無敗の牝馬3冠達成。第25回秋華賞 レース回顧




第25回秋華賞(G1・京都・芝2000m・稍重)

お見事デアリングタクトが無敗で3冠を制しました。

オークス以来の休み明け。成長分だと思われるプラス14kg。
終始外から直線は伸びる位置を突き抜けて盤石の3冠でした。
3冠とも「迫られた」という感じがせず、オークスも着差こそ半馬身差でしたが「捉え切った」という表現になる勝ち方でしたし、秋華賞に関してはアッサリという印象でした。

馬場は稍重。
少しだけかかるかな+内より外の方が良さそうだとは見えましたが、明確にこれで走れないという昨日とは違い、最低限回復してきました。
午後の3歳1勝クラスで2:01.4、もみじSで1:22.8、大原Sでレイパパレが52kg、外回りと差はあれど11.6-11.4-12.0でまとめて1:46.3。

事前の感じだと2分は切れる馬場かなとは思って見てました。

パドックとかは見てます。が、見てるだけです。

馬券はデアリングタクトから3連複で多めに流し。
WIN5は1レース目で早々に潰えましたので、多少なりとも喜ぶ可能性があるならデアリングタクトが負けるケースだけ。残り25票のを持っていた人の不幸を祝うしかないという悔しさはあれど、もう仕方ないです。負け犬はそうあるべきでしょう。

スタートでデアリングタクトが立ち上がるように出たので、気持ち遅れました。
ついでに期待していた(馬券的に)ソフトフルートも遅れてしまいました。あちゃーってな感じ。この段階では。

スタート直後4秒位でデアリングタクトはうまく進みそうと多くの方は思ったことでしょう。
内のマジックキャッスルが出していき、外のオーマイダーリンが下げ、綺麗にスペースがあるところを走っていました。
京都の内回りはスタートからコーナーまで距離がないので、外からごちゃっとなったら大変だろうなと思いました、労無くして外を走れそうな雰囲気に。

内から勝っても人気にならないマルターズディオサが先手を主張し、ウインマリリンも行き切るでもなく、ホウオウピースフルがガシッと抑えた時点で隊列はほぼ決まりました。
ミヤマザクラ、リアアメリアも前目で1コーナーから2コーナーへ。

デアリングタクトは中団後ろの外目です。半分は勝ったかなと思いましたかね。結果伸びないというケースはありますが、少なくとも位置取りで苦しむ感じはなさそうでした。

道中はパトロールビデオで見るとデアリングタクトは外にポツン。ソフトフルートも。
前に馬を置かず、1頭で悠々と走っていました。

ペースは34.9-47.1-59.4で前半1000m通過しています。
例外的に遅いケースは過去5回ほどあれど、秋華賞としては遅めです。
マルターズディオサが行き切ったのもありますし、誰か動いたわけでもありませんから、静かな前半でした。

結果から考えると、前に行った馬がだらしなかったですね。
スローだから必ずしも前が粘り切るケースばかりではないのが秋華賞ですが、それにしてもリアアメリア、ミヤマザクラ、ウインマリリンといった重賞勝ち馬が軒並み上がり38秒台で二桁着順で大崩れするペースではありませんでした。
道中の出入りが激しくて常時動きがあった訳でもなく、窮屈なレースだった印象もないので、なんかなーっと思ってしまいます。

4コーナー前にかけてペースが落ち着いたところで後ろの馬がグーンと押し上げて馬群が凝縮されるいつもの秋華賞ですが、今年に関しては馬場の影響で内を突く感じの馬がいなかったのもデアリングタクトにとってもラッキーでしたかね。内の馬に足元をすくわれる可能性がありそうなのが直線入った所でマルターズディオサだけでしたので、後は外目の馬だけ。
ホウオウピースフルが4コーナーを待たずして下がっていったので、内の馬は捌くのに苦労をしていました。サンクテュエールは捌けずに下がるだけでしたし、後方でムジカ、アブレイズ辺りも前がホウオウピースフルを抜くために外に出す影響をモロに受けました。4コーナーの時点で内はノーチャンスでした。

