レース
運命のゲートが開きます。
内でマイスタイルがポンと出て、クリンチャーが躓いた訳ではないですが、ややガクッとしたスタート。
スワーヴリチャードもやや下手ですし、レイデオロも後ろ体重になっているので下手。アドミラブルはまずまず出ました。アルアインも非常にいい反応です。
さて、クリンチャーが行くかなと戦前の予想をしていましたが、マイスタイルがあっさり先手を取り、その後ろからアルアインにトラスト、ベストアプローチといった馬が前に行く中、クリンチャーは早々に行けない感じとなってしまいました。スタートも五分しか出なかったですし、外枠なら違ったかもしれませんが内外から殺到されてしまったので、苦しくなりました。
スワーヴリチャードは内から出遅れ気味でしたが、比較的内目の馬が前に行ったのとアメリカズカップがなぜか相当抑えていたので、リカバリーは楽だったように思います。
それにしてもアメリカズカップはなぜあそこまで抑えたのだろう?無理に行けとは言いませんが、きさらぎ賞を前目に行って押し切っていた馬だけに、スタート多少悪くて掛かり気味なったのは分かりますが、人気もない内目の枠ですし、積極的に攻めてほしかったです。
すんなりマイスタイル先頭でアルアイン2番手。
トラストが外からスッと上がっていき、最内にダンビュライトという馬達が先頭集団を形成します。
レイデオロ、スワーヴリチャード、アドミラブル周辺です。
スワーヴリチャードは内から適度にポジションを取りながらの走り。
レイデオロはきっちり下げてペルシアンナイトを前に置き、外からアドミラブルに被せられると厄介ですが、そこまではなく外に自由のある中段外目。
そしてそれを見る形でアドミラブル。
アドミラブルはやはり外枠という事もあり、ここでポジションが1列後ろに。
青葉賞の時よりは随分真面目に走っていますが、レイデオロの位置が取れるといいんでしょうが、1頭分でも大きい。
土煙の舞う1コーナーです。
ペルシアンナイトがガッとヒートアップしていました。
目立ったのはこの馬だけです。ペースが出なかったのは事実ですが、「遅くなった時に対応できる馬」が長い距離を走れる馬です。
そういう意味では、長い距離を走るには性格的には向いていない感じがしました。返し馬の時は雰囲気いいですが、それだけでは分かりません。
それを見る形でレイデオロ、更にアドミラブルと続きます。
向正面に入る所で大体スロー確定。
最初の3Fが37秒を切るか切らないかでマイスタイルが通過して、ペースを読み違えたなと一人早々と反省していました。
マイスタイルが逃げトラストが2番手。
皐月賞馬アルアインに内からダンビュライトが追走。
ダイワキャグニーにクリンチャーが掛かり気味。クリンチャーはチグハグでした。
内でじっくりスワーヴリチャードにウインブライト、ベストアプローチといてサトノアーサー。
中段外にペルシアンナイトで内でアメリカズカップ、マイネルスフェーンといてレイデオロ。
ジョーストリクトリにカデナ、アドミラブルでキョウヘイ最後方という展開でした。
が、向正面中ほど少し前、1000m通過前にレイデオロが動きます。
これは驚きました。12番がいつの間にか2番手にいて、レースが分からなくなってしまいました。
それを追いかけたペルシアンナイトにアドミラブル。
確かにペースは超スローです。
37.1-63.2ですので、この馬場なら余裕も余裕でしょう。私の予想より4秒近く遅いので、別のレースになっていました。
スローも予想しなかった訳ではありませんが、その場合は誰かが動かすだろうと思っていました。
それがまさかレイデオロだとは…。個人的にはダンビュライト辺りが動かすか、それこそアメリカズカップ辺りが動かすか、だと予想していました。
ダンビュライトは内で包まれていましたし、アメリカズカップは後方のまま。すんなり外にスペースのあったレイデオロが2番手に。
ペルシアンナイトはついていきましたが、道中の感じからすると「これ以上抑えても仕方ない。あれが行くならついていこう。」というような積極的に見えた消極的な動きだったように思えます。
それですら抑えきれない状態でしたので、1コーナーでガツっと行ってしまったのが仇になってしまいました。外も空いてましたし。
4コーナーでは青い帽子のアルアインですね。
