写真で振り返る 第20回富士ステークス レース回顧




レース

とても綺麗なスタートです。
若干ロードクエストが遅れていますが、いつも通りですし、スタート直後の差からするとほとんど誤差でしょう。
マイル戦ですし、出遅れないに越したことはありません。

一時期出遅れ癖も見せていたイスラボニータも最近はすっかり元通りに。

内が悪いというのもあり、向正面は暫く各馬内にいれるでもなく、セパレートコースのように真っ直ぐ走ります。
従って順位が非常に曖昧に。

マイネルアウラートにレッドアンシェル、ジョーストリクトリにクラリティシチー、エアスピネルも先行策を取ります。

内からペルシアンナイトに外からイスラボニータも早めに動き、中段まで挽回して来たロードクエストに最内サトノアレス。
外目にミュゼエイリアンにグランシルク。
その後ろの外にダイワリベラル、内でガリバルディ。後方にクルーガーにブラックムーンという展開です。

内に入れるレースではないため、比較的スペースもあってタイトな前半という感じはしません。
それもあって例えばロードクエストはスタート遅れても、少しかかってしまったら前に馬がいないものだから、どんどん前に。

エアスピネルも多少行きたがる素振りを見せていますが、前半はマイネルアウラートの後ろでキープし、コーナーではしっかり我慢をしていました。
内の馬は内を選択するしかないので、ロスなく走るしかありません。サトノアレスなどはもう少し馬場の良い所を走れば結果が違ったような走りでしたが、この流れで外に出す場面もなく、前半は苦しかったでしょう。

ペースはこのクラスですし、不良馬場でも一定に流れて35.6 – 47.8 – 59.8。
馬場を考えれば、まずまず。
レッドアンシェルはNHKマイルカップは追い込んでますが、一転逃げの手になりましたので、心境の変化があったのかな?
押して出さなくても前に行けたというのはあるでしょうが、逃げるというのは簡単ではありません。非常にスムーズな前半だったと思います。

内外離れたままで4コーナーへ入ります。
馬場が悪化したレースの面白さでもあります。誰が内を選択し、誰が外に行くのか?というのは重馬場ならでは。

4コーナーの前でマイネルアウラートとレッドアンシェルの間に入ったエアスピネル。
コーナーなので、マイネルアウラートが内に入ろうとしていた所で、その内にさっと入り、徐々に外にマイネルアウラートと押し出しながらコーナーへ入ります。
先にマイネルアウラートがレッドアンシェルのすぐ外に入られていたら、その外にクラリティシチー、後ろにジョーストリクトリということもあり、エアスピネルは直線で不自由したかもしれません。

ある程度自信を持っていたと思いますが、ここで外を真っ直ぐ走るだけの状態を作ったのが勝敗を分けたような気がしています。

直線は内埒一杯をレッドアンシェルが逃げ、その後ろからこちらも内を選択したペルシアンナイト。外に持ち出したサトノアレス。
エアスピネルは馬場の真ん中をディープインパクトのように伸びます。

これは実況しにくいと思います。
内外離れていると、どっちが前か分からず、一見すると内が圧倒的に見えますからね。カメラも本当に難しく、どちらが前でどちらが勢いがあるのかが即答できません。

ペルシアンナイトは内で鞭がバシバシと入っていますが、前と差が詰まらず。やはり内側の馬場は前を抜くというのが難しそう。
エアスピネルの後ろからピンク帽子のイスラボニータが差を詰めてきました。

ここで内を諦め。
レッドアンシェルは視界から消えてもらいました。外だろうということで。
アイビーSはそれで失敗していますが、今回はエアスピネルの勢いがあり、それは大丈夫と判断しました。

エアスピネルの後ろからは手前を替えてグンと加速したイスラボニータ。良い頃の雰囲気が戻ってきました。
その後ろから泥だらけになりながらクルーガーも伸びてきます。
グランシルク辺りもまだ粘っていますが、いつもの前を抜く走りはとてもとても。粘るだけです。
ペルシアンナイトもこの辺りではデムーロ騎手が諦めたかのような走りに。少しバラバラになってしまいました。

