ジュエラーの勝利!第76回桜花賞(GI) レース回顧




直線での攻防も見応えあり。最後はクビの上げ下げに

4コーナーから直線でさぁ抜けてこられるか?のメジャーエンブレムだったが、完全に包囲網が敷かれ、外のラベンダーヴァレイが今度は刺客に。
直線入り口からかなり意図的に内へ押し込み、これぞG1。
しかし体重差74キロは甘くなく、押し返してメジャーエンブレムが抜け出した時には外のシンハライトが先頭に。
こちらはラベンダーヴァレイが厳しく内に入ってくれたおかげで、外に不必要に出す必要なく馬場の真ん中を真っ直ぐ。
抜け出すときのリズミカルな走り。この馬のフライングチェンジは美しく、手前を替えた後の走りは本当に綺麗だと思う。

その外からジュエラー。
レッドアヴァンセ、アットザシーサイドを並ぶ事無く抜き去って最後はシンハライトと並んでゴールイン。

ゴール前は画面だと全くわからない。
これは際どい。クビの上げ下げなので、どちらかが勝利の女神が微笑むか?の差でしかない。
どちらの騎手も馬も全く差がないが、1着と2着と分かれる。差がないのに差が出る。本当に勝負は厳しい。

勝ったジュエラーはチアズグレイスを抜き史上最高馬体重の勝利。
チアズグレイスは500キロを超す大型馬だったが、桜花賞はマイナス16キロとデビュー以来最も軽い体重で走ったため、こういうことに。
「シンザン記念で馬券になった馬は桜花賞馬になっている」という流れがあったが、ここも繋いだ。
ワンカラットの下でヴィクトワールピサ産駒。ヴィクトワールピサ産駒は世代トップには及ばない馬なのかなという流れもありつつのこの勝利。
桜花賞を勝つというのは種牡馬にとっても大きいことだ。サラブレッドに必要な早熟性とスピード。ややヒット率は悪いけどホームランがあるタイプなのかも。
上がり33.0ももちろん凄いし、道中は後方から一気という分かりやすい。パドックではカッカしてるけど、レースになればいい意味で前半ダラダラしてるし、距離は大丈夫だと思う。

シンハライトは負けたけどどこが悪いとかではなく、運がほんの少しなかった。
綺麗な走りなので、次も頑張ってほしい。これでハナ差勝ちならハナ差で3連勝だったのに、そこは残念。
スタート直後から少し出していって、位置を取り、最後まで伸びて上がり33.7。いいレースだ。

アットザシーサイドは私は距離が向かないかなと思ってたけど全然問題なかった。
スタート直後の反応がもう少し鋭ければ、2馬身以内であればもっと際どい勝負だったかもしれない。もう1つ楽に前が取れれば3頭並んでゴールインだったかも。

アドマイヤリードは最後方から上がり33.2と追い込み、5着。
これは何が起きたんだ?チューリップ賞のタイム差1.1秒は「ビリにしては」マシだったが、それでもビリには変わりない。
「走る気になれば走る」というタイプなのかも。須貝厩舎か…。他意はないけど。

ラベンダーヴァレイとレッドアヴァンセは力負けかな。
レッドアヴァンセも伸びているけど、パワー不足かな。ストライドの伸びがやや上位陣とは差がある。
ラベンダーヴァレイもゴール前で離されているように、最後までスピードを維持する事ができていない。レッドアヴァンセは来年とか再来年辺りにしっかり走ってそうだけどね。

ソルヴェイグは最後の直線1回も追えずに終了。
前がバテてしまい、その上でびっしり密集していて前に出しようがない。フィリーズレビューとは真逆の展開になってしまった。
あれだけスタートが良かっただけに、もう少し攻めてもよかったかも。

メジャーエンブレムは逃げないまでももう少し攻めてほしかった。自身のラップが59.6-34.2。ここまでスローに落としていい馬ではない。オークスじゃないんだから。
この馬の強さから考えると、前半あと1秒詰めても後半同じで走れそうなだけに、不完全燃焼。見てる側も。
デビュー戦は33.8の上がりだったものの、それ以外は上がり時計で強さを見せてきた馬ではないので、同じ位置からの切れ味勝負だと上位2頭には確実に劣る。
クイーンカップの強さから「いくら直行がダメと言われようがこの馬なら」と思っただけに、この負けは残念。同じルメール騎手、そしてきさらぎ賞からの直行のサトノダイヤモンド。どう出るか?
もうこれで無理にオークスに行かなくてもいいと思うはずなので、であればNHKマイルカップで見たい。東京の綺麗なターフをスピード全開こそ最もいい走りができるはずだから。