写真で振り返る 第86回日本ダービー レース回顧+観戦記




サートゥルナーリア、痛恨の出遅れ。
なんか1頭だけ馬人間みたいになっていてちょっと笑えますが、笑ってる場合じゃないです。

歓声と悲鳴が入り混じるホームストレッチ。
不安的中のイレギュラー。ゲート内できっちり駐立していたとは言いにくいですが、そこで立ち上がれば別ですが、一応限度内ですからね。スターターの判断は仕方ない。

もちろんそこから立て直せばいいだけです。まだ2400mあります。
1頭遅れたらその分左右の馬からしたらスペースができますので、マイネルサーパスとダノンキングリーが内と外へよれ、結果前が塞がり、塞がったからと内に進路を取ったら、前に行った各馬も内に行ったので、サートゥルナーリアの進路がなくなります。
外に出すにも下げるしかなく、どんどん下がって11番手で最初のコーナーに入ることになります。

一方でスッと馬なりで好スタートのロジャーバローズ。
リオンリオンが外から押しているのに対し、まるでキセキが走っているかのようなスムーズな先手。

ヴェロックスも多少掛かり気味ですが、我慢できている範囲です。
リオンリオンがロジャーバローズを交わすのにもスタミナをロスしてそうな走りです。「スローはないな」と思いながら見ていました。
こんな勢いで先手取って落とせたとしても、ロスは小さくありません。
内外の差もありましたが、それ以上に先行力そのものの差を感じました。だからと言って「ロジャーバローズが勝てそう」とか思ってみてません。
この辺りだとダノンキングリーが内に入れてくれたのでシメシメと思っていました。

ダービーの日の芝生は本当に綺麗です。
土が舞いますが、それもまた美しい絵となります。

クラージュゲリエもいい感じ。
掛かっているように見えますが、共同通信杯での前半のけだるさを考えると勢いが雲泥の差です。この方が遥かにいい。
三浦騎手と合っていると思いましたので、このまま乗ってほしい。

向正面へ入ります。
観客も2400m追いっぱなしではスタミナが持ちませんので、一度息を入れます。

リオンリオンが遥か前にいますが、ロジャーバローズが実質逃げている状態で2番手。
サトノルークス、エメラルファイトと続き、その後ろクラージュゲリエとダノンキングリー。

ヴェロックス、マイネルサーパス、シュヴァルツリーゼ、ランフォザローゼスと続きます。

中団チョイ後ろからサートゥルナーリア。ナイママやニシノデイジーがその後ろです。
後方にはヴィントとか、レッドジェニアル、タガノディアマンテ。
後方にメイショウテンゲンとアドマイヤジャスタという展開です。

ペースは最初の1000mで12秒台がスタート直後だけという異常なペース。34.8-46.2-57.8。
これはいくらなんでもテレビ馬でしかありません。
青葉賞馬ですから。それがオーナー含め求められていたのであれば外部からは何も言いませんが、制御してナンボでしょう。
少なくとも自分は勝ちに行った騎乗とは全く思えず、「何してんの?」という思いで見ていました。上位人気ですから。気分良く走ってゴールすればいい馬ではないです。
1000mを通過してからもっと落とすなりしないと、1:09.8で通過して後半どのくらいでまとめるつもりだったのか?と思ってしまいます。

ロジャーバローズの走りはスムーズですが、ダノンキングリーもスムーズに走れていました。
ロジャーバローズが最終的に勝つわけですが、2番手で逃げているのと変わらないというのは幾らでもありますが、ピタリとはまりました。

色々と思う点はありますが、このレースの鍵はサトノルークスとエメラルファイト、マイネルサーパスの3頭ですね。
ダノンキングリーがこの馬を内から交わせたのは非常に大きかった。
なまじある程度スタミナがあるので、一気にバテないこの3頭。