ペルシアンナイトは内側を走っていましたので、疲れてしまいましたかね。
休み明けですし、ダービーの時の様にガツンと行く素振りも見せず(下が悪いのでそれどころじゃなかったかもしれませんが)、まずまずと言っていいと思います。
さすがに良馬場なら変わるでしょうし、ここまでの不良馬場だと馬場の良い所に出せればよかったでしょうが、出しにくかったですね。

6着に負けたものの、サトノアレスもまずまず走れていました。
この馬ももう少し馬場の良い方がいいと思いますが、あまりにもキレ勝負になるのも得意じゃなさそう。
せめてこれ位は走ってくれないと面白くないです。一応はG1馬ですから。

3歳馬だと逃げたレッドアンシェルは見せ場十分でした。
内埒一杯で粘り、歴戦の古馬をヒヤっとさせるには十分な走り。
久々でしたがNHKマイルカップの時よりもスタートも良かったですし、パドックから返し馬も馬具をあんなにつけていた効果も出ていたのでしょう、非常に落ち着いていました。
1:33.0を切っても十分耐えうる馬ですし、毎回逃げる必要はないですが、先行がしっかりできれば面白い1頭だと思います。

エアスピネルの後ろでイスラボニータも頑張っています。
58kg背負っての走りですし、やっぱりG1馬って強いんですね。
ストライドがグンと変わって加速したのはいい兆候ですね。最後勢いが止まるのはこの馬の仕様みたいなものなので仕方ありません。
それでも違いをきっちりエアスピネル以外の馬には見せつけたというのは、2歳から活躍している6歳馬ですがまだまだ第一線です。
3歳の頃の走りではやや違うと思いますが、長く見ている馬だけに、そういうのを感じられるイスラボニータは、私にとって「特別な馬」です。

クルーガーもかなり後ろから追い込んで上がり34.6とこの馬場にしては破格の時計で突っ込んできました。
直線でイスラボニータの後ろから追い込み、ゴール寸前でイスラボニータに体半分まで迫ったのは立派です。
賞金的にマイルCSは苦しいかもしれませんが、無理せずに来年の春でもいいですし、別路線も行けそうです。
5歳ですがまだ13戦。これからもう1回期待できそうです。

負けた組だとグランシルクは京王杯SCでも走れていたので、この中ではマシかなと思っていたら案外な結果に。
ここまで崩れるとは意外です。東京1600は長いですかね。
東京マイルで走るのは条件付きなのは分かっていても、前走強かっただけに勢い信じての3番人気でしょうが、中山と東京は同じマイルでも違うってことでしょう。

ロードクエストはスタート後手からかかって…と何か工夫が必要だと思います。毎回同じです。
単なる早熟馬と言われてしまっても仕方ない成績ですが、差し脚を信じて下げてゆったり走れればいいんですが、後方でも力抜けて走れてなく、かかってますからね。
ゲームじゃないので下げれば落ち着くってものでもありません。難しい。

エアスピネルは重馬場もへっちゃらな走りで2馬身差。1:34.8できちんとまとめました。
4コーナーでマイネルアウラートとの間に入って変な動きを抑制したのがキーポイントだったと思います。

切れ味という点は劣るものの、こういうレースさせると強い。
1頭になっても(馬がばらけても)馬自身で止まらず、後続を突き放す強さがあり、前向きな気性も加わってこういう馬場が得意なんだと思います。
それこそフランスとかの方が面白いでしょうね。

京都マイルは得意なのは分かりますが、持ち時計はあるものの1:32.0を切るとどうなんだろう?というのが出てしまうのも事実で、G1勝つには少しでも天候の恵みがあるといいんですけどね。
素質はG1級なのは間違いなく、後はどのタイトルを獲るか?でしょう。
かつてローエングリンやテレグノシスがやったみたいに、ジャック・ル・マロワ賞→ムーラン・ド・ロンシャン賞とかが見たい。

帰ってくるエアスピネルとイスラボニータ。
先週の秋華賞もでしたが、上位は武豊、ルメール、内田、福永、デムーロと並び、やはりトップ10入りのジョッキーが並びます。

とはいえ菊花賞はそうはいくまい。