第54回金鯱賞(G2・中京・芝2000m・やや重)
サトノダイヤモンド、スワーヴリチャードの復帰戦です。
少頭数ですが、メンバーも揃った感じです。
やや重の馬場ですし、多少時計がかかっています。同日の古馬500万下の1400m戦で1:23.3。
1秒~1.5秒かかる馬場だと思います。パンパンではないですが、この程度で「ダメ」というのはいないでしょうし、そこまでナイーブにならなくても良さそうでした。
パドックはサトノダイヤモンドは凱旋門賞で見た時に比べると雰囲気は良くなってきたと思います。
どこと言われると難しいですが、どことなく、というレベルではありますが…。
スタートでサトノノブレスが隣のブレスジャーニーを挟むように出ます。ブレスジャーニーは後手に。
サトノダイヤモンドはまずまず。スワーヴリチャードも大外でアクションスター、デニムアンドルビーと後ろからだったのもあり、隣に大きなスペースがありました。楽だったでしょう。
スタートしてすぐにデムーロ騎手が内をチラリ。そのすぐ後にルメール騎手が外をチラリ。
お互い当然意識しますので、そりゃそうですね、という前半です。
サトノノブレスが先頭に立ち1コーナーへ。
ダッシングブレイズが2番手、内からヤマカツエース。その外から抑えきれない様子のスワーヴリチャード。
その後ろにサトノダイヤモンドが続き、内でブレスジャーニー。メートルダールが外目。
後方にデニムアンドルビーで最後方にアクションスターという展開です。
前半は遅いですね。スタートの13.3はまぁ仕方ないにしろ、前半3Fの38.3はかなりの遅さです。
2000年以降、2000mの重賞は434レース。馬場も条件も不問。これと同等にペースが遅かったので言えば以下のレースになります。
- 2012年ラジオNIKKEI杯(稍) 39.8 勝ち馬:エピファネイア
- 2012年産経大阪杯(稍) 39.1 勝ち馬:ショウナンマイティ
- 2005年京成杯(不) 38.5 勝ち馬:アドマイヤジャパン
- 2004年ラジオたんぱ杯2歳S(良) 38.8 勝ち馬:ヴァーミリアン
レア中のレアケース。
スワーヴリチャードが抑えきれずに前に行くのは当然であり、このペースでもさほど行きたがらずにゆったり走れていたサトノダイヤモンドは大丈夫か?と思う位です。
スワーヴリチャードに並ばれてサトノノブレスがペースアップをしました。
これも作戦の内ですが、行かせてしまったらどうなっていたのかな?と思いました。
逃げるというのは簡単にできませんし、慣れない事をするとどんなペースでも前に行きたくなってしまいがちですので、今後のダメージの可能性を考えて行かせても面白くなりそうだっただけに、少し残念。
がっしり手綱を引いた状態でスワーヴリチャードが2番手から徐々にサトノノブレスとの差を広げられます。
ある程度後ろを待ちたかったというのもあるのかな。残り600mを切ってもまだ抑えているように走っていましたので、スワーヴリチャードとしたらサトノダイヤモンドを待ってから追い出そうという作戦だったのでしょう。
そのサトノダイヤモンドは毎回の事ですが、エンジンのかかりが鈍いのが特徴です。
徐々に上げていったとはいえ、後半は12.4-12.0-11.4と直線に向けてペースアップしています。
気持ち外だったとはいえ、直線までにダッシングブレイズに並びかけるどころか僅か離されている感じを受けましたので、休み明けではありますが、ここまでの瞬発力勝負は苦しいですね。
直線は早めに突き放しにかかるサトノノブレスに後続各馬が追いかけます。
馬なりで並びかけるスワーヴリチャードが併せてから鞭で促し、先頭へ。
大外へ持ち出したサトノダイヤモンドがゴールへ向けて加速していきますが、ノブレスを交わすまでにも至らずに勝ち馬から0.3秒差の3着。
2着にサトノノブレスが粘りこみました。
ヤマカツエースは4着まで。デニムアンドルビーは引退ではありますが上がり34.1でレース上がり3番目というらしさを見せての7着。
凡戦だと思います。
ペースはもちろんではありますが、スワーヴリチャードを除いて動きもなく、淡々と走って淡々と終わりました。
肩透かし感はかなり大きいのではないかと。熱くなる瞬間があまりないというか。「所詮はG1の前哨戦」と言えばそれまでですが、それでももう少しあっても良かったです。
動けない馬が揃っていたのもありますので、一概に誰がいつ動けとは言えませんが、ここまでスローと分かった時点でダッシングブレイズ辺りが動かせれば…。
勝ったスワーヴリチャードは前半からペースが遅いとみるや前に行き、並びかける感じで2番手に。
直線は早めに抜け出さずにしっかり待っての追い出しでサトノノブレスを交わし、ダイヤモンドには勝負させずにゴールしました。完勝です。
もともと掛かり癖のある馬ですので、あれ以上抑える位なら前に行けというのも至極納得できます。
直線は究極の切れ味を使うタイプじゃないので、もたもたしているように見えますが、しっかりと最後まで伸びました。
上がり33.8出ていますし、少なくとも左回りであればそこまでフラフラもせず、安心してみていられます。問題は右になってどうか?ですね。
2着のサトノノブレスは驚きの走りですね。
スタートが逃げているとはいえ遅いので、このメンバーなら逃げられますが、G1となると荷が重いです。
しかしそこはお得意の金鯱賞。2着→3着→3着と結果を残している中京の2000m。
緩いペースで走れれば、8歳馬ですがG1の連対馬です。そうそう簡単に崩れません。やや重の馬場もプラスしたと思いますし、ここまでおあつらえ向きの展開になれば、どんな馬でも好走できる条件が揃いました。
ヤマカツエースは4着と地味な結果に。この馬らしい結果です。
1枠からすんなりと内に入り、直線までじっくり。キレ勝負で負け。
休み明けのプラス12kgとかつてない程大きくなった馬体ですので、これで絞っての本番。大阪杯はこの馬にとっては願ってもない舞台なので、ここは捨てても照準をということでしょう。
メートルダールは人気しましたが、後ろからの切れ味勝負で負けてしまっては言い訳が出来ません。
少なくとも末脚自慢の馬が34.5とレース最遅の時計では見せ場はありません。
そして3着のサトノダイヤモンドです。
時計は33.7出ていますし、伸び始めてからは悪くはないですが、良い頃に比べるとこのペースで折り合っていたのが気になりました。
多少掛かるというか、行きたがる雰囲気が出ていた馬でしたが、あまりにもいい子すぎるというか、道中落ち着き過ぎているというか。
古馬になって変わってきたのかもしれませんが、もっとペースが流れて逆にどうなんだろう?というのは感じました。
4コーナーでライバルを射程に入れて早めに前に行くレースをしていたはずなので、意図的に待ったのであれば良いのですが、動きたくても動けなかったのであれば心配は変わらずです。
前哨戦仕上げは十分伝わっていたので、負けても仕方ないですが、次どこまで調教含めて変わってくるか?ですね。
大阪杯は中山記念上位陣も不安がありますし、サトノダイヤモンドもここでバッチリ復調、とまでは言いにくい。
スワーヴリチャードも右回りとなるため、その点での不安解消までは至りません。大崩れはないとは思いますが、成績だけ見れば差がありますし。
怪しい感じの馬が揃う方が面白いというのもあるので、「誰と心中するか?」で大きく意見が割れそうなレースになりそう。
最新のコメント