第35回マイルチャンピオンシップ レース回顧




第35回マイルチャンピオンシップ(G1・京都・芝1600m・良)

秋の空気になってきました。
朝晩は随分と涼しくなり、今年も残り1ヶ月半。15時30分位になるとターフには西日が差し込み、競馬写真好きは少々工夫がいる季節です。
本当に上手な方は影を上手に使いますが、観戦を兼ねての写真だと大変です。

豪華メンバーです。
京都が混まなければ行きたい位。今の京都は混んでそうで。
過去ゴールデンウィークに天皇賞を見に行った時、平等院鳳凰堂に入るのに1時間以上並ぶとかキツイ。G1ともなれば朝から並んで混んでいる競馬場で過ごしているのにのに何言っているんだ?的なコメントですが、それはそれ。

2歳戦も1勝馬以上の戦いが本格化してきて、赤松賞ではレディマクベスが、秋明菊賞ではユナカイトがそれぞれ敗戦。
前日の東京スポーツ杯もゴール前4頭タイム差無し。2勝しているカテドラルが大崩れ。

予想はこちら。
読み違えた感じもないですが、全体的にイマイチ。

第35回マイルチャンピオンシップ 展開予想

2018.11.16

パドックではグリーンチャンネルでアエロリットがとても褒められていました。
他にはロジクライとモズアスコット。
他の馬もほぼ同じ感じですが、個人的にはロードクエストの雰囲気が良かったのと、アルアインがさすがの馬体。ま、ロードクエストは買わなかったけど。

返し馬は特になし。
現地にいないと返し馬の印象はほとんど分からないです。そもそも分かった所で、、、ね。

馬場は同日の古馬500万下のマイル戦で1:33.7。
1つ前の古馬1000万下で前半が超スローでテーオービクトリーが上がり33.2。
総合的に考えると、1:32.0は切れないと思うけど、一応上がりも出そうだし、1:32.5位では走れてくるかな?と思いました。

そこから読み違えています。困ったものです。

スタートはジャンダルムにブラックムーン、ヒーズインラブが遅れてしまいます。
一方で外からアエロリットがポンと出て、その外からケイアイノーテックもまずまずの好スタートです。

アエロリットが内を見ながら内の馬の出方を伺い、アルアインやロジクライ、ウインブライトが先頭を伺う中、ジュールポレールが押してポジションを取りに行きましたし、ステルヴィオもペルシアンナイトも好位置を取りに。
外でレッドアヴァンセやエアスピネル、ケイアイノーテックは先頭集団を見ながらのレースになりました。

ロジクライがまずは先頭に。
C・デムーロ騎手も内をチラチラ見ているように、先頭は想定外でしたね。逃げたい訳ではないので、抑えるしかありません。
アルアインも別に積極的に逃げたい訳でもないので、少しでも前に行ってくれたロジクライに感謝ですね。

難しい。
ペースも遅いので、もしこれがゲームなら逃げれば勝ちですが、生身の馬。
自分のペースで走るのと別の誰かが作ったペースで走るのとでは違います。
どちらが好きかは馬によって違うでしょうし、そもそも群れで動く生き物ですので、逃げるよりは他の誰かについていく方がストレスが無い馬が多いと感じます。
人もそうですけどね。マラソン等で誰かと走る方がいいタイプと周りに人がいない方がいいタイプといますし。

ロジクライは若干リズム悪いなと思いながら見ていました。ペースの遅さは置いておいて。

外国人ジョッキーは上手だなと思う所は、掛かるのを恐れていないですね。
ステルヴィオもそうですが、ペルシアンナイトも多少エンジンを吹かす位の方がいいですので、適度に推進させながらの追走です。
ペースも上がりようがない組み合わせでロジクライが先頭となれば、積極的にポジションを取りに行っている人馬は、個人的には負けたとしても「仕方ないな」と思えます。

途中からアエロリットが堪らんという感じで先頭に。
最初の600mが35.0ですので、このクラスにしてはスローに分類されます。

2番手にクビを上げたりしてなんとか抑えているロジクライと並ぶようにアルアイン。
アエロリットの後ろからレッドアヴァンセやケイアイノーテックも前に行き、後ろでペルシアンナイトも動きます。

