第97回凱旋門賞 レース回顧




第97回凱旋門賞(G1・パリロンシャン・芝2400m・良)

エネイブルの2連覇で終わった凱旋門賞です。
今年現地観戦をしていたら、奇跡的に2連覇をする馬を2頭見るという快挙だったのか…と思うと少し寂しい気も。
まぁそんな事言ってたら金と時間が幾らあっても足りません。

クリンチャーも参加して日本でも馬券が売り出された凱旋門賞。
【JRA】凱旋門賞の海外馬券発売、今年の売り上げは24.7億円 レース単体では今年最高」という発表がありました。

これだけ毎年凱旋門賞が恒例になっていると、もはや日本馬の出走有無に関わらず売り出すしかないでしょうね。
スプリンターズSとも被らなかったのもよかったと思います。
ただ、iPatの入金遅れで「しまった!」という人はどの位いるのかな?

馬場発表は良。
ただ、肌寒く薄曇りのパリロンシャン、ってな様子。
気持ち朝にパラパラあったみたいですので、いわゆる日本的な純粋な良馬場という事ではないですね。

パドックはさっと流す感じですかどちらにしても見れないので、特にありません。返し馬もきちんと歩いて入場し、あるタイミングで多くの馬が一斉に走り出してしまうので、カメラ的は辛いレースです。頭数も多い。

そんなこんなですぐゲート裏。すぐゲートイン。で、ゲート入りでもたもた。
クリンチャーは1番だったこともあり、長い間映っていましたね。

いつの間にか入り切って、いつの間にかスタートを切ります。現地に行った人は分かると思うけど、そんな感じ。
昨年も隣のフランス人が酒で乾杯してたらスタート切っててびっくりしてましたもん。「ちゃんと見てろよ」と思ったけど…。

内でクリンチャー、ネルソンが好スタート。
カプリは少し押しながら前に。それ以外だと目についたのは大外から切れ込んできたスタディオブマンでしょう。
ブリンカー効果でガツガツ行きました。

大外に1頭ポツンと黄色の勝負服デフォーがいます。
馬群に入れるとダメ、入れないとダメと様々。これも馬です。
エネイブルは少しクビを上げつつもカプリの後ろへ。スタディオブマンがあのまま外に蓋していたらどうだったかわからないですが、下げたので楽に外にフリースペースができました。

途中からデフォーが外から進出し、3番手に。多いので全部書き出していません。
ネルソン先頭でカプリ2番手、3番手にデフォーが外、最内がクリンチャー、真ん中エネイブルという先頭集団。

外にハンティングホーンがおり、その後ろの外にスタディオブマン、その後ろの外に白い鼻のタリスマニック。その斜め前に青い勝負服に白い帽子がクロスオブスターズ。

その後ろの13番手位、馬群の真ん中に赤い勝負服のヴァルトガイスト。
その真後ろにキューガーデンズがおり、最後方の一番内側。普通に考えたらこの時点で万事休すのシーオブクラス。

ペースとしては1400m通過が1:29.33と出ています。
結果的に勝ち時計が2:29.24。

思ったよりペースも時計も出なかったです。
マルセル・ブサック賞の1:38.98も最近だと遅い(例えば2015年は1:35.44、2014年は1:37.45)ですし、ジャンリュックラガルデール賞の1:39.10も2015年が1:37.27ということを考えればそれなりに遅い。
馬場は良馬場発表でしたが、気持ち遅い馬場でした。

フォルスストレートで少しネルソンが離し、カプリ2番手。
内でクリンチャーが手が動くのを横目に持ったままのエネイブル。
1:52.46で残り600mに向かいます。この2Fが23.13とペースアップしていますので、ついていけないのも無理はありません。
エネイブルの外にいたデフォーにも鞭が入り、ついていくのが精一杯。

直線では外から「じっくりと」という表現になってしまうエネイブル。
カプリに並びかけてからの追い出しで一気に抜き去ります。

その後ろからクロスオブスターズがするすると抜け出してきて、クロスオブスターズの内を選択したヴァルトガイスト、そして最後方最内という位置から馬を縫ってクロスオブスターズの外に持ち出したシーオブクラス。
最後方組だと一番外までは行きませんでしたが、内に入れなかったキューガーデンズ。

ラスト200mは手に汗握りました。
先に抜け出したエネイブルに外から一気の追い込みを魅せたシーオブクラス。
一歩一歩差を詰め、並んだところがゴール板。

その後ろにクロスオブスターズ、ヴァルトガイストと続き、粘ったカプリが5着、サルウィンが頑張って6着。
キューガーデンズは大外からいい脚でしたが7着止まり。スタディオブマンも直線一瞬素晴らしい伸びでしたが、内のネルソンも交わせず9着。
クリンチャーは勝ち馬から18馬身差の17着でした。

