写真で振り返る 第22回東京スポーツ杯2歳ステークス レース回顧




レース

最内コスモイグナーツが最高のスタートを切りました。この馬上手ですね。力の入れ方が素晴らしいと思います。
シャルルマーニュも悪くありません。

一方人気のワグネリアンは少し前脚を上げてジャンプするようなスタート。父同様あまり上手じゃないかな。この頭数ならいいですが、増えてくると致命傷になる場合がありますので、スタートは次も注目したいです。

大外ルーカスもスタート直後に寄れており、外からムーア騎手の手が左手で少し引いて顔を内に向かせるようにしていますので、こういう所もまだまだですかね。デビュー2戦目ですから、パーフェクトとはいきません。

早々に前と後ろで差が出ます。
コスモイグナーツが好スタートからスイスイと行き、それを追いかけるケワロス。
シャルルマーニュは行きたい素振りを見せましたが、そこは何かと言われてもリーディング上位の戸崎騎手。ガシっと馬を抑えました。

そこから1秒以上離れてポツンとカフジバンガード。
後方に3頭。ワグネリアンに内でゴールドギア、最後方にルーカスという展開です。

この時期の2歳戦にしてはかなり流れて34.7 – 46.5 – 58.5。
相当前は飛ばしていて、コディーノの時に近い流れです。35.0を切ったのは初。
目測ですがワグネリアンは36.5位で600mを通過していますので、年によっては先頭で走っていてもおかしくないようなペースです。
位置取りは後ろだったというだけで、ここまで前が飛ばすと後ろもそれなりのペースになります。

当然道中引っかかる馬なんぞおらず、しっかりと追走しています。
4コーナー手前から少し前が落としたので、徐々に後ろが差を詰めていきます。
しかし、ルーカスの動きがワグネリアンと比較すると良くありません。札幌でのギアチェンジに比べると、ちょっと遅い印象を受けました。

コスモイグナーツがいい感じで走っていました。
もちろんペースは速いですし、結果潰れましたが、道中の雰囲気は悪くありませんでした。
もっと4コーナーで引き付けてしまっても良かったのかなと結果を見ると思います。

2番手からケワロス、シャルルマーニュも並びかけることなく直線へ。
外からスーッとディープっぽい走りでワグネリアンとムーア騎手が少し促しているルーカス。

コスモイグナーツが先頭で頑張ります。
後ろからケワロスが並ぼうとしていますが、真っ直ぐ走っておらず、並べません。
シャルルマーニュも落ちてはいませんが、差を詰めるには至らず。

コスモイグナーツはエイシンフラッシュの仔らしく、真っ黒な馬体で大きなストライド、そして白いバンデージ。懐かしい感じがします。
後方ではルーカスがカフジバンガードとワグネリアンとの間のスペースが失われたため、外へ出す事に。
もっと鋭い反応でもしていたらワグネリアンの間をこじ開けられたでしょうが、まだそこまでのレベルではありません。

残り200mで頑張っていたコスモイグナーツが後続に飲み込まれます。
間からシャルルマーニュと、ワグネリアンと並んだ時に少し良い反応があったものの、シュンとしぼんだカフジバンガード。
大外からモーリスの天皇賞のように馬場の真ん中へいくかのようなムーア騎手のルーカス。

それらをまとめてぶち抜き、まるで本物のディープのような抜け出し方をしているワグネリアン。
勝負服補正は多分にありますが、この構図はディープっぽいです。顔も似てますし。そりゃ親子ですからね。

200を切ってからグンと加速したワグネリアン。
走りが特徴的で、言葉では言い表しにくいですが、左前脚が上がる所のリズムが他の馬と違うように感じました。

後続とはみるみる差をつけていきます。
ルーカスが外から追い上げ、シャルルマーニュもカフジバンガードも頑張っていますが、このペースですし、追走していたシャルルマーニュは楽ではなかったでしょうし、ルーカスも追い詰めるには至りませんでした。

ワグネリアンの上がりは34.6。最後までしっかり伸びています。
勝ち時計1:46.6も極めて優秀です。極端な高速馬場でもない今開催の東京であれば先週のtvk賞(古馬1000万下)の勝ち時計1:47.1を凌ぎますので、クラシック確勝級のパフォーマンスでしょう。

このレースで1:47.0を切ったのは以下の3レースです。

  • 2005年 1:46.9 フサイチリシャール⇒朝日杯1着(2着にメイショウサムソン)
  • 2012年 1:46.0 コディーノ⇒皐月賞3着
  • 2013年 1:45.9 イスラボニータ⇒皐月賞1着(サトノアラジン5着、ワンアンドオンリー6着)

そして今回3馬身差でしたが、3馬身以上の圧勝は以下の通り。

  • 2010年 3馬身半 サダムパテック⇒皐月賞2着、マイルCS1着
  • 2011年 3馬身 ディープブリランテ⇒ダービー1着

かなりの割合でG1馬、もしくはそれに近いパフォーマンスをクラシックでも出しています。
この走りを続けられれば、取りこぼしはあるかもしれませんが、王手まではいかなくても飛車角両取り位は考えてもいいでしょうね。

 

2着のルーカスはまだまだ悪い所もありますし、ゴール寸前からムーア騎手が顔を真っ直ぐではなく、観客席の方を向いて走っているようにワグネリアンとは完成度の差が出ました。現時点では完敗。来春に逆転するというのも「やや難しい」という差に思えます。

それでもこの時期にしてはモーリスよりは完成されているように見えますし、順調に成長していってほしいです。
走りが硬くてパワフルなのは兄同様です。将来的にはマイル~2000m位で真価を発揮しそうな感じはします。
レースを選べるという意味ではこの2着は大きい。少なくとも春はダービー以外のレース選択に困る事はなくなりました。
3コーナーからの反応がそこまで良くなかったのと、直線での走りを見ると右回りの方がいいかな。

3着のシャルルマーニュは相手なりに走りそうです。
奇しくもキタサンブラックの清水久詞厩舎の馬で母父がサクラバクシンオー。
前に行ってもきちんと道中セーブできていますし、母父サクラバクシンオーだからといって短めというよりは少し長い方が良いと思います。

カフジバンガードは一瞬しか脚が使えてないので、使い方が難しい。
こういうペースは合っていると思いますが、並んでからポテンシャルの差をワグネリアンに見せつけられてしまいましたので、どうでしょうか。
ハービンジャー産駒らしいっちゃらしいですが…。レースと馬場が向けばもう1つ位の前進はできると思います。

負けてしまいまたがコスモイグナーツの走りは個人的には好きです。
エイシンフラッシュを見ているようで。でももっと落としても良かったですね。この時期の2歳馬ということを除いても速すぎます。

 

それにしても直線はディープ対モーリスを見ているようでとてもいい気分でした。
「何言ってるんだ?まだ2歳戦じゃないか!あの馬と比べるのは失礼」というのは分かりますが、両者面影の見える馬同士だったので、「彼らが戦ったらどうだったのだろう?」と思いを馳せるには十分でした。

永遠に交わらない最強馬論争。これも競馬の面白さだと思います。