第92回中山記念 レース回顧




第92回中山記念(G2・中山・芝1800m・良)

ペルシアンナイト、アエロリット、ヴィブロスとG1馬3頭揃い、10頭立てですがいいメンバーです。

前日のアクアマリンSで1:08.3。
年明けの中山とそんなに変わりません。一般的な馬場だと思います。

スタートでペルシアンナイトはそこまで予想外ではないですが、マイネルハニーが出遅れてしまいました。
ゲートが開く直前に前脚を上げてしまい、これではまともに出られません。無念です。
ペルシアンナイトも後ろ脚から踏ん張るように出ていますので、これも好スタートを切るには難しいスタートです。ジョッキーだけでどうにかなるものでもないので、タイミング含めて運もありませんでしたね。

一方で素晴らしい毎回スタートを切るマルターズアポジー。
その外から大きなストライドでアエロリット、内でディサイファも出ましたが、さすがにマルターズアポジーが先頭に行くレースですので、後続はすんなり引きました。

短いホームストレッチもなんのその。あっという間に先頭で内にスッと進路を取り、後続を離しにかかります。

マイネルハニーは自身の持ち味を出すために前に行こうとしていましたが、ペルシアンナイトは最後方へ。
ウインブライトは真ん中から誰にも邪魔されずに中団の外をキープして1コーナーへ入ります。

マルターズアポジーはそのスタートとスピードの乗りで一気に先頭に立てば、後ろは引くしかない状態をきっちり作れる強みがあります。
1コーナー過ぎでそこそこ離していますが、入りの2Fが24.5。馬場を考えてもべらぼうに速くなく、昨年のロゴタイプが24.8。

向正面に入ってどんどん離しますが、3F通過が36.2。
昨年はガクッと落ちたのでレースが違ったものでしたが、例年に比べてびっくりするものでもなく、ローエングリンがかつて逃げ切った時と大差ない感じです。

従ってアエロリットを除く後ろがこんなに無抵抗に離れるには違和感があり、ペルシアンナイトは向正面で800m通過が50秒を優に超えていたのはペースを読み違えたと言ってしまっていいでしょう。

前半1000m通過が59.1と出た時に歓声が上がっていますが、どっちなんでしょうね?
「速い」なのか「思ったより大分遅い」のものなのか?私は後者でした。
少なくとも古馬1600万下できっちり1:08.3が出る馬場にしては、そこまで目を見張る流れではありません。「逃げ切りもあるかも」と単勝勝った人はワクワクしていたかもね。

ウインブライトはまだ前が見える位置ですが、ヴィブロスは後方、ペルシアンナイトはかなり後ろの方。
サクラアンプルールは内でじっくりしていました。

4コーナー手前で一旦12.2と息を入れ、後続を引き付けて4コーナーへ向かいます。
そこでウインブライトはそこまで手を動かしていませんが、ヴィブロスは動きが悪く、ペルシアンナイトは直線入り口で大きく膨れます。
ずっと加速するのは中山では難しい事が良く分かるようなコーナーリングでした。これが中山競馬場の独特な所ですね。

マルターズアポジーは一旦落として直線入り口から再加速してアエロリットを振り切ろうとしますが、さすがにG1馬です。粘ります。
お隣からウインブライト、外からサクラアンプルールと脚を伸ばしますが、坂で一気に減速。

ウインブライトがジワジワと前との差を詰め、アエロリットも沈みそうで沈まずに3番手をキープ。
大外からようやくと言ったタイミングで伸びてきたペルシアンナイトは残り50mでは万事休す。

最後はウインブライトがマルターズアポジーを交わし、内から再度盛り返したアエロリットをクビ差退けました。
マルターズアポジーはアエロリットに差されてしまい3着、サクラアンプルールを挟んでようやく掲示板を確保したペルシアンナイト。
ヴィブロスは直線での反応も鈍く8着になってしまいました。

ペルシアンナイトはスタートもそうですし、ペースも向かなかった、というのも変ですがレースそのものは全く向きませんでした。
上がり34.4出てますが、ロスも多いですし、スタートからゴールまでほぼ良い所が無かったです。
力で5着まで持ってきたというのは立派ではありますが、レースが大味すぎてなんとも。
2000mでも問題ないとは思いますが、大阪杯でこのレースをしたら5着は厳しいはずで、取捨選択の難しい結果になりました。ここまでレースの相性が悪いと度外視できなくもないです。

サクラアンプルールは直線まではいい感じに進めていたと思います。
4コーナーから押っ付けて前に行き、内から外へ出しながら馬場の真ん中へ。
坂で急に落ちたので、距離というよりはある程度流れに早めに乗った分、最後のひと踏ん張りが効かなかったのかな。

ヴィブロスは4コーナーから全然反応がなく、前のマイネルハニーを交わす事にも一苦労。
直線は他の馬と一緒になだれ込むだけというレースに。
ただ、この馬は去年も大体こんな感じなんですよね。着順だけ見ると大敗ですが、割と心配ない気もしてしまいます。
フラワーカップも12着と大敗ですし、今にして思えば紫苑Sもビッシュを捕えきれず完敗。昨年の中山記念も5着で今年が8着。
決定的に苦手なのかもしれないと思うようにしました。
ちなみに、ドバイターフのオッズは全く変動なし。変わらず2番人気ないし3番人気です。

2着のアエロリットは前半から積極的に走り、大きなストライドで最後まで頑張って2着に盛り返しました。
デビュー時には476kgだった馬体重も504kgとなり、55kgでウインブライトには負けたもののクビ差。
ストライドは全く鋭くないですが、クビを使って最後まで落ちない走り。
自在性もありますし、昨年1:32.3で走り切った東京マイルなら時計勝負もどんとこい。ヴィクトリアマイルは非常に面白い1頭になりそうです。

勝ったウインブライトは中山巧者ではありますが、立ち回りの上手さは大きな武器です。
阪神の内回りは3~4コーナーは大きなカーブなので、ちょっとタイプが違います。
多くの方は「有馬記念は穴っぽい」と感じるはずで、この馬にベストな舞台が果たして日本にあるか?というのが最大の悩みどころです。
こういう時代ですから、香港を目標にするとかもあっていいですね。

そして3着のマルターズアポジーです。
前半から隊列を決めさせるスピード、息を少し抜く4コーナー手前。素晴らしい走りでしたが、最後及ばず。
G1で2000mだと厳しいですし、マイルだと周りも速いので良さが出ません。そしてマイネルハニーの出遅れ。
G1だと2桁着順ですが、G2だとこんな感じですかね。G3なら逃げ切っていたはずですし。

この馬はG1勝ってほしい。日本が無理なら海外でも、と思ってしまいます。
香港とか豪州とか最初の1Fが14.0近くかかる事があるレースなら、この馬が走るとどんなレースになるのか?というのが見てみたいです。

 

アエロリットは素直に評価しますが、他はペルシアンナイト含めて「中山記念は」とコメントされるような走り。ヴィブロスは別に気にしない。マイネルハニーもこのレースは度外視。
今後の評価を悩ます結果です。