とはいえ4コーナー手前ではサトノルークスには鞭が入ったように、ペースダウンは明らかです。
それを交わすために外に出すしかない後続各馬。一気に潰れてくれれば楽でしたが、そこはダービー。頑張ります。
もし仮に、その3頭の並びで大外にサトノルークスがいたら後続各馬ももっと楽だったでしょう。勝手にバテたので、加速せずとも抜けたでしょうし、抜いたらすぐ前に入ればいいだけです。
しかし、エメラルファイトでした。4コーナーでサトノルークスを外から交わしにかかりましたので、内が開かない上に、外を加速しながら抜かないといけない。しかもきっちり抜くまで内に入れない。

ヴェロックスは結果クラージュゲリエの外を回し、その外を回すことになったサートゥルナーリア。
前は止まらない高速馬場。自分は4コーナーの雰囲気からダノンキングリーが勝ったと思いました。リオンリオンは潰れるでしょうし、ロジャーバローズは抜けるだろうと。

リオンリオンは残り400m付近でロジャーバローズにほぼ捕まります。
その後ろでダノンキングリーが一生懸命走っており、舌を出してサトノルークスも走っています。内のタガノディアマンテとかも顔を出していますが、視線は必然的に外へ。

ヴェロックスとサートゥルナーリア。
クラージュゲリエを交わすのに手間取っていますが、仕方ありません。それでも伸びてくるだろうと。
ここまで外回すことになり、楽なレースにはなりませんでした。

負けた組だとニシノデイジーは意地を見せました。
東スポ杯で好時計勝ちがある割に、なぜか「重めの馬場の方が良さそう」的な雰囲気ができていましたが、こういう馬場向きです。
自分は全然狙っていませんでしたので、お見事でした。狙うなら今年の富士Sとか、来年の東京新聞杯とかですね。

クラージュゲリエは共同通信杯とは全く違う馬になっており、これは楽しみです。
いい雰囲気で走ってるのに4コーナーでズブいのが気になりますが、菊花賞で本当に楽しみ。
坂の下りを上手に利用できれば、抜群に切れないものの、頑張れそうなタイプです。怪我しないでほしい1頭です。

レッドジェニアルもいい走りでした。
上がり34.2としっかり出ており、前半の走りから長めの距離は合いそうです。お母さんはレッドアゲートですしね。
この2頭は菊花賞で積極的に狙いたいですね。

ランフォザローゼスも相手なりに走るのを見せてくれました。
名前的にはダービーで血統は煌びやかですが、こちらも菊花賞や乱戦向き。
来年の天皇賞春辺りでひょっこり2着とかしてそう。

逃げるロジャーバローズに追いかけるダノンキングリー。
サートゥルナーリアはヴェロックスの前に出ます。さあエンジン全開か?という場面です。

この辺りでダノンキングリーが外によれます。
共同通信杯の時の走りを考えると、意外でした。1頭になったのもありますが、やはりスタミナ的な問題(というか相対的に劣った)があったかも。

ヴェロックスはサートゥルナーリアに抜かれてからの脅威の粘り。
最後まで走れる強さはありますね。
縦長になり、外々を回るレースとなったのは枠順含めて仕方ない面はありました。内に入れるシーンもなかったですし、ダービーとしてはこの勝負服だからといって毎回神風は吹きません。
何度も褒めちぎっていますので、今更ですがG1を勝てない馬ではないです。
噛み合うまでに多少時間がかかるかもしれませんが、ラブリーデイクラスにまで成長する可能性は十分感じます。ちょっと物足りないという人はマヒしていますね。
今年の有馬記念で投票したい1頭です。

鞭を振り上げロジャーバローズ。残り200mを通過し、決断を迫られます。
「サートゥルナーリアを切るか?」どうかです。伸びてきてはいますが、交わすには難しい距離です。

ダノンキングリーは負けて強しの2着です。
4コーナーまではかなり上手く乗っていました。戸崎騎手、2年連続の2着。
内をつく作戦は「こうあってほしい」を体現してくれて、この上ないレースでした。

菊花賞ってタイプじゃないので、スピード全開の毎日王冠→天皇賞→香港カップってな感じではありますね。
いつも小気味いいストライドはこの距離ですので、ゴール前乱れましたが、それでも最後まで頑張っていました。

