オジュウチョウサン、有馬記念への道
今週の大注目の1戦はエネイブル出走のBCターフでもなく、JBCでもなくこのレースでしょう。
ただ1頭の現役の馬が出走するだけで特設売店が出されるというのはなかなかありません。
レースの格は確かにあれど、エンターテインメントの観点でこの馬に勝る馬はそうそういないと思います。
「すごいなぁ」とぼそぼそ声があちらこちらから。
ぬいぐるみが大量に置かれ、タオルやらエコバッグやら。
ワクワクさせてくれる理由としてはなんでしょうね。。。
- 障害で天下を取った7歳馬の再挑戦
- 有馬記念を目標にしている
- 障害の時からクビを下げて頑張って走る感じが出てる
とかですかね。
特に障害で全然ダメになっての仕方なくダートに戻ってきた、とかではない挑戦が面白くさせました。
このまま中山大障害を目指すことで誰も文句は言いませんし、恐らくこの馬の強さなら問題なく勝利するでしょう。
6000万円を超える賞金が言っちゃ悪いですが無事なら貰えるのが確実ですし、1000万下のレースなんぞ出ずに、普通に障害の重賞に出ればこれまたほぼ問題なく手中に収めたでしょう。
それでも「有馬記念に出走」ということで新たな道へ進む。
安定して稼げるであろう舞台から自ら降りる理由はちょっと考えられません。「ロマン」以外に。
芝、ダート。そして距離別に分けられているカテゴリ。
多くの馬はそのカテゴリの中で戦い、それを超える戦いというのは魅力的です。
天皇賞にトップマイラーが出走してくれば面白いですし、明日のBCクラシックに挑戦する芝のトップホースであるロアリングライオンなど、カテゴリを超越する戦いは胸躍ります。
それでも、芝とダート以上の隔たりと言っていい障害と芝。そして多くは芝で夢破れ去る舞台である障害。
もちろん過去メジロパーマーなど障害で勝利して芝のG1も勝った馬もいますが、当然少数ですし、障害でトップを獲った訳ではありません。
ここは文句なしのトップホースの挑戦。日本競馬のトップが凱旋門賞に行くと盛り上がるように、それに近い感じがあります。
目標が「有馬記念」というのもいいじゃないですか。
最近は比較的軽視されがちなレースになったものの、それでも400憶円のカネが動くレース。
日本競馬的にも有馬記念が盛り上がってこそでしょう。「暮れの中山はいやです」とあっさり回避するのも寂しい中、このレースを目標にするというだけで価値があると思います。
とはいえ500万下を勝っただけ。
1000万下で相手も少ないながらもこの前の馬とは格が違います。
アパパネの次男である2戦無敗のジナンボー。1000万下ではトップクラスでなぜいつまでも足踏みをしているんだともどかしい位のブラックプラチナム。
パドックから多くの方がシャッターを構えています。
この時はまだ出てきてすぐだったのでこんなものですが、どんどん人が増えていきます。
落ち着いてるとかそういうのはまぁ別にいいでしょ。外をテクテク歩いていました。
ただの感想なので、そんなもんです。
そうこうしていると、返し馬です。
ここも出てくる所でのシャッターを構える人。
武騎手が後ろを振り返ったので、「もしかしてゴール前に来るか?」と思ったものの、東京2400mらしくゴールから離れるようにスタスタと走っていきました。
南武特別、発走。
ファンファーレと共に大きな声援。
この声援もG1のファンファーレ時の声援とは違うのが面白いところです。
純粋に1頭の馬の応援の時に起こる声援。歓声の質が異なります。
言葉では説明できないですが、「黄色い声援」というのがしっくりくる感じ。まぁ競馬場なので、年齢的には黄色じゃないと思うけど。
あちらこちらから「オジュウ、ガンバレー」の声が。他の6頭は完全にアウェー。
アパパネの仔がこんなに敵になるのはこのレース位なものでしょう。
スタートは普通でしたね。
高速の上り勝負は分が悪いから逃げるんじゃなかろうか?とも考えていましたが、割とじっくり構えてて「おい、大丈夫?」という感じでホームストレッチ。
ジャパンカップの文字があるゴール前を通過する障害チャンピオン。
青いチークピーシーズをつけ、耳を絞って元気です。
ペースが落ち着きそうなところで、ジナンボーがかかってしまい、レースを面白くしてくれました。
まぁまだ馬が若いですからね。全く褒めるレースではないものの、それでもバタバタにならずに0.8秒差に留めたジナンボーは距離を詰めて巻き返してくれるはず。
前半1000mはゆったりだったのに、そこから11秒台のラップが続く厳しいレースになりました。
ポツンと前を追いかけるオジュウチョウサン。その後ろにブラックプラチナム。
直線は正直厳しんじゃないか?と思いながら見てました。
ファンの熱い声援に応えるようにクビを下げながらも走るオジュウチョウサン。
この辺りは熱かった。
先頭に立つと大歓声が!
