第47回高松宮記念 レース回顧




第47回高松宮記念(G1・中京・芝1200m・やや重)

雨が降ってしまいました。
ただでさえ難しいのに更に難しくなった印象です。
キックバックで芝も舞っていて、雨とレースで徐々に悪化している様子には見えます。

パドックはシュウジとかクリスマスとかは元気よく歩いていました。スプリント戦ですので、落ち着き払う必要はないかと。
トーキングドラムもスタスタ歩いていて、パッと見は元気が良さそう。

グリーンチャンネルの本馬場入場で四字熟語だったのが気になってどうしようもありません。馬どころではありません。
レッドファルクスは「天下統一」、シュウジは「一騎当千」、メラグラーナは「一気呵成」でした。

パリカラノテガミ、インカンテーションと全く関係ないですが中山で荒れていたので、ここも少し荒れるんじゃないかと勝手に思いながらのスタート前です。
ファンファーレで「ポッカレモン」とか出てて思わず調べました。「ポッカレモン消防音楽隊」というみたい。

レッドファルクスが1番人気も休み明け。
明確な主役不在ですが、競馬では世代交代の合間には往々にして起こり得る事。

スタートは綺麗に揃いましたが、ポンとシュウジが出ました。
外目ヒルノデイバロー辺りは気持ち遅いですが、元々差し馬ですので気になりません。

ここで私は本命にしたメラグラーナを見ていましたが、「あれ?」と。
別に深夜のアロゲイトの例もありますが、スタート直後の反応が優れません。最初の1Fは当然そこまでスピードが出ない所なので、流れに乗り切れないのを見ると、この馬場がそもそも上手じゃないのかもしれない…と思いながら見ていました。

シュウジと内でラインスピリット、セイウンコウセイも好スタートから下げながらいると外からトウショウピストにワンスインナムーン。
シュウジがかかってしまったみたいな感じで前に行く一方で、じっくり乗っていたセイウンコウセイ。
同じ先行でもセイウンコウセイの雰囲気は抜群だったと思います。

内からレッドファルクスにクリスマス、外からナックビーナスにソルヴェイグ。
離れてティーハーフにスノードラゴン、上がっていくトーキングドラム。
更に少しスペースがあってメラグラーナと内からレッツゴードンキ。
バクシンテイオーとフィエロ、ヒルノデイバローと続き、最後方にレッドアリオン。

トウショウピストが先頭に立てずにシュウジとラインスピリットが先頭並んでレースを先導しました。
12.3 -10.3 -11.2 = 33.8。
馬場を考えると気持ち速いかなとは思います。
映像だけだと重に限りなく近い稍重のように見えるので、無理してしまった馬は楽なペースではなかったんじゃないかな。

少し内を開けながら3、4コーナー。
特に最終週辺りの重馬場ともなると、内を開けて走るので4コーナーで内から一気に差を詰める馬も出てきます。
横一杯に広がっての直線になるので、各馬思い思いの位置を走る戦略を見る面白さです。
今回、レッドファルクス、ティーハーフ、レッツゴードンキ、スノードラゴンと内を選択。

ティーハーフは人気もない内枠だし、思い切って行こうという意気が感じられましたし、他のG1馬3頭は全て芝ダート兼用。
レッツゴードンキもJBC走ってるし、数回走れば重賞勝ちできるでしょう。
「重馬場は得意なんだ」と割り切って内に行っています。恐らく意識的に突いた各馬の顔ぶれが「確かに内を選択するだわな」と思う4頭だったのは良かったと思います。

対してフィエロなどは直線で外に向かう動きがあったように、内は避けたい派。
それはそうでしょうね。

メラグラーナは4コーナーで先に動いたトーキングドラムを交わせずに後ろからヒルノデイバローも来たためにゆったりもしてられずで厳しい戦いになりました。
私は本命でしたが、スタート直後から怪しかったですし、そこでの行きっぷりも悪く馬券は諦めムード。

セイウンコウセイはシュウジの隣のトウショウピストが並んでいれば交わすのに外回らないといけませんでしたが、離れていたので楽々直線で前が開きました。
直線半分位で早々にシュウジもラインスピリットもバテてしまったので、前後左右馬がいません。
そこからしっかりと追い出して伸びました。

