写真で振り返る 第61回有馬記念 レース回顧




スタートからホームストレッチ

スタートはムスカテールが遅れ、サトノノブレスもあまり良くありません。
内のキタサンブラック、ゴールドアクターも好スタートです。
ミッキークイーンもかなりいいスタートを切りました。かつて「スタートが…」と言われていた姿がありません。

マリアライトも外から昨年のように積極的にポジションを取りに行きました。
マリアライトからすると、2コーナーでアドマイヤデウスまで抜いていればまた違った展開でしたね。
スッとアドマイヤデウスが前に行ったのは誤算というか、16番の苦しさを見ました。

ミッキークイーンが好スタートから掛かりそうな雰囲気でしたが、ゴールドアクターの後ろに付け、なんとか我慢させています。
馬群に入れてナンボの馬ですし、3コーナーまでいいアプローチだったと思います。

マルターズアポジーが先頭で1周目の4コーナーへ。
きっちりと一人旅。

約5馬身位離れてキタサンブラック、そこからも少し離れてゴールドアクターで最初のホームストレッチ。

その後ろからアドマイヤデウス、外目にマリアライト、内にサムソンズプライド。
間にミッキークイーン、内にヤマカツエース、外目にサトノダイヤモンド。

そのサトノダイヤモンド周辺です。

ミッキークイーンもマリアライトとやり合いながら少し掛かり気味が収まらず。
本来ならここら辺ではもう少しゆったり走りたい所。後ろの赤い帽子のサウンズオブアースもスタートから落ち着きませんでした。
最内のアルバートは下げて内に入れましたが、シュヴァルグランの外にサトノノブレス。

サトノダイヤモンドとすれば、内に同厩ミッキークイーン、外にサトノノブレス。動きやすい位置ではあります。

シュヴァルグランは本当の理想はサトノダイヤモンドの所でしょうが、1列後ろになってしまいました。
スタートも五分ですが、外からマリアライトに被せられ、コーナーで僅かに遅れ、この位置に。ここももっと楽に取れれば最後の伸びが違うんでしょうけどね。

私がずっと見ていたサトノノブレス周辺です。

内にシュヴァルグラン、サウンズオブアース、アルバートがいる外目。
ミッキークイーンは徐々に引っ張らなくなりました。
後方にデニムアンドルビー、ムスカテール、ヒットザターゲットと続きます。

西日の射しこむ向正面へ入ります。
後ろの方でムスカテールがクビを外に向けています。最近左回りばかりですからね。これも馬の個性ですから。

向正面

最初の1000mが1:01.0。
従ってキタサンブラックは1:02.0付近でしょう。そこそこゆったり。昨年と同じ位のペースで進みます。

900m付近からガクッとペースが落ち着きます。
13.4-12.8-12.9と緩みました。去年は13秒台が入ることはなかったので、ここで待つと前が楽になります。
サトノダイヤモンドのルメール騎手がこの周辺から進出しています。それについていくようにサトノノブレスも動きます。

サトノダイヤモンドはこの2Fで約0.8秒くらい前にいたキタサンブラックに並びかけています。
ペースが下がった時に前との差を詰めるというのが追い込みの鉄則ですし、楽をさせませんでした。

ゴールドアクターを交わして2番手まで上がります。

キタサンブラックもほぼ逃げている格好ではありますが、スタート直後からダラダラの手綱で走れたジャパンカップと比べると、前に行きたがっています。
馬場は違えどもペースは同じ位ですし、3馬身位後ろと離れていた前走に比べると、前にはマルターズアポジー、半馬身差でサトノダイヤモンド、1馬身半後ろにゴールドアクターとなると気も張るでしょう。スタート直後からジャパンカップのような手綱には1回もなりませんでした。

ここでもう1本の矢がサトノノブレス。
こう動かしてくるかと感心しました。ダイヤモンドの方は、ペースが落ち着いた時に前に付けておき、このままだとキタサンブラックはマルターズアポジーがバテるのをただ待っていればいいだけです。
私が予想だとそうなると思っていました。

レースを動かそうと思ったらキタサンブラックを動かさないといけません。
サトノノブレスが少し仕掛け、キタサンブラックを動かしました。
力が一概に違うとは言えません。仮にもG2を勝ち、菊花賞2着馬です。
下手に動かないと前がバテるだろうし、そこで外にきっちりと張られてしまうと、不自由が生じる可能性もあります。
ちょっと前に出さないといけないのは仕方ありません。

もちろん関係なくペースは上げたと思います。その意志がなければいきなり11.8と1.1秒もペースアップしません。
キタサンブラックもロングスパート合戦は望むところですが、0.2秒程度は望まぬ形で上げたのではないかなって思います。
ここでの0.2秒がゴール前、時計にして0.1秒以内でしょうが、僅かにその切れを削いだかもしれません。
それ位、サトノ2頭の動きは何度もリハーサルをしてきたようなシンクロっぷりでした。

4コーナーでマルターズアポジーにキタサンブラックが並びかけます。
ここもサトノノブレスが1列外にいたもんだから、シュヴァルグラン、サウンズオブアース、デニムアンドルビーがコーナーで抜く時1頭分余計に走りました。
もしいなければ、あの加速ならシュヴァルグランはサトノダイヤモンドの1馬身後ろではなく、半馬身後ろだったでしょう。
僅かですが、小さいロスが徐々に響いてきます。