後は「粘って~!」という祈りにも似た歓声。
ブラックプラチナムが完全に敵役です。
ゴールに向かうオジュウチョウサンに外からブラックプラチナムが襲い掛かります。
もう悲鳴に近い「ガンバレ!」の声。
それでも2週目のゴールは先頭で駆け抜けてくれました。武豊騎手も右手でガッツポーズをしていました。
相手がブラックプラチナムですからね。上に行っても上位人気で互角に戦えるであろう素質馬です(直線フラフラとしていましたが…)。この馬を通過したことには一定の意味があります。
その時の拍手たるやなかなか競馬場では味わえない空気。
この空気を作れる馬はそうはいません。
ただ強いだけではダメで、高いアイドル性というか、ドラマなどがないと難しい。
例えばロードカナロアはとんでもなく強かったし、迫力という意味では自分が見てきた中でもトップ5に入る素晴らしい馬ですが、そういうのはありませんし、ブエナビスタなどでもこの空気はなかったと思います。
自分が感じたのはディープインパクト、ウオッカ、オルフェーヴル、キタサンブラック。
近いのはこの手の馬ですね。多くのファンが勝ってくれと願い、その通り勝った時の雰囲気が近いのは。
出会うのも貴重な馬ですし、競馬場で味わえる中では、特殊で貴重な体験です。
そりゃ思わず武騎手もスタンドに向けて手を振りますわ。
表彰式では万雷の拍手に迎えられるオジュウチョウサン。
多くの方がカメラを構え、人で一杯です。
自分の位置からだとチョコンと頭だけが見えました。これはこれで面白かったです。
今後は?そして有馬記念は?
「今後は大目標の有馬記念の前に、もう一戦挟む予定。」とのこと。
現時点ではジャパンC(25日、東京)と、スポニチ賞ステイヤーズS(12月1日、中山)が視野に入っているようだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181103-00000143-spnannex-horse
ジャパンカップは厳しい気もするけど、ステイヤーズS走って有馬記念も普通は楽じゃないですね。
願わくばジャパンカップで戦ってほしくないです。
力が未知数のまま行ってほしいので、ステイヤーズSの方が有馬記念という意味では面白いかなぁ。
ただ、ステイヤーズSは同い年のアルバートがいます。中山3600mは庭です。
とはいえ、中山が庭なのはオジュウチョウサンも同じ。今までの中山でのパフォーマンスを見ていると、かなり走りそうなのでいけそうな感じがしますね。ここまでくると。
有馬記念は重賞で勝ち負けできれば無視できなくなるはずです。
レイデオロが有馬記念に回るようだと大変でしょうが、そうでなくても無事ならフィエールマンやサトノダイヤモンドも出てくるでしょうし、面白いレースが見られそうです。
ある程度前目につけられるので、思い切って逃げてしまうとかしてあっと驚く!ということも無きにしも非ず。
無視していいのかどうかの力が分かりにくいからこそ、そういうシーンもあるかもしれません。
もしステイヤーズSだったらまた見に行ってしまうかもなー。
それ位珍しい競馬場でした。
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