2016年香港クイーンエリザベス2世カップ レース回顧




クイーンエリザベス2世カップ(G1・香港/シャティン・芝2000m・Yielding)

雨が降って馬場が悪化した今年のQE2世C。
香港は馬場状態を表すものが分割され過ぎていてわかりにくいですが、重馬場位だと思います。

日本からはラブリーデイ、サトノクラウン、ヌーヴォレコルトの3頭が出走。

馬場の影響は少なからずあったと思います。
1つ前の芝1400mが勝ち時計1:23.79。ここで2着だったPeople’s Knightという馬は今年に入ってから1:22秒台で走っています。
2つ前の芝1600mも勝ち時計1:37.37。ここでも2着だったElectronic Phoenixという馬もその1つ前同じコースで1:35.77。
2つ位サンプルがあれば十分でしょう。1秒~1秒半位はかかってしまう馬場と見積もるべきかなという印象です。

レースはこんな感じ。

最初のコーナーまでの探り合いがなかなかでした。
前には行きたいけど、先頭には行きたくないというのが見え見えで、ハイランドリールのムーア騎手とサトノクラウンのパートン騎手が揃って内を見たりしていました。
1コーナーでその2頭とブレイジングスピードに挟まれて勝ったウェルテルがクビを上げて下がるシーンがありました。

サトノクラウンがまさか先頭を走ることになるとは…。
1コーナーまでがあまりスムーズではなかったのが最後響きましたかね。
また、ラブリーデイも向正面に入ったところでクビを上げて走りにくそうにしていました。風なども影響があったのかもしれません。

勝ったウェルテルは向正面は前にサトノクラウンで外にハイランドリール、内にライジングロマンス、後ろにミリタリーアタックと囲まれていましたが、特に内のライジングロマンスをあっさり振り切れたので、内もスムーズに走れました。
とはいえあれが強い馬だったらポジション争いがもう少し激化したかもね、という位ではありますが…。

勝ち時計もこの馬場にしては速かったです。
重賞競走の芝2000mの平均が2:01.85なので、この馬場で2:01.32はいい時計です。

ペースも25.21 - 24.29 - 24.27 - 23.99 - 23.56 ですから良馬場の時より前半が流れています。
向かい風と重馬場を考えると、前は飛ばし過ぎでしょう。
今回の前半:1:13.97
平均の前半:1:15.75
と大体イメージとしてはシャティン競馬場芝2000mの平均より1秒以上かかる馬場にも関わらず2秒も前半が早いというものです。

結果的に力が劣るというのもありますが、前半10番手より後ろにいた馬4頭が6着以内に全て入っているのは偶然ではありません。
前の馬は悉く潰れています。
結果

そういう見方ならラブリーデイは頑張りました。
最後離れさてしまいましたが、この馬は良馬場の方がいいし、前に行って粘り込む作戦はいいと思いますし、枠的にも仕方ないと思います。

ヌーヴォレコルトは内を突けないと厳しいですね。
ほぼ同じ位置にいたミリタリーアタックが最後内を突いた所で大きく離されてしまっています。
向正面で徐々に外に出していますが、あの時に勝ったウェルテルの後ろにいたらどうだったかな?と。結果論ですけどね。

サトノクラウンは前に行ってしまい、激流に近い流れに自ら波乗りしてしまった感じです。
前に行くこと自体は作戦でしょう。馬場はある程度こなせると思ったのですが、もしかしたらこの馬、ムラがあるのかもしれませんね。

香港組以外ではハイランドリールは4コーナー位で伸びる気配がなくなり8着。
位置取りもズルズル下がってしまったので、馬場かもしれません。
欧州馬=馬場が緩いのが強い という単純なものではありません。馬の個性です。

Drawの欄を見ていただければわかる通り、上位5頭で枠が5番より外は追い込んできたミリタリーアタック以外はいません。
やはり内枠有利は続いていて、外枠は力不足なのもありますが、大きく負けてしまいました。
この流れは当然次も続くので、注意してみていきたいです。

勝ったウェルテルは香港ダービー馬ですが、これからでしょう。
ゴールドシップの皐月賞よろしく、最内を上手に突いた+この馬場の適性が他の馬より高かった、という作用が働いたのではないか?という疑惑を払拭するためには、次のレースできちんと結果を出さないとわかりません。

来年以降も香港への遠征は続くでしょうし、この敗戦は年末にでもきっちりリベンジしてもらいたいと思います。