復帰して思うこと
人間の骨折明けでようやく乗馬に復帰しました。
ブログとしては競馬ブログですが、馬に乗っているので乗馬の難しさと理由を自分なりの分析。これは万人共通ではない話なので、参考にもなりませんが、「こう考えている人がいるのか」という程度のものです。
乗り手のレベルは、全乗振2級障害(110cmの障害を飛べる位)を持っています。B級にはしてません。
ライセンスってこんな感じ:http://www.jouba.jrao.ne.jp/information/ginou/
それにしても復帰すると本当に下手だなと思います。
少し休むと良い事もある一方で、ヒトの治らない癖もはっきり出てしまいます。
スランプに陥った場合、休む(離れる)というのは良い事です。
私は怪我で休みましたが、ベースが崩れている場合、歪んでいるものを何とかしようと、足掻いてもがいても歪むばかりで元通りになりません。
「練習してるのに下手になっていく」というのは往々にしてあるものです。
従って一旦フラットにするためにはそこから離れるというのも選択肢としてはありです。それで飯食ってるプロだとこうもいきませんが、適度に遊んでいる場合は有効だと思っています。
少し間を開けると練習によって作られたハリボテの癖はいい意味で無くなります。また、「まだリハビリ中だから」と言い訳もできますので、余計な力も入りません。
一度ハリボテの癖を取っ払い、そこからまた作り直していくという作業になりますが、これを良い機会と思ってもう一度基礎から、と思っています。
しかし、自分本来の癖はどうしようもありません。
これはかなり厄介で、染みついているが故に少し休んでどうこうなるものでもなく、「それありき」で考えていかないといけないのがなかなか…。
乗り方の癖は練習で解消していくとして、問題は心の方です。
これは久々でも治ってないなと痛感。
弱点①:1つ1つの指示等が強い
私は大人になってから乗馬を始めています。
そういう男性ならではなのかもしれませんが、この弱点はなかなか治りません。
馬に過剰なプレッシャーを与えてしまいます。
そこまでしなくてもいいのに、どうしてもソフトに乗るというのができず、強い合図になりがちです。
私は初心者の頃から「動かない」「重い」と一般的に言われる馬でも動かせてきました。
特に男性はその傾向は強いと思います。元々の力がありますからね。
良い面もありましたが、よくよく考えたらダメです。
「下手なのに動く」というのは本来不自然で、乗り手が邪魔をしているのにも関わらず、それを超える力で合図をしているから動いているだけ。
言い方変えれば馬を屈服させて動かしていただけです。
人間だってリュックサックが邪魔なら動きにくいように、馬からしたら人間がそのリュックサックです。
それを背負って走るには、「荷物を走りやすいように詰め直す」のが最善策にもかかわらず、「内部から電流を流してビックリして動かす」になっていたらそりゃダメです。
特に初心者の頃は「1か10か」みたいな合図しかできず、最近は5が加わった感じですがその程度。
ここまで自分で分析しているにも関わらず、そこまで強い合図は要らない場面でもふとした瞬間に思わず出てしまいます。
馬だって感情がありますので、「走ってるのになんだ、その合図は!ふざけるな!」となるでしょう。
人間同士なら間違いなく喧嘩になっていると思います。
本当に上手な人は馬に乗るバランスを上手に変えながら動かしています。
もちろん強い合図が必要な時はしていますが、後は適度に乗り手がバランスを変えてあげて、動きやすいようにしてあげているなと感じます。私にはとても真似できない芸当です。
特に小さい頃から始めた人とか、ジュニアの女の子とかみるとそう思います。
想像するに、彼女たちは小学生の頃は力不足で私と同じ力での合図はそもそも無理だったと思います。
背もそこまで大きくないので脚で合図をしようにもお腹にきちんとヒットしないかもしれません。
そうなると、「動かなければ乗る場所を変えたりしながら試行錯誤する」ということが一番最初に頭の中に出てくるんでしょう。
私は最初に「合図をしてなんとか動かす」というのが頭の中に出てきて、それで動いてしまったものだから次の矢が充分に育っていません。
もちろん初心者の頃はそれだけでも良かったのですが、そうもいかなくなっています。
さすがに100cmを超えるとしっかり動かさないといけません。失敗をすると私もそうですが、落ちて骨折してしまうことも。
乗り手が徐々に繊細なハンドリングとアクセル調整が求められてくるのですが、その微調整が下手が故に「無駄に動きすぎ」「最後の合図が弱すぎ」などなどの問題が解決せず、ある程度は経験でカバーできても、やってみないと分かりません。競馬的には「展開がはまれば」というような典型的な穴馬状態。
