写真で振り返る 第33回ホープフルステークス レース回顧




第33回ホープフルステークス(G2・中山・芝2000・良)

少し遅くなったけど、写真もあるしホープフルステークスのレース回顧を。
来年はこのレースがラストとなると思うと、かなり複雑です。
やはり有馬記念が中央競馬最後を飾らないと締まらないなぁって考えてしまいます。慣れもありますけどね。

同じことをし続け、衰退していった企業などを考えると、伝統が今の時代にとって正しい訳ではありません。
いわゆる「イノベーションのジレンマ」に陥らないためにも、「有馬記念が最後」という「競馬の常識」を大きく変えた決断そのものは参考になります。

そんなことは置いておき、今年は2勝馬がレイデオロだけというメンバー構成。
やはりせめて5頭位は欲しい所です。2歳のG2であればまだしも、G1となるとこれだと物足りません。

このレースに挑戦する馬が使うであろう1600m以上の500万下が15レースしかないため、必然的こうなるのも仕方ありませんが、何か秘策でもあるのでしょうか?

返し馬

レイデオロ(葉牡丹賞勝ち。唯一の2勝馬。)

返し馬はバッタバタ。
クビを上げ、気負っているのか分からないけど、落ち着いたキャンターとはとても言えない。
ただ、さすがに2勝している馬だけに大きいストライドで走りそうな雰囲気は感じました。

 

グローブシアター(シーザリオの仔)

1戦1勝馬です。
リオンディーズもエピファネイアも大きかったのですが、430kg位の二回り位小さい馬体。
今のところ兄に比べてヒートアップしそうな雰囲気は少ない馬です。

 

サングレーザー(デイリー杯3着馬)

デイリー杯も掛かり気味になって負けていたので、距離延長がどうかなぁって思っていましたが、返し馬を見る限りではそこまで熱くなっていませんでした。

 

コスモス(川崎所属。フリオーソの仔。)

岡田総帥が英ダービーだなんだと言っていて注目されていましたが、まず見た目としては小さめに感じます。450kg以下の体ですし、走り含めて目立っていたか?と言われると…。

 

アドマイヤウイナー(札幌2歳S3着。お母さんがソングバード)

札幌2歳S、紫菊賞ともに上位の馬が苦戦しているので、どうだろう?と思いつつもキャリア上位なので悩ましい。
馬の体型もあるけど、もう少し絞ってきた方がいいような気もします。

ここまではターフに日が差し、馬もピカピカでいい感じです。

 

スタート~向正面

スタートはレイデオロ、グローブシアター共に五分。
5番のサングレーザーが少しバランスを崩しながらのスタート。ビルズトレジャーもあまりいいスタートではありませんでした。

内ディアシューター、外目から押してニシノアップルパイ、ミスディレクション辺りが先頭を伺います。
サングレーザーはやはり少し力が入っているような追走。
レイデオロも後方でじっくりと構えていますが、意識的に下げているという感じですね。

血統的に注目してみていたグローブシアター周辺です。

リオンディーズに比べると大分落ち着いて追走できています。
デビュー戦もそうでしたが、性格にしても2戦目で馬群に入れて中段でしっかりと折り合えていたので、雰囲気は良いと思います。
走りはエピファネイアとは少し違う感じを受けますが、リオンディーズには似てると思います。
小さいながらもストライドが狭い印象はありません。

先手を取り切ったニシノアップルパイが先頭、2番手がミスディレクションで2コーナーへ。
レイデオロは後方2番手という位置もそうですが、前と少し距離があり、後方にいるショワドゥロワとも距離があり、返し馬でみせたような雰囲気も一切見せず、長手綱でゆったりとしていました。

スタートからしっかり下げると、「はいはい、まだ行かなくていいのね」というのが分かっているのかもしれません。スタート直後の雰囲気とは違い、とてもいい雰囲気で2コーナーへ入れました。

 

ペースを握ったニシノアップルパイ。2番手にミスディレクション。
内でディアシューター、アドマイヤウイナーは早め。
やや抑え気味が続くサングレーザーにメリオラ、内でエンドゲーム。
中段外目にコスモスが追走し、間にグローブシアター、内でマイネルスフェーン。

少し離れてベストリゾートにレイデオロ、後方にショワドゥロワで最後方にビルズトレジャーという展開です。

前半は35.6 – 60.3。
昨年が62.1、一昨年が61.5ですので、やや時計のかかる馬場も加味してペースは流れました。
大きく上がり下がりする事無く、淡々と流れています。
スタミナもそうですし、ある程度のスピードの持続力がないとなかなか厳しい。