内でステルヴィオが少し促しながら坂を上り、ジュールポレールが中団付近。
その外からエアスピネルと抑えたレーヌミノル。

後方にロードクエストと内にヒーズインラブ。間からモズアスコットはスタートから存在感がありませんでした。
内でカツジ、ミッキーグローリーが続き、ブラックムーンで最後方にジャンダルムという展開です。

前半の800mが47.1。これだと後ろの馬は何かしないと苦しい展開です。
仮に1:33.0でも46.0を切らないと出ませんので、アエロリットの位置でそれならジャンダルムは49.0を少し切る位の位置で走っていますので、ラスト45.0で走って掲示板かどうか?です。
外なんか回していたら届く訳ありません。

ミッキーグローリーも道中抑えるシーンがありましたが、抑えても仕方ないです。
抑えないでエンジンを吹かして徐々に上がっていってほしかった。

モズアスコットは前のレーヌミノルがずるずる下がる影響をモロに受ける形になりましたが、18頭での競馬なら仕方ありません。
こうなることを予想していた人も多かったと思います。中団から後方勢はそれなりにリスクもあります。

アエロリットも途中から先頭に立ちましたが、伺うことなくペースを握ってしまってどうでしたかね?
右回りと関西圏だとパフォーマンスが落ちるのは確かですので、なぜ天皇賞を使わなかったのか?と今でも思うのは置いておき、この相手なら逃げても良かったのに。
ライアン・ムーア騎手を乗せるとこうなりそう、は当たりました。まぁ常日頃からペースメーカーがいるレースをしていますからねー。

道中ロジクライが口を割り、スタミナロスはないかもしれないけど、抑え続けると反応が悪くなります。
本命でしたが、ちょっと苦しいなと思いながら見てました。

4コーナーで気になったのは内でがっしりと手綱を押さえてのペルシアンナイトとミッキーグローリーの戸崎騎手が外をチラリと見た事。

ペルシアンナイトは直線のパトロールビデオを見ると合流地点の内埒より内側を走っていますので、外にスペースが無かったらと思うとゾッとします。
それでもギリギリを突いてのレース振り。暫く追っていませんが、そりゃそうです。
一方でミッキーグローリーの戸崎騎手が僅かですが外を確認する動き。確かに車の運転でもウィンカーだしたら確認するけどさ。
本当に僅かであり、動きそのもので走りに影響があったとは思えません。
それでも外を一瞬でも確認した。大外のほぼ最後方で。

もちろん馬も違うし枠も違うので、全て同じって訳にもいきませんし、安全はもちろん大切。
でも、ここまで外国人ジョッキーに席巻されるのは何か理由があるんでしょう。こういう差もどこかあるのかなって思いました。
事故が無いに越したことはないですが、勝負所であそこまで内を走れれば0.1秒以内での差を争う以上、勝ち負けには影響するかもなって。

そんなこんなでレースが進み、直線はアエロリットが先頭でもアルアインに並びかけられます。
その外からケイアイノーテック、レッドアヴァンセ、エアスピネル。モズアスコットは後方で内外前が壁でほぼ絶望の位置です。

アルアインの後ろからステルヴィオ。

エアスピネルが一瞬レッドアヴァンセの前に出た所で失速。レッドアヴァンセが出た時「エリモピクシーにやられた!」と思いましたが、G1は勝てない一族です。
アルアインが外に大きくよれた内側のスペースを白い帽子2頭。

アルアインがクビを上げてスピードダウンする中、内からステルヴィオとペルシアンナイトが並ぶように出てきて、アルアインを抜き去りました。
レッドアヴァンセが少し失速する中、カツジとミッキーグローリー、ジュールポレールがアルアインを追い詰めましたが、なんとか粘りました。

前はステルヴィオが内を詰める感じで走ったのもあり、過怠金。
ゴール後M・デムーロ騎手が横向いていましたので、「何してんだ!」的な何かがあったかもしれません。差が差だけに。