内でレッツゴードンキとレッドファルクスが競り合っていましたが、それを後目にしっかりとした足取りでゴールまで馬場の比較的いいであろう真ん中を走り、ゴールでは1馬身1/4差の快勝。
2着に内を突いたレッツゴードンキ、3着も同じく内のレッドファルクス、4着も内のティーハーフ。スノードラゴンも頑張って7着と内側を走れるパワーのある馬が良く頑張った印象です。

勝ったセイウンコウセイはG1初勝利です。
お父さんのアドマイヤムーンもハクサンムーンで2着はありましたが、ついに勝利しました。G1初勝利。

好スタートから無理せずに下げ、じっくりと追走。
直線は前が開き、ストレスなく4コーナーを回れたのが流れ、馬場状態含めて非常に向いていたと思います。約1年前の中山で7戦かけてようやく未勝利を脱出した時はダートの重馬場。3走前の1600万下の渡月橋ステークスでは重馬場で2馬身半差。この雨も味方したかもしれませんね。
勝つ時はしっかりと差をつけて勝ってきているように、1頭になっても気を抜かないタイプなんだと思います。
追いまくってたせいか内にささっていましたが、さすがに左右に何かないと難しいのは分かりますので、特にありません。

エンドスウィープの後継種牡馬としてサウスヴィグラス、スウェプトオーヴァーボードなどに比べても、現役時代の実績からはやや物足りなさを感じていました。
牝系も優秀ですし、是非エンドスウィープの血を繋いでほしいと思います。
母の母パテントリークリアはタイキフォーチュンの母ですし、タイキダイヤ⇒タイキクラリティ⇒クラリティシチーと続いています。

2着のレッツゴードンキと岩田騎手は想像していた通りのイン突き。
あとは馬が頑張れるかどうかですが、元々前向きな気性に加えて重馬場もへっちゃら。
良く最後まで伸びて上がり33.9。
立派な牝馬で人馬共々すごく良く頑張っていて、もう少し馬場が良ければ…と思いましたが、もっと重い方が良い?のかな。
差してくるスタイルも大分板についてきており、ヴィクトリアマイルではもっといい走りが見たいと思います。

レッドファルクスはさすがのG1馬で、さすがのダート兼用。
こちらもエンドスウィープの血を引くスウェプトオーヴァーボードの仔。
好スタートから内を回り、早め追い出しで粘り込みを狙いましたが、抜群の切れ味という訳にもいきません。
まだ6歳ですし、これだけ走れれば今年も十分主役の1頭だと思いました。連勝が止まったのもあり、甘く見てました。

ティーハーフは思った通り「そんなに負けてない」という着順。4着は立派です。
内を突き、16番人気でレッドファルクスとガチンコで叩きあい、最後は遅れてしまいましたがフィエロの追撃は凌ぎました。
入っていれば大儲けという人もいたでしょうね。

フィエロは8歳でチャンス到来となっても雨で多くの馬が避ける内に入らざるを得ない内枠。
良馬場ならまた違う結果だったのは確かですし、それなりに走れているので、良馬場で1:08.0位の勝ち時計になるレースがあれば見てみたいです。が、もう年齢も年齢です。ガチンコのタイムを競うスプリント戦よりは中京は合っていたはずですが、この雨がない状態で見て見たかった。

ソルヴェイグはもっと良馬場のスピード勝負の方がいいかな。そして右回りの方がいい感じですね。
4コーナーで騎手が内の手綱を開いて曲げているように、初めての左回りでコーナーの動きにスムーズさはなかった印象を受けました。

メラグラーナも馬場ですかね。
最近5戦4勝で1回の大敗が重馬場だった京阪杯。あの時よりはマシな馬場に見えるとはいえ末脚は削がれてしまいました。

シュウジは前半から積極果敢に飛ばしましたが、前に行った組が力関係があったとはいえセイウンコウセイを除き軒並み沈む展開。
差してきたいのか逃げたいのかがここの所分かりません。
なるべく先頭に立ちたくないのであれば、はっきり他の馬を前に行かせてもいいと思うんですけどね。
道中も舌を出して走っているし、競馬に飽きてきた頃なのかもしれません。

 

セイウンコウセイの勝った写真があったのでそれを急遽差し替え。
ダービー当日のレースですが、たまたま撮っていました。
競馬場に行っていると、たまに「あの時の馬か!」というのに出会えます。これも醍醐味ですね。

若いスプリント王が誕生しましたが、中京の雨の馬場。まだ暫定王者でしょう。
確固たる主役不在が長く続いていますが、そろそろ統一王者が出てきても良い頃です。