フォワ賞のエントリー状況
9月に入り、フォワ賞も近づいてきました。
2017/09/02現在で現在19頭のエントリーがあります。
当然全部はおろか半分出てくるのが精々なので、最終的にはノブレス含めて6頭位になるんじゃないんですかね。
エルコンドルパサーでもフォワ賞を使うしかなった
「サトノダイヤモンドの渡仏 前哨戦3週間前…この時期がベスト」という記事がありました。
私も同じことを考えています。これがベストだと思います。
「勝っていないじゃないか!」という意見はありますが、日本の馬が行く受け入れ態勢が整っているフランス以外には考えられず、札幌記念かフォワ賞(アークトライアルのどれか)以外は丁度いいのがありません。
エルコンドルパサーは元々3つのレースを凱旋門賞の前哨戦として候補にしていたと言われています。
・フォワ賞
・愛チャンピオンS
・バーデン大賞
しかし、最終的には「受け入れ態勢が整っていない」という理由で愛チャンピオンSとバーデン大賞をパスし、地元フランスのレースに出ることになった、と書かれています。
フランス馬として走っていたエルコンドルパサーでさえ、少なくとも当時はそんな状態。
今になってどれだけ改善されているか分かりませんが、一発勝負ではない一叩きのためのレースにそこまで神経を使う理由がないと思っています。
欧州⇒欧州というので日本からの移動距離に比べれば小さいものの、フランス⇒アイルランド(ドイツ)に移動するには国を跨がなければなりません。
アイルランドの馬が地元で走るのとはわけが違います。
日本⇒⇒⇒⇒⇒フランス⇒アイルランド⇒フランスと2ヶ月足らずで移動するのは人間だって辛いです。
フランス⇒アイルランド⇒フランスの行程は仮に一緒でも、その前に日本から来ているというところが大きく違います。
コーディネーターの人はいるとはいっても、別の国のエサは口に合うのか?芝や調教コースは整っているのか?どこで過ごせるのか?など色々。
ホテルに滞在して後は適当に、という観光旅行ならどうとでもなりますが、アスリートとしてのサラブレッドを連れ回すにはきちんとノウハウがないと…でしょう。
エルコンドルパサーもフランスに行った当時、現地で用意されたカイバに口をつけず、日本からのものに最初は切り替えたと言います。
拠点が1つならともかく、2つ以上回るのは馬にとってプラスになるか?というと疑問です。草の味も違うんでしょうし。
ではそのノウハウを溜めるためにやれ、とせっかくの1頭を無駄にできるか?というと難しい。
リスクを小さくしていった結果、安定して凱旋門賞へ出走できるようになったのだろうと思いますし、それは日本競馬ファンとしても嬉しいことです。
JCに欧州馬が躊躇するようになってしまったので、たまに行ってくれると目先が変わって面白い、程度ですが。
「凱旋門賞を勝つのにリスクを取らないでどうする!」というのは分からなくもありません。
日本競馬ファンだし、世界の競馬もちょろっと見てますが、別に勝てないから劣っている訳でもないですし、世界的に上位の馬同士がぶつかればそう簡単に勝てないのはどこでも同じ。
一人の競馬ファンとしては、今回も勝ってほしい想いはあります。
ただ、勝たなくても続けてほしいし、勝っても続けてほしいと思っています。
私は日本でその馬を生で見たいなと思う。
この手の遠征の話になると必ずヤフコメとかに出てくるのは「英国際Sからにしろ」とか「愛チャンピオンSにしろ」とか「春から行け」とか。
遠征の期間には1つの壁がある事は競馬ファンならご存知でしょう。
60日以上海外に行っていると、戻ってきた時の着地検査が3ヶ月になります。それ以内だと3週間で済みます。
現役競走馬限定ではあるらしいですが、もし英国際Sから出走したもんならほぼ間違いなく秋に日本で競馬を走れません。
ゼンノロブロイの例でいえば、英国際S(当時8/16のレース)に出走するのに輸出検疫は7月14~18日。出国は19日。現地で約1ヶ月取ってレースをしています。
帰国は8月25日なので、40日弱。だから秋には十分間に合いました。
このスケジュールで凱旋門賞まで走ってしまうと帰国が10月5日位になってしまいます。
8/20前後のレースに出走しようとしたら出国期間が7/20~10/5になってしまい、初日含まないで77日。着地検疫で秋潰れます。