これは結果的には非常にもったいない1戦になってしまいました。
レイデオロに行かれたのは仕方ないにしろ、ペルシアンナイト、スワーヴリチャードにも内から入られてしまい、4コーナーではかなり外目。
4枠からすんなり前が取れたにも関わらず、タイトにコーナーまで行ってレイデオロの隣なら面白かったのですが、このペースで外々に振られるだけになってしまいました。
距離不安もあったかと思いますが、先に仕掛けていたらほぼ先手が取れていたであろうレースだったと思います。
そしてマイスタイルが先頭で4コーナーから直線へ。
直線の大歓声はまさにダービーならでは。このレース以外ここまで歓声が上がる事はありません。
直線でマイスタイルが内外離れていたのもあり、かなり突き放しているように見えました。
そしてトラストとかも頑張っているのを見て、悲鳴が上がる直線になってしまうかもしれないと思ったものです。
残り400m付近ではこんな感じで見えてましたから。
ペースも知ってますので、このままだとマイスタイルが押し切っても何ら不思議ではありません。
レイデオロやペルシアンナイト、スワーヴリチャードが頑張っていますが、4コーナーから一気に加速したレースですので、なかなか抜かせません。
アドミラブルは青葉賞のレースに比べるとペースも相手も違います。
前を抜くのも一苦労。この時点では5着がギリギリか?という位置でした。
残り200mでレイデオロがほぼマイスタイルを捕えます。
外を向きながらスワーヴリチャードが追いかけ、その後ろからアルアインも頑張っていますが前との差があります。
ペルシアンナイトも徐々に遅れだし、ダンビュライトも前と比較すると、というかこの辺は10秒台のラップがレースで刻まれていますので、前を抜くとか無理です。
持続できない馬が少しずつジワジワと遅れだします。
アドミラブルはまだ後方。ここまでくると勝ち負けまでは苦しいという位置になってしまいました。
ついにレイデオロが先頭に立ちます。
それを追いかけながらも外手綱を開きながら真っ直ぐ走らせるスワーヴリチャード。ここで真っ直ぐもっと楽に走れれば…。
ペルシアンナイトも粘っていますが、ベロを出しながら走るアルアインとの差が徐々に詰まります。
外からようやくアドミラブル。
内でダンビュライトもさすがの頑張りです。伊達に皐月賞3着ではありません。マイスタイルは最後止まってしまいました。
レイデオロが先頭で、スワーヴリチャードの走りに徐々にブレが出てきました。
スワーヴリチャードはここで一杯に。
着差こそ大きく開いていませんが、走りが鈍ったので、最後惜しかったです。本命でしたので猶更。
レース振りは文句なしです。スタートの後手もリカバリをしっかりとして、道中は内目じっくり。
4コーナーでアルアインの内へ入りながら走り、直線はレイデオロと適度な距離を保ちながら顔が外向くのを直しながらの全力疾走。
現時点でのこういう瞬発力勝負だとレイデオロには及ばなかった、というだけだと思います。
秋は毎日王冠から天皇賞ですかね。2400mよりは2000m付近が合っていると思いますし、これだけの馬なら十分すぎる程期待できます。
皐月賞馬アルアインはもう1つ積極的に内を締めるなりしてくれたらどうなっただろう?と思いました。
最後まで走りは崩れておらず、舌を出していること以外は直線の走りは迫力満点。
一瞬のキレよりトータルのスピードを生かしてナンボですので、十分勝ち負けできたと思うだけに、悔しい敗戦でしょうね。
ただ、直線の走りとか見ると、この馬は強くなる気がしました。皐月賞の時よりもそう感じます。
ダンビュライトは内から頑張って5着。
皐月賞上位陣が負けてはいるもののここまできっちり来るのを見ると、あのレースのレベルは低くなかった事が再確認できます。
内枠を生かす騎乗ではあったと思いますが、ペースが落ち着き過ぎたので、この馬辺りが動かしていたら面白かったかもしれません。
上がり33.8は上位陣からすると切れ負け。こういう馬ですので、勝ち味が遅い馬になってしまいそうです。
マイスタイルは驚きの激走4着。
さすがは横山騎手の逃げ。先手を一気に主張し「クリンチャー行かないのかよ」と各馬が思っている内にシメシメと。
後は落とすだけ落としてレイデオロが来てくれたのは最高にうれしかったでしょう。