直線で少しよれたシーンがありました。
あれを見て、かつてのフェノーメノを思い出しました。蛯名騎手もダービーに手が届いていません。戸崎騎手も昨年から2年連続で僅かな着差で敗れています。
ダービージョッキーも運が無いとなれませんね。本当に惜しいです。

 

サートゥルナーリアは3着に上がったと思ったら大きくストライドが鈍り、4着。
上がり34.1はしっかり出ていますが、最後は疲れてしまいました。

ただ、スタート失敗から下げて外に出し、大外ぶん回してこの結果。
2倍を切る無敗の皐月賞馬としては馬券外は確かに失敗レースです。それでも大きく評価を下げる気にもなりません。
スタート前の雰囲気と前半の割にそこまで悪いレースではなかった、というのが正直な感想です。
エピファネイアの方が今の感じだと近いですね。

こちらは見た目のイメージだとリオンディーズ60%、エピファネイア40%という割合に見えました。

と皐月賞の時には感じましたが、今は50対50位。
もう少し走りが柔らかいと思っていましたが、ダービーの直線を見るとそうでもないです。

2400mのこの馬場で、このペースで、大外回して勝てる馬はいません。反応の速さとコーナーでの加速は東京でも健在でした。
凱旋門賞はパスするみたいですが、中山での成績を考えれば有馬記念に出てくれた方が楽しみですので、とてもいい判断です。行くなら来年の夏のヨーク辺りがいいんじゃないの?まぁ英国は色々ありそうですので、ちょっと難しいかもしれませんけど。

スタートが今まで上手でしたので、下手にならなければいいですね。この馬は先行してナンボの馬です。
エピファネイアのようなレースをしてほしいですし、できる馬です。JCで巻き返せばいいのよ。ロスなく走れば距離は大丈夫です。

2頭の叩きあいです。
ここからは言葉は要りませんね。鞭がしなるシーンが撮れました。ダービーで1番のお気に入り写真です。

勝ったロジャーバローズは2番手からダービーレコードを叩き出し、ラスト2Fを23.9でまとめました。
やはり2番手からスイスイ進めたのも大きいですが、スタートの反応の良さ、一定のペースで走れる強さをみせました。
前走も負けて強しでしたが、言ってしまえば負けた馬。スプリングステークスでは本命にして買いましたがハズレ。

ダービーの1枠1番であることを除いては、強調材料がないから12番人気な訳で。
単純にフロック視はしませんが、ある程度自分でレースが作れないと脆いかどうかは見てみたいです。

凱旋門賞に登録があり、こちらが行くという報道もありました。
向こうはスタートが遅いので、先手を取って内埒のグリーンベルトを通ればあるいは?と思ってしまうのは確かなので、強い先行馬として盛り上げていってもらいたいです。

ダービーは最近は差し馬が台頭していましたが、こういう先行押切型が勝つのは久々のような気がします。
やや癖があっても、見ていて楽しいダービー馬として成長してもらいたいです。

栄光のゴールはクビ差。
自分の集中力もここに極まりです。ダービーのゴールはあまり外さないですが、目黒記念はボロボロでした。

ウイニングラン。

何度も拳を突き上げる浜中騎手と、暑さもあるのでしょう、やや口を半開きにして舌が見えるロジャーバローズ。
ダービーの白ゼッケンに1枠1番、白が基調の勝負服に白い帽子。
浜中騎手も禍根の残ったミッキーアイルのマイルCSからG1勝ちがなく、昨年は重賞勝ちも途絶えました。
徐々に成績が落ちていっていましたが、この勝利で再浮上があればいいですね。

 

ダービーでノーザンファームを止めた飛野牧場。お見事。

表彰式。
土屋太鳳さんは先週も来てたので、なんか大変だなって思いました。

馬券はだめですね。
1,2,3番人気はそこそこ上位に来ていますが、オークス同様に12番人気が来ました。

暑いダービーとして記憶に残ると思います。