勝ち時計1:33.3。47.1-46.2。
思ったより後半スピードアップしなかったという印象です。

勝ったステルヴィオはロードカナロア産駒の3歳馬。
アーモンドアイの活躍もあり、ロードカナロアは種牡馬としてある程度活躍するとは思っていても、ここまでは想定外でしょう。キングカメハメハは暫く安泰です。
スタート直後からポジションを取ったのも結果を考えると良かったですし、追い込み馬と決めつけない乗り方はさすが。
直線はずっとアルアインの真後ろにおり、アルアインが外によれた瞬間に内へ。当たり前ですが、ほぼロスなく走れれば、力のある馬ですし、いい結果が出ます。
掲示板を外したのはダービーだけで、そのダービーも距離を考えると頑張った方です。これからマイル~2000mで中心になってくるかもしれません。
思えばデビュー戦を見て以来、例年なら行くスプリングSも毎日王冠も行かなかったので、勝つシーンを見る機会がありませんでした。なんかそういう巡りの馬かもしれない。

2着にはペルシアンナイトが入りました。
きっちり巻き返してきました。
ステルヴィオがあんな前に行くとは…という所でしょうかね。恐らくあの位置を取りたかったはずで、結果的に1列後ろになったのが最後の差になってしまったかな。
それでも今年は未勝利。昨年勝利した時は来年のマイルはこの馬が席巻するかと思ったものですが、今年は全体的に流れが悪い。
香港でサクリと勝ってしまいそうな雰囲気はありますけどね。

3着にアルアインが頑張りました。
ザ・善戦マンです。毎回しっかり走ります。
直線で外のロジクライとケイアイノーテックが潰れてしまい、ポッカリ外が開いたので、走りにくそうにしていました。
大阪杯3着、天皇賞秋4着、マイルCS3着。ペルシアンナイトには今年きっちり先着されているので、G1を勝ち切るには何かが決定的に足りないのでしょう。瞬発力とかそういうもの以外で。有馬記念でも3着にはなれそうですが、どうしますかね?

4着にはこれはびっくりカツジです。3歳馬。
レーヌミノルが外に膨れて発生した内側のスペースを突きました。終始兄貴ミッキーグローリーと一緒の位置でレースをしていました。
直線でも徐々に外に出して行き、上がり最速となる33.4。
最高のレースをしたと思いますが、人気薄ならではの走りだったのも事実。外枠から下げて行き、直線あれだけ上手にいっての4着とも言えます。それでも多くの競馬ファンの悲鳴が聞こえた直線。「アルアインを交わしていたら」という人がいるでしょうね。惜しい。

その兄貴であるミッキーグローリーは大外からこちらも上がり33.4でレース最速。
メリッサの子供たちは揃ってレース最速の上がり。面白い事はあるものです。
色々書いているので特になし。これだけ伸びる馬なので、来年のこのレースに無事に出てきたとして、タイトルはG3の1勝のみって事にはならないでしょうね。
554kgの馬なので、あまり細かい動きをさせるより大外一気の方が良さそうではありますが、途中抑えないでほしかったなという位です。それでも同じ脚は使えたと思っています。

6着7着に牝馬のジュールポレールとレッドアヴァンセが入りました。
ジュールポレールもポジション取りに行ったのにステルヴィオとウインブライトに挟まれてしまったのが痛かった。あれが無ければ3着はあったかも。それ位最後は頑張っていました。
レッドアヴァンセは直線で「やばい、こいつが来た」という位。来春また見たいけど、引退みたいね。お疲れ様でした。

エアスピネルは惨敗ですね。力負けという感じの負け方。
直線までのエスコートは理想通りだったはずなのに、どうしたものか。
レッドアヴァンセより1回前に出てからずるずると。着差、タイム差では小さいものの、大きい負けに感じました。

ロジクライは前半からあんなんじゃどうしようもない。
理想のレースとは程遠い中、勝てる相手でも馬でもないので、仕方ないです。

モズアスコットは直線入り口で不利があったけど、それ以前に位置取りの段階で後手。これでは勝てません。

ジャンダルムはあのスタートと追走ではマイルは厳しい。上がり33.5と出ても結局バテた馬2頭を交わすのみ。
2000m付近で走らないとスタート直後に終戦を繰り返す可能性すらあります。暫くマイルでは見るだけですね。阪神Cでハイペースを追走するレースでもした方がいいんじゃないかな。スイッチが入るかもしれないし。

 

メンバーは豪華で、着差もほぼない、レースの中の不利はあれど、それ以外は特にない。
このメンバーらしい決着なのに、自分としては不完全燃焼感があるマイルチャンピオンシップでした。