あれが「いっそ先頭に立ってもいい」というタイプの馬なら話は違ったと思いますが、レイデオロはそこまでの馬ではなく、ルメール騎手騎乗で2番人気。
しっかり壁になってくれて、各馬目標を勝手に切り替えてくれたというのもあり、2頭一緒にレースを支配してしまいました。
最後負けたのは力負けではありますが、ここまでヒヤっとさせただけで十分じゃないでしょうか。
ペルシアンナイトも皐月賞2着馬らしくしっかり粘って7着。
ただ、前半からチグハグさも目立ちました。
もっと楽に走る事ができれば、ってそれが難しいですけどね。力は見せたと思いますが、将来的にはマイル路線で走った方がいいというのは意見が一致しそうな負け方にも見えました。
後方組だとサトノアーサーは走りは軽くて好きですが、今回は走りが大きく変わりませんでした。シクラメン賞の時のようなストライドではなかったので、まだまだこれからかもしれません。
もう1つギアがありそうなだけにもどかしい。
上がり33.4。一旦カデナに遅れても直線最後まで走り抜けた事だけで将来期待します。
アドミラブルは上がり33.3で3着。3並びです。
ゴール前にかけての末脚の伸びは負けたけど評価できるものですし、素晴らしいポテンシャルは感じました。さすがに1番人気になっていません。
やはりこのスローペースに加えて大外からスタート。
これだけ重なると運が無かったというべきでしょう。ダービー馬になるには運も必要です。
青葉賞の時も感じましたが、前半の乗りがイマイチなので、少頭数なら大丈夫ですがまだ多頭数だと信用なりません。そこだけですかね。
菊花賞はいいんじゃないですか。坂の下りでどうなるか見てみたい。
レイデオロが歓喜のゴール。
ダービーはいつもばっちり写真が撮れます。集中力が人間も増すとこういう結果になるんでしょう。
ペースは遅いですが、自分から動いていって勝ち切った強さには脱帽です。
まさか道中2番手から押し切るとは予想だにしませんでした。青天の霹靂。
早めに外に出して直線馬場の真ん中からしっかり伸び、ゴール前まで走りがブレませんでした。
皐月賞はぶっつけの5着。この時は5番人気。そして今回のダービーは2番人気。
確かに前回よりいい条件が揃っていたかもしれませんが、日本人の馬券上手振りにも脱帽です。
このメンバーでしっかりワンツースリーが上位人気3頭で決まるとは…。日本人上手すぎる。
ラドラーダにキングカメハメハ。
ウインドインハーヘアの血も入っているため、使い勝手が良いのか悪いのかわかりませんが、血統的には面白そうな1頭です。
ダービー馬は優秀な血を残す意味もありますが、そう考えるとウインドインハーヘアの血が素晴らしいと言えるのかもしれません。
ホープフルステークスの時に感じた事だと
皐月賞は本命で出れる馬ですね。同厩舎のライバルであるサトノアレスは「真っ直ぐ走れればいける」タイプだと思いますので、今年のメンバーだとリーチがかかっているような感じすらしました。
と書きました。ここまで書いておきながらどっちも本命にしていませんから。
ちなみに、2歳時に葉牡丹賞⇒ホープフルステークスと連勝した馬はレイデオロ含めて3頭います。
- 1992年 ウイニングチケット(ダービー馬)
- 2008年 トーセンジョーダン(天皇賞馬)
- 2016年 レイデオロ(ダービー馬)
このローテが将来的に黄金ローテになってくれるといいんですが、あの時期中山2000mを連勝できるクラスの馬はまず出ないと言っていいのかもしれません。
歓声に興奮したのでしょう、返し馬の時には見せなかった「らしさ」を見せてくれたウイニングラン。
かなりガッツリ走っていました。これが本来のレイデオロなのかもしれませんね。
ダービーで研ぎ澄ましたかのような繊細な走りから変わり、バタバタと。このウイニングランの狂気っぷりがいいですね。是非このまま成長してほしいです。
ルメール騎手は3週連続でG1制覇。止まりません。
プレゼンター4名とも登場していましたが、この方(柳楽優弥さん)のウチワを持っていた方がいてびっくり。
ダービーが終わりました。
疲れましたが、ダービーはやっぱり面白い。
1年間新馬から見てきて、「これは良い馬だな」と思った馬が上位に来てくれたのは良かったと思います。
また来年ですね。
- 1
- 2
最新のコメント