サトノダイヤモンドの遠征は8/18~10/5(?位)でなので、50日弱。少しアクシデントで後ろ倒しになっても60日以内で帰ってこれます。
その上で現地入り後約1ヶ月時間を取れます。
「日本で無理ならその後BCターフ⇒香港ヴァーズでいいじゃないか。」というのは私はどうも好きになれず、やはりJCや有馬記念で見たいと思うのです。
ましてや凱旋門賞を勝ったとしたら尚更。
日本の馬が凱旋門賞を勝ったのにも関わらず、JCや有馬記念で見れずに海外で見るなんて面白くないです。
今回のサトノダイヤモンドやオルフェーヴル、ディープインパクト(や他の馬)のように、期間を決めて「行って走り、そして帰ってくる」という流れの中で勝つことに意味があると思っています。
遠征に向く馬と向かない馬
これも大昔のナンバーに書いてありましたが、神経質すぎてもダメで鈍感過ぎてでもダメと書かれています。
人間でもそうですけど、神経質すぎると慣れない土地に参ってしまいます。
鈍感すぎると現地に適応はしにくいでしょうね。「郷に入っては郷に従え」というのもありますので、あまり無視して我が道を行きすぎるのも「現地適応」という意味ではマイナスです。
これはやってみないと分かりません。
人間だってそうですが、明るくてどこでもコミュニケーション取れそうな人でも新しいコミュニティに行ってみたら合わなかった、という人もいるはずです。ましてや馬。
そういう人も馬もですが、短期の一発勝負の方がうまくいきます。
香港とかそういう感じなんでしょうね。
私はエイシンプレストンは旅行(それもパッケージツアー)好きだった、と思っています。
仮にあの馬が長期遠征したからといって上手くいくかは別問題。
エルコンドルパサーを日本馬って思ってたのかな?
凱旋門賞となると成功事例として引き合いに出されるエルコンドルパサー。
絶賛されている事も多いですが、あれは「遠征」とは言わないでしょう。
イチロー選手が大リーグへ遠征中ではないのと同じで、「完全移籍」です。
今更イチロー選手を「元NPB選手」とか言わないのと一緒。
そりゃ関係者は日本人だったかもしれませんが、日本に帰ってくる事はありませんでした。
長期間フランスにいる馬を「元日本調教馬」というのは間違ってはいないものの、本当に心から「日本馬」として見ていましたかね。
2年間位しか現役を続けないトップクラスのサラブレッドが1年(厳密には4/14だから半年位だけど)フランスにいたら、半分はフランス馬です。
モンジューとのレースは面白かったと思います。
「すごいな」とは思いました。馬場が良かった時のデイラミが見たかったというのは抜きにしてもいいレースでした。
強さは疑いようないですし、恐らく翌年も続けていたらもっとG1を獲っていたでしょうね。関係者も素晴らしいと思います。
それでも私は「日本馬だ!日本馬の快挙だ!」というのはちょっとすっきりしない気持ちでした。別にキングマンボの仔だから、とかいうのではなく。
1年間日本で全く走っていない馬を「日本馬」と言えるのかなぁって。
今更オーストラリアに移籍したトーセンスターダムを「日本馬」というかというと微妙でしょう。
そんなこと言ったら海外駐在の人は日本人じゃないのか?という事ではありません。ヒトとウマは違います。
ウマは人種もないですし、恐らく生まれた国なんて考えてないでしょうし、なんちゃら代表みたいな感じで国を背負う事もないですし、背負う必要もないからこそかもしれません。
強いてサラブレッドに国籍を選択するなら走っている場所だと思っているので、エルコンドルパサーは遠征という移籍をした段階でフランス馬ということで見てました。
サトノダイヤモンドについて
凱旋門賞でもいい勝負なのは間違いないと思います。
というかレーティング120ポンド級の馬がG1でいい勝負できないレースは世界中探してもどこにもありません。
もちろん向き不向き(遠征含め)で負ける事はあると思いますが、レースは上手だし、ライバルがイマイチ。
イネイブルだって絶賛されているものの、タグルーダとそこまで差がある気がしていません。
あっちは高速決着のアスコットで突き抜けていましたので、馬場に関しては高速決着もお手の物でした。そのタグルーダはハープスターと凱旋門賞で2馬身位の差。
2番人気Ulysses(ユリシーズ)のレースでサトノダイヤモンドが「通用するしない」を考える必要はありません。
最新のコメント