勝ったエネイブルは素晴らしい走りでした。

勝ち時計2:29.24、レース上がり36.78(推定)。
ラスト3Fは12.39-11.88-12.51。
抜け出すときは11秒台前半に近いキレを見せていますので、さすがに止められません。
抜け出してからは少し甘くなり、シーオブクラスに肉薄されましたが、それでもしっかり勝ちました。
道中の運び、直線の末脚。なかなか良いものを見させてもらいました。

2着のシーオブクラスは最後方からあれだけの脚を使うとは…。
特にゴール前、12.51と若干鈍ったとはいえ残り100m地点でエネイブルとカプリが3馬身。
それと並んでいたのがシーオブクラスですので、100mで0.5位上回りました。来年も現役なら面白くなります。
父であるシーザスターズも馬を吹き飛ばしてズンズンと前に行き、勝った非常に強い凱旋門賞馬でしたが、娘もそれに近いレースをしました。
それにしてもガリレオはロンシャンは走らんが、シーザスターズは3着もそうだし走ります。

3着のクロスオブスターズはお得意のロンシャンでしっかり復活。
ある程度流れてだと折り合いも苦労しないし、馬群を縫える力はここに来ると上位です。

4着のヴァルトガイストはもう少し前に行けたらよかったですが、多頭数ですし仕方ないでしょう。
フォルスストレートで若干手応えが怪しかったですが、しっかり巻き返してきました。
ここにきての充実度からしたら当然か?

負けた組だとスタディオブマンが最後パタッと止まりましたが、前半から前向きでブリンカーが効いています。
長い距離は難しいですが、マイル~長くて2000m付近なら、来年も楽しめそうな感じがしました。
ディープの仔ですし、マイルで復活してくれれば。

クリンチャーは前半の位置取りはバッチリでしたが、直線は苦しくなってしまいました。
ネルソンがそこそこ粘っていますので、ペースは言い訳にできませんし、枠もベストだったと思います。
環境適応など含めての力負けですが、チャレンジしないことには、わかりませんし。今回は結果は出ませんでしたが、日本馬が出ると出ないとでは違いますので、また出走し、そして無事に帰ってきてもらいたいです。

デットーリ騎手はこれで凱旋門賞6勝目。勝ちますね。4年で3勝は驚異的です。

  • 1995 – Lammtarra(ラムタラ)
  • 2001 – Sakhee(サキー)
  • 2002 – Marienbard(マリエンバード)
  • 2015 – Golden Horn(ゴールデンホーン)
  • 2017 – Enable(エネイブル)
  • 2018 – Enable(エネイブル)

勝ったエネイブルは凱旋門賞を2連覇です。
過去凱旋門賞で2勝上げたのは以下の馬です。コリーダ、トレヴに次ぐ3頭目の牝馬での連覇です。

  • 1921-1922/Ksar(クサール)/トウルビヨンの父
  • 1930-1932/Motrico(モトリコ)/連覇ではない。3歳と5歳で2勝。
  • 1936-1937/Corrida(コリーダ)/牝馬。古馬になってから連覇。
  • 1950-1951/Tantieme(タンティエーム)/凱旋門賞の格を考えると最初の連覇
  • 1955-1956/Ribot(リボー)/16戦無敗。
  • 1977-1978/Alleged(アレッジド)/G1は2勝のみ。2勝がコレ。
  • 2013-2014/Treve(トレヴ)/牝馬。3連覇は失敗。
  • 2017-2018/Enable(エネイブル)/牝馬。現役。

 

さて、もうすでに凱旋門賞は来年のオッズも出ています。
エネイブル、シーオブクラスに続くのも牝馬のLaurens(ローレンス)。マイルしか走ってないけどG1は先日のサンチャリオットSで5勝目。名牝ですが、勝ち方が地味すぎて…。

 

2歳馬だと英オークス3着のVolume(ボリューム)を母に持ち、ドバウィ産駒のQuorto(クオルト)
ナショナルS(G1)を勝って3戦無敗。

同じく3戦無敗。ダーレミとドバウィの仔であるToo Darn Hot(トゥーダーンホット)
7馬身→4馬身→1馬身半と差が詰まっていますが、レベルが上がっていますので。

ま、目の前のレースすら当てられないのに、来年なんて無理。