社台グループの凄みを感じた、とあるアメリカの1レース

アルゼンチンで無敗の4歳牝馬、アメリカデビューは社台の勝負服

もう1週間くらい前になりますか、北米で非常に印象深いレースがありました。
現地時間8月7日にデルマー競馬場で行われたオスニタスS。

道中は中段後方の内目から4コーナーでは最後方。そこから大外へ持ち出しゴール前でグイッともう1伸び。
ここのところ精彩を欠いているとはいえ重賞3勝のPrize Exhibit(プライズイグズビット)や前走がG1で3着だったElektrum(エレクトラム)を差し切りました。

名前はSobradora Inc(ソブラードラインク)。デビューからこれで5戦5勝の4歳牝馬。
アルゼンチンでデビューし、G1の2勝を含む4戦無敗からの北米デビュー戦でした。

勝負服をみてお分かりの通り、馬主はKatsumi Yoshidaさんです。

この馬は南米ではG1を2つ勝っています。

1つはGran Premio Enrique Acebal(エンリケ・アセバル大賞)、もう1つはGran Premio Copa de Plata(コパ・デ・プラタ大賞)です。
どちらもサンイシドロ競馬場の芝2000m。牝馬限定のG1です。

社台グループは南米から馬を買う事も多いので、最近は馴染みになってきてはいます。
有名どころですとアルゼンチンオークス馬ポトリザリスとかですかね。
ディアデラノビアを出し、そこからディアデラマドレやドレッドノータスといった重賞勝ちの馬も輩出しています。

1995年のコパ・デ・プラタ大賞の勝ち馬であるDiferente (ディフェレンテArgentine Star(アルゼンチンスター)を生みました。
アルゼンチンスターとゼンノロブロイの仔がペルーサです。
ペルーサにはアルゼンチンのG1馬からの名門の血が流れています。

直近だと2010年の勝ち馬であるMalpensa(マルペンサ)も有名でしょう。
2016年日本ダービー2着馬サトノダイヤモンドのお母さんです。

ソブラードラインクは2つのG1を勝っていますが、同じようにこの2つを勝利して日本に来た馬もいます。
それが2005年の勝ち馬であるCursora(クルソラ)です。
桜花賞、オークスと好走したクルミナルのお母さんです。ピオネオの母でもあります。

エンリケ・アセバル大賞含むG15勝、重賞10勝したアルゼンチン近年最強クラスの牝馬であるOllagua(オジャグワ)も日本に来ています。
まだ1頭リベルタンゴのみなので、活躍馬と呼べる馬は出していませんが、2016年にディープインパクトとの仔でサトノシャークという名前でデビュー待ちです。

地味に繋がりのあるのがアルゼンチンのG1馬ですし、ヒット率は非常に良い気がしています。

 

ちなみに、このソブラードラインクは次は9月末のRodeo Drive Stakes(ロデオドライブS)という牝馬限定芝10ハロンのG1レースの予定になっています。
ここを勝つようだと、無敗のままBCフィリーズアンドメアターフでヌーヴォレコルトと戦う事になるかもしれません。

 

まだ見ぬディープインパクト産駒の真打を探して

日本競馬はご存知の通り「非サンデー」という言葉がある位、サンデーサイレンスの飽和状態。
そう考えると、この馬の血統は非常に魅力的です。

血統

http://www.jbis.or.jp/horse/0001225751/pedigree/

日本で成功した実績のある血も混ざっており、それでいて非サンデー、非ミスタープロスペクター。
例えば先日種牡馬入りしたドゥラメンテであれば、ヘイルトゥリーズンの5×5が発生するのみであり、これであれば気にする必要はありません。

Include自体は日本で成功例はありませんが、その父であるBroad Brushは日本ではフェブラリーSを制したノボトゥルーや根岸Sで追い込みでお馴染みのブロードアピールがいます。
そして母系には母の父の父にStorm Catの名が。
これであれば、例えばキズナであってもStorm Catの3×4で済むのも大きいし、ディープインパクトとの組み合わせであれば、この血がいいスパイスになる可能性があります。

日本はどちらかと言えば新しい種牡馬を導入することで発展してきました。
テスコボーイ、ノーザンテースト、サンデーサイレンスやトニービン、ブライアンズタイムというように、外部の新しい血が時代を作ってました。
これはやはり内国産の種牡馬が弱かった事が起因しているでしょう。だから母馬の血統に合う種牡馬が活躍できました。

例えば欧州はノーザンダンサーの出現以降、サドラーズウェルズ、ガリレオと繋ぎ、今はフランケルが大活躍をしています。
もちろん程度の差はあれど、父系としてのノーザンダンサーの血は未だリーディング上位に健在していると言えます。

日本もそうやって父を繋ぐ時期に突入しました。
サンデーサイレンスからの血をいかに父親として繋いでいけるのか?が日本競馬がどっちに転ぶかの分岐点のような気がしています。

ディープインパクトももう14歳です。

ダービー馬の後継種牡馬候補がズラリと並びますが、サンデーサイレンスにとってのディープインパクトのように「真打」と呼べる実績を引っ提げて種牡馬入りした馬はまだいません。
お母さんはジェンティルドンナがいますが、暫くの間「牡馬でG1を2勝した馬がいない」という状況でしたし。
エイシンヒカリやマカヒキ、ディーマジェスティ、まだ勝っていませんがサトノダイヤモンド。真打候補の可能性ある馬はいます。とはいえまだ未知なのも事実です。

サンデーサイレンスが16歳でこの世を去ったように、あと数年で不測の事態が起きる可能性が徐々に出てくる年齢になってきました。

「いかに後継種牡馬を作り上げるか?」
という課題を考えると、できるだけ真新しい血の方がいいのは確実です。ドゥラメンテではないですが、あまりにも土壌に根付いた血統ならではの不安もあります。
それをアルゼンチンまで探してきっちりと捕まえてくる社台グループの底力に、分かっていても驚きました。

数年後この馬の仔もデビューしてくるでしょう。
それが成功するかどうかは神のみぞ知る所ではあります。

こうやっていい馬を作るために可能性を追い求める。
人生もそうですが、常に勝負の世界に身を置き、勝利を求めることは辛いだろうけど楽しいんだろうなって羨ましくもなりました。
自分も常に何でもいいから勝負し続けないと、と思います。