思考を変えないといけないと分かっているものの、これが染みついているために平時なら気をつけているのでいいですが、僅かな時間で判断が求められる所だと顔を出します。
思考の癖を変える難しさです。
弱点②:自分でなんとかしようとする
これも本当に大きい。
私はずっと野球をやっていました。
野球は言ってしまえば個人競技でもありますし、自分でバットを振らないと絶対に打てません。
そして速く太い動きが必要になり、何かあれば「自分が頑張って解決する」というのが野球です。他人に守ってもらうなんてボールを目の前にしたらあり得ません。カバーはあくまでもカバーです。自分のプレーを助けてくれる訳ではなく、傷口を広げないようにするためのもの。
打席では自分が主であり、守備でボールが飛んで来たら自分だけで処理します。
これがベースにあるため、どうしても馬に任せる事ができません。
乗馬において馬が頑張らないとどうしようもなく、障害だって最後跳ぶのも馬です。
馬だって障害物を前にして脚を当てると痛いし、頑張って跳ぼうとしてくれます。
もちろん調整はしてあげないといけません。でも、最後は馬です。
「意思のある動物をパートナーにしなければならない」というのは今までのスポーツとは違います。
私の弱点として、合図が強いのもありますが、これも結構厄介です。
人間が力を抜いてあげる方がいいだろうという場面でも、どうしても瞬間的に力が入ってしまいます。
今では凄まじいレベルになっていると思われるジュニアの女の子がまだ小さいころ、悉く踏み切りを外しているにも関わらず、着地一歩目からボヨーンと人形のように元の状態に戻っていたのを見て、「すごい…」と思ったものです。これは絶対にできないなと。
踏み切りを外しているので、多分私なら「ガシッ」と固まってしまうでしょうね。
なぜなら「ヤバイ!」と思ってしまうから。そうなると、「ヤバイ⇒自分、頑張れ」になり、どうしても無駄に力が入ってしまいます。
馬からしたら「ちょ、下手に動くな!」となり、直前で止まってしまったり、跳んだ後に人も馬もリカバリできなかったりと失敗しか見えません。
もちろんギリギリ凌ぐこともできると思いますが、そんなのギリギリもギリギリ。
対して恐らくその子は「ヤバイ⇒半分くらいは任せればいいや」となっていたんだと思います。
もちろんその子だってなんとかしようとは思っていたと思いますが、多分自分とは違う感覚だったはずです。
当時は自分の方がライセンスとかでも進んでいましたが、「逆転は時間の問題」なんてレベルもおこがましく、乗り手としての格の違いを見せつけられた気がしました。
踏み切りが両者100%合った状態であれば互角にやりあえる可能性はあっても、僅かでも両者にズレがあった場合、安定して勝てるのは私ではありません。
どう修正できるか?
体が固いとかもありますが、そもそも考え方を変えないとここからのレベルアップは難しいと思っています。
思考の癖というのは仕事上とても大事なのである程度理解しています。「自分はこっち方向を強く先に考える傾向がある」とかです。自分にかかりがちのバイアスはどうなのか?というのを理解していないと多方面から検討ができません。
仕事であればちょっと立ち止まって考え、レビュー時に意識してその癖を外した思考をしてみるなど、理解と意識さえしていれば対応可能です。
一方これはスポーツ。
判断を求められるのは長くても数秒。「立ち止まって考えて…」などと悠長な事を言ってられません。
考えているのは1つ。
今のペースで続けても成長は見込めないので、それであればこの休みをトリガーに一旦レッスン等のレベルを下げるというのがいいのかなと。
障害とかから一旦離れる。
自分が小難しい事を意識しなくても大丈夫なレベルまで下げれば、思考に余裕ができます。
そこで徐々に思考を変えていく事で、乗り方も変わっていくでしょうし、悪い癖も付きにくいかな。
仕事でも技術でも遊びでもそうですが、レベルを下げる怖さはあります。ただ、新たなものを作り上げるときにはやはり必要ですね。
上を目指す事と壁にぶつかった時の対処方法は同じではありません。
迷ったら戻る勇気がないと遭難します。
何か達成したい時やレベルアップしたいのにできない時ににありがちなジレンマ。
横道に入れば即解決できるのに、「上を目指す」の一点でもって突き進む。攻略本がしっかりあれば100%迷わずゴールに行けるでしょうが、多くの場合そうはいきません。
ドラクエ3で転職するとパラメータは半分になり、レベル1からになりますが、もう1回同じレベルに到達した時にできる事が増えます。
場所もアリアハンからやり直しでもないので、レベルはある程度まではすんなり上がります。
「ニセジョッキー」から「優しい馬乗り」に転職してもう一度やり直した方が良さそう。
久々に乗るとそう思います。
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