写真で振り返る 第70回朝日杯セントライト記念 レース回顧




レース

スタート~ホームストレッチ

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6番のキークラッカーがつんのめるようなクラウチングスタートを決めます。
普通ならこんな感じになったらダメなものですが、立て直しが非常に早く、そのまま先頭を走ります。これは驚きました。

ディーマジェスティは大体五分には出てますが、マウントロブソンは相変わらずもっさり。
外のプロディガルサンも伸びあがるようなスタートでダービーの時は先頭を伺う位置にいましたが、このスタートだとそうはいきません。

スタート直後に外からケンホファヴァルトが内に切れ込みながら入り、一緒にキークラッカーも前に行きます。
プロフェットも若干外目によれてスタートを切った関係で、ディーマジェスティとマウントロブソンの所が狭くなりました。
マウントロブソンはぶつかりながらも簡単に譲らなかったので、あおりを受けたのはディーマジェスティ。「あ!」と思いながら見ていました。

ただ、中山2200mなので、ホームストレッチの距離もあり、頭数も12頭ということもあります。
蛯名騎手は無理なくネイチャーレットにプレッシャーを掛けながら外へ外へ。
ネイチャーレットがもっと大きく、野中騎手が初重賞騎乗でなければもっと厳しく蓋されたかもしれません。やや優しいかなって思いました。

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ノーブルマーズも思ったより行きませんでした。
スタートから押して且つ左鞭も抜いて走っていましたが、なかなか前に行けませんでした。
ただ、割り切って抑えたのは良かったのではないでしょうか。あれで行き切るのは無理です。

ディーマジェスティ周辺です。
前を行くプロディガルサンの後ろを気持ち良さそうに走っています。雰囲気はとてもいいです。

プロディガルサンも悪くありません。
人気馬と同じ位置にいますので、近くで把握しながら行ける位置ではあります。

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ゼーヴィント周辺です。

スタートから気合が溢れていたゼーヴィントですが、きっちりと収めた感じでした。
これはさすが戸崎騎手でしょう。伊達に重賞で連対外していません。

折り合いをつけるのに長手綱でダラっとさせることなく、適度に気合を保ちつつ走らせているように見えます。
ライアン・ムーア騎手とかそういう乗り方をする印象ですが、それに近いと思います。
馬の行きたがっている気持ちは尊重しつつ、その中で抑え込んでいるような。馬と本当の意味で「折り合っている」という状態なんでしょうね。

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1コーナーから向正面、4コーナー

キークラッカーが先頭で1コーナーです。
ケンホファヴァルトが2番手、内のピースマインド、ゼーヴィントといった辺りが先頭集団でコーナーに入ります。

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ディーマジェスティは外に馬もいなくなり、動く際に障害の少ない位置に。
マウントロブソンもスタート直後に引かなかったのもあり中段外目でコーナーへ入りました。

キークラッカーとしては前走逃げ切った通り再度2200mの逃げになります。
そこまでゆったりの逃げではなく、馬場を考えると平均ペースの逃げです。

36.1 – 1:01.0で最初の1000mを走っていますので、意思を持って逃げました。
こうなると通用するかどうかだけです。潔い走り。

ピースマインドが3番手、ゼーヴィント4番手、プロフェットが内から続き、行かなかったノーブルマーズ。
その後ろに内にメートルダール、外マウントロブソンとここまでが1つの集団です。

そこから僅かに離れて外からディーマジェスティ、コーナーで外から被せられるようにされたプロディガルサン。
後方内にステイパーシスト、最後方にネイチャーレットという展開です。

後方でプロディガルサンが少しガタガタしていましたが、多分これはコーナーを逆手前で走ってます。
緩やかなコーナーが続く外回りコースなので、替えなくても走れるだけに、不器用さが目立ちます。
これで最後方に下がって一歩ディーマジェスティに先んじられました。

残り600付近からディーマジェスティがマウントロブソンの外を通ってグーンと進出します。
ここで歓声が「ワー!!」と。

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高揚感を生み出す雰囲気を作れる馬は特別です。

G1馬、圧倒的な1番人気のド本命の主役にしか作れない空気です。
かつてはゴールドシップなどもこの空気は作りましたが、少なくともディーマジェスティがレースで「特別な馬」となった瞬間のような気がします。