4コーナーでは外の組が元気でした。
直線入り口でオーマイダーリンがデアリングタクトの外から被せてきた所で、1回逆手前になり、デアリングタクトが外に膨れた瞬間があり、オーマイダーリンを押し出し、無理せずコーナーを回らずに外へ。
真後ろにいたマジックキャッスルとしては、デアリングタクトの内が開いたので一気にスパート。
一方でオーマイダーリン、パラスアテナは僅かながら影響がありましたかね。逆に大外ぶん回していたソフトフルートは影響を受けずに走れたように見えます。

直線はデアリングタクトのヴィクトリーロードを見るだけ。
悪いけど、マジックキャッスルやパラスアテナに差されるってことはないわなーというのもありますね。
ソフトフルートは追い込んで3着確保しましたが、デアリングタクトと戦った感じはしませんし。
マルターズディオサも内だと今日の馬場だと厳しかったですね。

マジックキャッスルはスタートも良く、内の連中が前に行く気なのを見てスッと下げ、道中はジックリ。4コーナーでデアリングタクトの後ろを追走して直線ガンバルという理想的なレース振り。人気はないけどオークス5着馬。力のある所を見せました。ただ、「勝つなら?」というイメージはできません。ゴールに向けて着差が広がっていますし、小さい差ではないですね。
母のソーマジック(3→8→7)よりはいい成績(12→4→2)で3冠を戦い抜きました。勝ち切れないタイプですが、G3戦線でいい走りをして馬券になりそう。

ソフトフルートは大味な競馬でしたが、展開、コース取りとハマって最後私の想いが珍しく通じたようにハナ差さしてくれて3着。
スタート遅れたので腹を括ったように道中も馬を離した外を走っており、狙い通りペースが落ち着いた時に加速して、そこからノンストップで駆け抜けました。「自己条件なら勝てる」ってなタイプには見えませんが、重賞トライして賞金加算してオープンに入りそうですね。

パラスアテナも自分としては馬券買ってなかったので「負けてくれ」と願っていましたが、いい走りでした。積極的に仕掛け、デアリングタクトとしっかり戦いにいったレースっぷりがいいです。この馬もラジオNIKKEIの1番人気は期待値込みだったと思いますが、日本の馬券師の皆さん見る目あります。
バビットもそうですが、古馬リステッドで好走したパンサラッサ、2勝クラスでは力上位のルリアンとあのレースは意外にそこそこの馬が揃ってましたね。

マルターズディオサは負けたけど、G1以外ならそれなりに馬券になりそうなので、注意しておきたいです。どうせ人気にならないし。

リアアメリアは直線入ったところでフラリと。もう限界てな風に。
結果的に上位は紫苑S組が多く入った事を考えると、ローズS組不調でしたね。
この馬に関しては、先行したり追い込んだりと定まらないのは仕方ないですが、どの戦法もレースでやってほしいことと逆のことをずっとやってるのがなー。先行してほしいレースで下げたり、逆に下げてほしいレースで前に行ったり。

オークス2着のウインマリリンはほぼ何もせずに終了。
こんなに潰れる馬じゃないだろうと思うので、次買うかどうかを悩むだけです。とはいえG1で勝てる馬はいくらなんでもこんなに負けないレースだったと思いますので、G1は荷が重いか。

デアリングタクトは無敗で3冠なので特になしです。
ただ、大原Sのレイパパレと比較するわけではありませんが、時計的には不満です。
時計が遅い=弱いということはありません。ジェンティルドンナはこれより遅かったわけですから。
内回りと外回り、斤量の差こそあれ、大原Sの時計と比較し、秋華賞の勝ち時計だけみれば平凡と言われるのは仕方ないでしょう。
無敗の3冠は立派であり、デアリングタクトは強いと断った上で、このレースだけで言えば戦前にライバルと目されていた馬含めて「凡戦」だと思います。

デアリングタクトの走りでいえば、4コーナーでのやや窮屈そうな走りを見ると、京都の内回りは得意じゃなさそう。内枠だったらピンチだったかな。
まぁ枠順含めて競馬です。巡り合わせが良いというのも馬の実力。

ジャパンカップでコントレイルと戦ったら盛り上がりますが、悩ましいでしょうね。
エリザベス女王杯でもラッキーライラックを中心に十分いいメンバーが揃うはずなので、それはそれで見てみたい。

 

今年は競馬場は多分行けないだろうなーという残念さもありますね。こういう馬が出てくると。