写真で振り返る 第67回東京新聞杯 レース回顧




レース

スタートは大きな出遅れもなく各馬スムーズに出ました。
エアスピネルも好スタートですし、内のブラックスピネルもダイワリベラルと比較してクビ位出ています。
マイネルアウラートも悪くありません。

スタートしてブラックスピネルがダイワリベラルと並んでいた所で、少しずつ内を締めていき、ダイワリベラルが僅かながら窮屈になるシーンも。
レースの流れの中ですし、マイネルアウラートもそこまで無理していく気配も見せず、ブラックスピネルが好スタートからそのまま先頭を走ります。

ブラックスピネルはデビュー当時は前に行く競馬をしていましたが、ここ最近は差してくることが多く、この馬が先頭で走ることを予想していた人はほとんどいないでしょう。
マイネルアウラートは前に行くとなると少しだけ無理をしなければならなそうで、2番手で収まったのであれば、僅かでも無理をする必要はないという判断でしょう。

3番手に外からヤングマンパワー、内でダイワリベラル。
エアスピネルが中段でプロディガルサン、タガノブルグ、ストーミーシー、ブラックムーンに最後方ロイカバードという展開です。

馬場は悪くないと思います。
先週ですが節分ステークスでグレーターロンドンが1:33.6。これもスローでの結果です。
古馬1000万下の1400m戦で1:21.5。上がりも上位陣は33秒台を記録しているように、重賞であればラスト12.0でまとめても1:33.5。それ付近は最低ラインだろうと思いました。

が、知っての通り超スロー。前半37.2。
去年はスマートレイアーが逃げて前半36.0。一昨年もやや重馬場とはいえアンコイルドが逃げ前半36.3。

これは本当に遅いです。
2歳戦は除くOP以上の東京芝1600mにおいて、馬場関係なく前半37.0を超えたのは多分2回しかありません。

  • 2002年東京新聞杯 不良馬場 37.2 アドマイヤコジーン
  • 1997年菖蒲S 3歳限定戦 37.3 タイキシャトル

重賞の良馬場ですからね。
ゆっくり走る必要はあると思いますが、道中で余力を残し過ぎなような気がします。
ただ、「遅ければ動けばいいじゃん」というのはゲームじゃないので難しいのは分かります。

人気馬が動いたら格好の目標になるだけですし、「人気薄だから動け」というのも簡単ではありません。
早仕掛けをしてレースレベルを上げるだけになってしまったら、ただでさえ力が劣る馬は逆転が困難です。
遅ければ遅い方が紛れる可能性が高いため、逆転するには動かないのが得策です。

そうなると誰も動けません。
オリンピックの1500m走などでも起こりますが、トップレベルの戦いだからこそ、動いた場合の10秒後を想像すると誰も動けずに、スローペースのまま静かにレースが進んだということも言えるかもしれません。

前半1000m通過が62.2と新馬戦でも「スローペース」と言われるような流れのまま直線へ向かいます。
こうなると後は位置取り関係なく600mどれだけ走れるか?の勝負です。展開もへったくれもありません。

 

直線

ブラックスピネルが先頭で直線へ入ります。
1000m通過後に10.9というラップが刻まれているように、前を抜くのも困難です。

ブラックスピネルがほぼ持ったままで全力疾走です。
マイネルアウラートも食らいついていますが、前を交わせません。11秒を切って走っていますからね。当然っちゃ当然。
エアスピネルも王道のレースなので、気持ち外回して内からプロディガルサンに入られます。
ヤングマンパワーは相変わらずクビの高いフォームで頑張っていますが、ここから抜くほどの「究極の切れ」というタイプでもありませんので、苦しい展開です。

ブラックスピネルがデムーロ騎手の右鞭に応えてゴールへ向けて走ります。

馬場の真ん中を突っ込んで来たプロディガルサンは非常にいい切れ味を見せました。
特にラスト200mから手前を替えて一気にエアスピネルを振り切った感じの走りは大きくてリアルスティールよりも雰囲気はありました。
青葉賞の時は外向いたり舌を出したりして大分子供っぽかったですが、今回は全くそんな素振りもなく、成長を感じました。こういうのも競馬の醍醐味かと。

果たしてマイルがベストなのか?というとこれだと分かりませんが、少なくとも溜めればここまで切れ味を発揮するという事が分かっただけでも大きな変化でしょう。
馬体の雰囲気と気性の順調な成長具合、直線の走り方から、もしかしたらかなり強くなるかもしれません。

マイネルアウラートは逃げても良いと思いましたが、どこでペースを上げるか?というと難しいですね。
強気に先手を取ってもらった方がレースそのものは流れた気もしますが、その場合は4着になれたか?というと微妙です。
着順そのものは、上がりの時計を考えると、最もいい着順を取ったと思います。

ストーミーシーも最後頑張っていました。
こういう脚が使えるのであれば、差してはまるのを待つのがいいのかな。

ヤングマンパワーも切れ味は無い事はないですが、32秒台が求められると辛いですね。
もう少し流れて上がりが1秒以上かかるレースになると浮上するはずです。
前回はほぼ無抵抗に沈みましたが、前回より前に行く気持ちも見られましたし、ハードになり過ぎず、ソフトになり過ぎずのレースでは今回の6着は無視して狙いたいと思います。

ブラックムーンとかの後ろ組は直線どうしようもないです。

角度が分かりにくいですが、ブラックスピネルが勝っています。

エアスピネルは当然力負けではありません。
こういう瞬発力勝負は決定的に向きませんし、道中10頭のスローペースだとある程度自在に動けるというこの馬の良さも発揮しようがありません。

プロディガルサンに差され、ブラックスピネルに逃げられているので、負けて強しという感じでもないのも…。
スケールの大きさだとプロディガルサンの方が感じましたし、わざわざここに出走した目的でもある賞金加算も失敗。
スタートも上手で逃げてもいけそうだから、ブリンカーでもつけて逃げてみたら面白そう、とか外野は勝手に考えてしまいます。

勝ったブラックスピネルはもともと素質も高く評価されていましたが、ここで重賞初勝利。
もちろん逃げたという作戦も思い切った手ですし、最後まで脚色が衰えませんでした。
この1戦でどこまでG1で戦えるのか?というと評価しにくそうですが、京都金杯でもエアスピネルとタイム差無しですし、今回もほぼ同じ。
斤量差+枠の利などはあれど、ほとんど差はないレースをしています。
恐らく多くの方はこのレースを評価に値しないとしそうなため、毎回人気の盲点になりそう。

少なくともパドックの雰囲気などはとても良かったので、「エアスピネルの方が確実に上」とは思えません。

 

競馬場の高い所から見させてもらったので、ミニチュア風に。
色々な世界があるんだなぁと思いました。