あの雰囲気に好き嫌いはあるでしょうが、私は好きです。
大波乱で静まり返るのも競馬の醍醐味ですが、人気馬が勝つ事も競馬の醍醐味です。
ゴーサイン出してからの反応といい、顔を覗かせるタイミングといい、バッチリでした。競馬場のボルテージを上げるには最高の4コーナーだったと思います。

直線

横目見ながらゼーヴィントが仕掛けますが、それを捻じ伏せる感じでディーマジェスティが追いかけます。
その後ろからプロディガルサンも一緒に進出を仕掛けます。脚色はこの時点でこの3頭という感じですね。

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プロディガルサンは何回も外に開き手綱をしながら真っ直ぐ走らせているように、内に刺さるのはクセだと思います。
雰囲気が良かっただけに、もっと真っ直ぐ走れれば際どかったかもしれません。

ディーマジェスティも追ってからの反応は「休み明け」のものですね。
皐月賞やダービーの鋭さは無かったと思います。

一旦は外からプロディガルサンが内に刺さるのを修正しながら走り、ディーマジェスティに並びかけます。
が、ディーマジェスティが少し外によれたタイミングでまたしてもプロディガルサンが内へ。
これが無ければ分からなかったと思います。

そこでブレーキが掛かり、一気に離されてしまいました。
この血統は走るのは走るんですが、どうもこういうちょっとしたクセが何かしらあります。

ゼーヴィントも頑張っていますが、差し返す程の力は残っていなかったようです。

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他の馬で言えば、メートルダールは舌も出してますし、ちょっと中途半端なレースになってしまいました。
4コーナーで前が壁になるシーンもありましたし、思い切って下げて外出して一発追い込みに賭けても良かったんじゃないかなとは思いますが、それを差し引いても伸びがイマイチでした。

マウントロブソンも舌出しながら走っていました。
元々シュンと反応する馬じゃないですが、4コーナーでディーマジェスティは仕方ないとしても、プロディガルサンにもあっさり無抵抗で外から抜かされていたのは頂けません。
やる気が無かった感じです。レースに入りきらずに終わりました。

人気薄で馬群を縫って4着まで押し上げたネイチャーレットは野中騎手重賞初騎乗も直線は強気でした。
プロフェットを押しやるように出てきました。が、4着では優先出走権がありません。惜しいです。

ノーブルマーズはバテたと思ったらジワジワと走ります。
この手の馬はスピリッツミノルとかと同じ系列なので、買い方が難しく、私は嫌いなタイプです。
出足が悪くてスタミナがあり、バテないが切れない。かなり展開に注文が付くタイプだと思います。
菊花賞でも逃げると思ったけど、前に行けず結局逃げられないという事にもなりそう。気楽にポンと先頭を走ると粘りそうな気はしますが…。

ゼーヴィントは騎手含めてこれ以上は無いと思います。騎手が上手すぎる。
あれ以上ディーマジェスティを待てませんし、4コーナーで少しずつ外へ行きながらブロックしようとしていたのとかを見ると、今は本当に隙がないありません。
前向きに走りますが、必要以上にイケイケドンドンにならないので、距離は大丈夫でしょう。
スタートセンスもいいですし、思った以上に走りました。これはダークホースでしょう。

500万勝ちで挑んだケンホファヴァルトやステイパーシスト、キークラッカーは完敗です。
同期は1000万下を突き抜けている馬も多いので、現状ではここでは及びませんでした。
でもまだ3歳秋です。ステイパーシストとかもう少し大きくなれば走りそうな気もします。ステイゴールドの仔ですが、それを差し引いてもなんかひょろっとして見えますし。

ディーマジェスティは最後はクビ差差し切ってのゴールでした。

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道中の折り合いも心配ないですし、動きたい所で動けています。
着差こそクビ差でマカヒキと同じですが、こちらも1回走ってもう1段ギアを上げられるでしょう。

後は菊花賞のレースプランをどうするかです。
さすがにここまで大味なレースはサトノダイヤモンド相手だと楽ではありませんので。

 

レース後もステキな振る舞いだったディーマジェスティ。カメラを向けられても凛としている姿が様になります。流星も綺麗ですし。
ここまでは順調に名馬の階段を上がっているような気がします。
菊花賞が楽しみになりました。

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