前傾のラップ=ハイレベルなんて単純なものではないですが、一定水準のスタミナが問われるため、力の無い馬が脱落します。
そのレースの信頼という意味では上がり勝負に比べるとまだありそう、というものではないかなと。

道中はサングレーザーが行きたがる仕草がなかなか収まりませんでした。
もう少し気楽に走れると違う気がします。

レイデオロは後方で隣のベストリゾートがガタガタしていましたが、動じることなくじっくりと。少し寄られたらスッと1頭分離していますし、可能な限りリスクは排除していたと思います。

コスモスも追走はそこまで苦労している様子はありませんでしたが、勝負所の3コーナー辺りから徐々に遅れます。外を回っていたとはいえ、スピード不足の印象です。

 

4コーナーから直線

4コーナーで大外に持ち出したグローブシアターに対し、内側を可能な限りじっくり走ったレイデオロ。最内を回ったマイネルスフェーン。
スッと外から反応良く解放されたサングレーザーが先頭に立ち、アドマイヤウイナーも抵抗します。

メリオラも直線入り口にかけての走りは悪くはありませんでした。
ただ、前に並びかけるまでいけなかったのは今の力でしょうね。

サングレーザーが粘り込もうとするところ、外から余力充分にレイデオロが進出します。
ここまで鞭も使わず、コース取りもコーナーで無理に外に出さず、コスモスの内側を走ることで進路を何事もないかのように取りました。

唯一の2勝馬にここまでのレースをさせるとライバルはお手上げでしょう。
サングレーザーは走りが大きいですが、やはり前半の分もあるでしょう。回転があがりませんでした。

グローブシアターも大外走って伸びているものの、「抜群の切れ」という馬ではなさそう。
走りがリオンディーズは直線でバシっと変わりましたが、そういう馬でもなさそうです。今のところは。

レイデオロの坂を駆け上がる脚の鋭さは素晴らしいものがあります。

時計だけみれば、上がり35.7はレース2位のマイネルスフェーンの36.0と0.3秒差。
ただ、それ以上の差を感じました。1F位の切れ味はかなりのものです。

東京のデビュー戦もラスト1Fで一気に交わしたように、長くじっくり伸びるというタイプではなさそうに見えます。
瞬間的にギアが入り、そこから素早く加速します。

道中は後方でじっくり構えられ、するすると馬群を縫え、直線開いた瞬間に抜け出せる。
混戦向き、中山向きだろうと思いました。
東京だと「真っ直ぐ走れればいける」という馬でもやれますが、中山で多頭数だとこういう馬は崩れにくいと思います。
皐月賞は本命で出れる馬ですね。同厩舎のライバルであるサトノアレスは「真っ直ぐ走れればいける」タイプだと思いますので、今年のメンバーだとリーチがかかっているような感じすらしました。

母はウインドインハーヘアからの流れを汲むラドラーダ。
母の母のレディブロンドも、母父シンボリクリスエスも、母ラドラーダも全部藤沢厩舎。
すごいですねー。

葉牡丹賞→ホープフルステークスと連勝した馬は1990年以降3頭目。

  • 1992年 ウイニングチケット(後のダービー馬)
  • 2008年 トーセンジョーダン(後の天皇賞馬)
  • 2016年 レイデオロ(???)

どちらもきっちり1馬身以上差をつけていますし、今のところ言う事がありません。

2着のマイネルスフェーンは最内じっくりの騎乗が功を奏しました。
前が潰れる流れになり、後方内で脚を溜められたのもありますが、人気薄の思い切った騎乗でした。
この時期に重賞2着は大きい。3着とは雲泥の差です。

3着のグローブシアターはレイデオロとの力差は現時点ではあるものの、500万下位なら早々と卒業できそうな走りでした。
直線で走りが変わりそうで変わらなかったので、もどかしい感じも。
道中も落ち着いて走っていたので、この一族にしては随分とイメージが違います。

サングレーザーは直線までもう少し楽に走れればもっと上に行けそうです。
直線ストライドも大きく、回転が鈍らなければいい所に行けるはずです。
短い距離の方がいいかなって思いましたが、この手の馬は皐月賞で頑張りそうな気もします。

コスモスはダートに戻った方がいいかも。
450kg位の馬なので、ダートだとパワー不足も心配ですが、現時点はそっちの方がいいんでしょうね。
500万下位なら十分やれそうですが、中距離でないとスピード不足が影響します。
長めの距離なら、トラストよりは適性はあると思います。