潰れてなお後続を潰すというペースメーカーの鑑のようなレース振り。
これはすごいなと思います。

ゴールドアクターも直線では並びかけるようにスパート開始。ジャパンカップのような事はさせまいという騎乗でした。

直線

キタサンブラック、ゴールドアクター、サトノダイヤモンドの3頭の競馬になります。
これを後続が交わすのは至難の業。

直線は1つはヤマカツエースの動きでしょうね。
あれは難しかったと思います。
サウンズオブアースがデムーロ騎手が内に切れ込むのを外へ向かせていましたし、シュヴァルグランがミッキークイーンに押されるように外へ。
内を選択した瞬間が一番狭くなったタイミングで、その後はスタミナ切れのサウンズオブアースとシュヴァルグランの間が再度大きく開きました。
あれだけ伸びていると待つというのは難しかったと思います。直線が短いですし。

ミッキークイーンも外出すまでの雰囲気に比べ、真っ直ぐ走り出しての伸びで前の3頭との違いは出せず。
ややこの距離だと長くなってきた印象も受けました。

逃げるキタサンブラックに一度は並んだゴールドアクターですが、徐々に遅れます。
クビを下げて走るフォームは相変わらずステキですが、キタサンブラックを交わすまでには至りませんでした。
ただ、中山だと本当にきっちり走ります。

坂を上ってから、サトノダイヤモンドがルメール騎手の鞭に応えて加速をしました。
この馬もクビを下げて走るタイプですが、上下動も少なく、後ろ脚の蹴ったフォロースルーが高い気がします。

キタサンブラックは負けてしまいましたが、本当に強いと思います。
ゴールドアクターやサトノ陣営にここまでマークされて、サトノダイヤモンド以外抜かせなかった訳ですし、自分でレースも作れる馬が強くなると手が付けられない典型のような成長曲線を描いています。

最後まで粘り強いですし、並ばれても諦めず、なんなら自分でレースを作ってしまえばいい。
敵としてこれほど厄介なタイプはいないでしょう。
出入りの激しいロングスパート勝負は望むところだったと思いますが、自分で引き付けての勝負とは違い、前に1頭いたのも小さくなかったでしょう。
これ程までに強い馬になるとは思いませんでした。

ゴールの瞬間、武騎手が外を見ているのに、ルメール騎手が内を見ていないのが印象的です。

サトノダイヤモンドは4コーナーの加速はこの2頭と比較するとイマイチですが、それを補うだけの直線の脚と操縦性。
超スローから一気に加速する600mの究極の上がり勝負となると分が悪いと思いますが、長く良い脚が使えるレースだと良さが出ます。
今回は55kgで走れたので、古馬とは斤量差もありましたが、馬格もあるし、来年苦しむ姿は想像できません。

無事に日本のエースとして凱旋門賞へ、となるんでしょう。
血統も文句なしで、ディープインパクト中期の傑作となり得る存在であることは衆目の一致するところでしょう。

ヤマカツエースはこの舞台で内枠、道中じっくりと乗り、4コーナーではサウンズオブアースの内からスルスルと。
最後進路変更が結果としてはもったいなかったですが、上がり35.1と非常に切れました。
東京みたいな競馬場は向かないと思いますが、シュンと一瞬切れるのが存分に発揮できる舞台なら、上でもやれます。
来年は香港行っちゃうかもしれませんけどね。

ミッキークイーンはスタート上手になり、もう少し短い距離で本領発揮できると思います。
無事に走れればこれ位は驚くこともありません。
1回叩いてレースを使えれば、なんて言うのは簡単ですけどね。相手は生き物ですから。

シュヴァルグランは外枠から積極果敢にいきましたが、最後は止まりました。
それでも6着に踏ん張っています。あとは運があれば、の位置まではいると思います。
秋のG1は枠にも恵まれませんでしたが、あまり内枠がいいとも思えず。真ん中位が欲しい所でしょう。

サウンズオブアースは王道レース過ぎた気がします。
走るけどそこまでの馬じゃないというか、そこまで勝ち切れるタイプじゃないので、「知らぬ間に勝ってた」位の走りでもないとなかなか勝てないでしょうね。
阪神の2000mは勝っている舞台なので、大阪杯に期待します。

マリアライトは去年より色々と流れも悪く、大外関係なく4コーナーの動きは昨年とは違っていました。
引退ですし、お疲れ様という気持ちです。

 

レース後に戻ってくるサトノ陣営。
2人はどういう会話をしたのかは気になります。
「ナイスアシスト!」という感じの事だったのかな?

 

これで混沌としてきた年度代表馬。
モーリスの名前もありましたが、香港の2勝は入れてはいけないでしょうよ。
そうなるとキタサンブラックかサトノダイヤモンドか。

天皇賞春にJC、宝塚記念3着、有馬記念2着。
菊花賞に有馬記念、皐月賞3着、ダービー2着。

悩ましいぞ。キタサンブラックが宝塚記念2着なら悩まなかったのに。

それでも私ならキタサンブラックかなぁ。JCと有馬記念でファン投票1位での2着は重いと判断して。
ものすごく割れると思います。好みもありますし。

 

これで2016年の中央競馬も終わり。
反省会はまた別途。

 

観戦記はこちらから。

結婚できない男のクリスマス 有馬記念観戦記

2016.12.27




2 件のコメント

  • 毎回楽しみに拝見させてもらっています。

    最近はもっぱらグリーンチャンネルでの観戦のため、有馬観戦記は非常に臨場感が伝わって面白かったです

    展開予想などや海外競馬ネタも非常に参考になります。

    これからも、体に気をつけて、頑張ってください(^_^)

    • ありがとうございます。

      私ももっぱらグリーンチャンネル+ラジオです。たまーに現地に行くのも楽しいですよ。
      展開予想はあてになさなぬよう。私の文章の練習みたいなものです。

      タイキブリザード大好きなんですね。
      今なら大きくて見栄えがしてあの独特な走り方は好きになるだろうなと思いますが、当時はナリタブライアン大好きだったのもあり、有馬記念で先着した憎い奴でした。

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