレイルもタイプは同じだと思うので、差は詰まりませんね。

走りだけ言えばコントレイルとサリオスは余程のことがない限り掲示板を外すという事はありません。
誰かにやられるなら思い切って前の行くやつなので、単勝逆転一発を狙うならそこでしょうね。

サトノフラッグは皐月賞で最後バテてましたが、東京2400mは悪くないと思いますし、スタートで失敗したダーリントンホールも巻き返す事はできそうです。
巻き返すと言っても1着とかではなく、馬券内に、ですが。
ヴェルトライゼンデは前走の走りを見ているとダービーで1枠ゲットで3着候補には上がれるかなという位。
ガロアクリークも3着候補までですので、本命対抗には浮上しません。ただ、究極のキレ勝負になれば面白いですので、ペースが猛烈に遅くなりそうなら。

 

トライアル組の印象

青葉賞は素晴らしい時計でした。
ラスト5Fが11秒台というなかなか見られない時計です。
少なくともこの時計で走ったことがあるというのはヴァルコスにとってはプラス。
Cコースになりますし、まだまだ時計は速いでしょうから。

基本的には穴人気になって来ないタイプですが、皐月賞組の3着以降の順列が微妙なので、オーソリティと互角なら当然3番手候補には上がります。
前走躓くようなスタートだったので、まともに切れれば。

京都新聞杯はアドマイヤビルゴが沈んでしまい、何とも言えない感じに。
ただ、こちらも時計は優秀。

人気は出ないと思いますがディープボンドは面白いと思います。
京都新聞杯って追い込み鮮やかなレースが多いですが、先行して粘った方が一発ある印象です。

ロジャーバローズ(1着)、サトノラーゼン(2着)、ペプチドアマゾン(4着)、トーセンホマレボシ(3着)、ゲシュタルト(4着)。
まぁステイフーリッシュなどの失敗例もありますが、一発あるならここは先行して押し切ったり粘ったりした組です。

プリンシパルSはビターエンダーが先行押し切り。
ちょっとスローに落とせば上がり33.5が出ていますので、この辺りがペースを握るとスローペース必至です。そうなると厄介。
少し前のマイスタイルみたいなこともありそう。あの時は焦ったし。同じ先行組が予想されるウインカーネリアンよりこっちの方がダービーではやれそう。ウインカーネリアンはセントポーリア賞で上がり34.6。これは上位10頭でビリという結果なので、スローのキレ勝負は分が悪いのは誰でも分かっています。

どちらにしても対コントレイルという点では見劣りしますが、3着候補まで手を広げるとトライアル上位陣は差がありません。

別路線組

具体的にはワーケアとサトノインプレッサです。

サトノインプレッサは時計が出てないんですよね。
NHKマイルカップでも結局1:33.7止まり。負け方としては期待できるものではありませんでした。
ここからダービーで掲示板、あわよくば馬券にという姿はなかなか想像しにくい。

ワーケアに関しては面白いと思います。
アイビーSで観てますが、上がり33.3は立派ですし、同年代の強い所とやっても崩れていません。
良馬場の東京だと最高のパフォーマンスは出ると思います。
ただ、割って入れるか?というとパンチ不足は否めないですし、前に行って勝つイメージもないので、サリオスが思ったよりバテたケースでひょろっと2着とかはありそうですけどね。

 

枠順決まる前の予想

コントレイルとサリオスはさすがに本命対抗です。
どちらも高速決着の東京で2歳時にとんでもないパフォーマンスをしていますし、基本性能が上なのは誰が見ても明らかです。

スタートも上手、折り合いもそんな不安なさそう。どこからでもレースできる。乗り替わりもなし。持ち時計、戦績文句なし。レーティング的にはどちらも平均的な皐月賞馬を超えています。
対アーモンドアイ、ラッキーライラック、サートゥルナーリア、インディチャンプ辺りと戦うとして、現時点で「秋には勝てるかもね」と思わせてくれるのはこの2頭だけです。
そりゃ本命対抗にしますわ。

3番手が微妙。
自分は皐月賞で後手で滅茶苦茶だったダーリントンホールと良馬場東京ならワーケアで迷います。サトノフラッグはその後ろ。
注意したいのはビターエンダーとディープボンド。どちらかは残り300m付近でハラハラさせてくれるかもしれないし。