写真で振り返る 第154回天皇賞 レース回顧




スタート~4コーナー

昨年は逃げなかったエイシンヒカリがやや押して出していきました。
絡む馬がいるかと思いましたが、ロゴタイプが行きかけてそこまで。今年はエイシンヒカリが予想通りの先導を果たします。

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サトノノブレスが少し行きたがっています。
アンビシャスはスッと下げ後方へ。
外枠の3頭(リアルスティール、ヤマカツエース、ラブリーデイ)はスーッと先行をしました。

ヤマカツエースが外から上がっていった所でモーリスが少し不穏な動きをしましたが、さすがライアン・ムーア騎手なんでしょう。
あれで釣られて掛かってしまえば結果は変わったかもしれません。ロゴタイプの後ろに馬を入れてキープさせました。

モーリスで言うと、私は外から3頭が行くので、包まれる可能性を感じていました。
が、ラブリーデイがモーリスの横辺りで留まるかと思ったら前に行き、リアルスティールは後ろに行き、ルージュバックもモーリスの外ピッタリではなく後ろへ。
枠が結果的にかなり恵まれていたということですね。このレースも少なくとも外の自由はある中でレースを進めることができそうでした。

エイシンヒカリが逃げ、外からラブリーデイが2番手。ロゴタイプが3番手。
ヤマカツエースが少し掛かり気味に見えながら4番手。

クラレント、サトノクラウン、モーリスと続き、それを見る形でリアルスティール。
内でサトノノブレス、アドマイヤデウスと続き、内でカムフィー、外目にルージュバック。
後方内にアンビシャスで外がステファノス。最後方にヒストリカルという展開です。

手を動かしながらエイシンヒカリが行きましたが、最初の1Fが13.3。
コーナーもあってそこまで最初からスピードが出る競馬場ではありません。
しかし、最内枠で少し手を動かして先頭を取りにいったように見えた割にはこの時計。テンが速い馬ではないものの、今回に関しては「行きっぷりが悪い」という印象すら受けました。

前半は36.9 – 60.8。
馬場はそこまで悪かったとは思えませんので、やはりスローだったということでしょう。行こうと思えば行けた馬はいたはずです。
過去10年では最も遅く、11年前の2005年のヘヴンリーロマンスの時が37.0 – 62.4。
出入りが激しいレースでもありませんでしたし、大分落ち着いた流れだったと思います。

エイシンヒカリは上がりの勝負に持ち込んでいるのは作戦だったのでしょうか?
「優等生過ぎた」というコメントが武豊騎手から出ていますが、もっと飛ばせて大逃げができる状況だったか?とは思えません。
結局この位のペースで走るしかなさそうでしたので、内の伸びにくい馬場もあり、1000m通過時点ではほぼ残る可能性は無かったと思います。

後方組だとステファノスもルージュバックもアンビシャスも抑えていました。
そんな隊列のまま3コーナーから4コーナーへ。
今日はもともと遠いのに加えて私のヘナチョコレンズの影響でかなり画像が粗くなります。いいレンズが欲しくなりました。

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後方組は最後追い込んで来たので走っていますが、後ろの方でなかなか自由がない馬が多かったと思います。

アンビシャスはそれこそもっと下げて外に出すということもあったかな。ポツンをやる位。
ただ、道中抑えながらも前に行き、終始ステファノスと並んで走ってしまったため、自ら外に出すスペースを消しながら走っていた感じがします。

ステファノスも後方で力が入り、直線でも顔が外を向いているように走りが内にささっていました。
外枠という事もあり、なかなか難しかったかと思いますが、後方で追い出すまでにガチャガチャが目に付きました。

ルージュバックも外にリアルスティールにピッタリとつけられてしまい、前も馬がいます。
抜け出すにも苦労しそうな雰囲気で4コーナーへ入りました。

対してモーリスは6番手の外。勝つかどうかは分かりませんでしたが、レース運びは文句なしです。

 

直線

粗い画像になってしまいました。

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エイシンヒカリがやや内から外へ行こうとしていますが、すぐ横にロゴタイプがいてラブリーデイがいてということで、グリーンベルトを走るという所まで馬を出す事ができません。
持ったままでラブリーデイがいて、雰囲気としては勝つかどうかは別にして、崩れなさそうには見えました。
これで直線でバタバタになってしまったのを見ると、これは分からないですね。

4コーナーから直線入るところで後方ではリアルスティールがかなり厳しくコーナーを回り、ルージュバックの行き場を奪ってから追い出しにかかります。
一旦リアルスティール自身もアドマイヤデウスの後ろに行く位まで押し込んでいるので、ルージュバックからも買っていた私にとっては痛恨。
50m位追えず、最終的にリアルスティールより外に持ち出しての追い込みなので、そりゃ届きません。

モーリスは外に思い切り出して誰と併せるとか小細工なしの勝負に。
手綱を少し外に開きながら走っているので、少しでもいい馬場を走れば負けないという手応えだったのでしょう。
下手に併せるとかせず、無人の野を行くが如く走りました。

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内を狙ったアンビシャスが相変わらずのクビをグッと下げたフォームで加速しますが、馬場もあったでしょう。切れが十分に出ません。

モーリスは置いておいて、リアルスティールが驚きのパフォーマンスでした。
2着は驚くことはありませんが、直線一旦ステファノスと並ばれてから、そこから一気に突き放しました。
200m位抜群に切れました。「こんな切れる馬だった?」と認識を改めなければなりません。
上がりの時計は両者同じ33.5ですが、勝負所の脚はステファノスを圧倒していました。伊達にドバイターフ勝てないなと改めて思います。

ロゴタイプも思った以上に粘っていましたが、この馬は走る位置とかではなく切れ味不足です。
前半からスタミナを溜めこんで、直線頑張って走っていましたが、疲れるとフライングチェンジが出ます。
それが残り200mを切っても出なかったので、いい感じでしたが、ラスト100mで手前が替わって飲み込まれてしまいました。

後はゴールに向かってモーリスが突っ走ります。

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ステファノスが右鞭に反応しているというか、前半からそうですが顔がずっと外を向いたまま。
去年はそんなことはなかったと思いますが、気合が入って何か狂ったのかどうなんでしょうかね。
リアルスティールも内にささりながら走っているので、なかなか真っ直ぐ走るのは難しいってことで特に気にしません。

ラブリーデイはこの辺りで完全に終戦。
ロゴタイプに振り切られてしまったので、調子というか徐々に自身のランクが落ちているんだと思います。
同じ6歳馬。片や2歳チャンピオンで、片や昨年覚醒した馬。普通に考えれば2歳から前線で走っているロゴタイプが先に落ちそうなものですが、分からないものです。
「早熟」「晩成」とかゲームみたいな簡単なものではないって事でしょう。

アドマイヤデウスも地味に頑張っていました。
昨年より大分いい走りをしていますし、体重が減ったことによる影響がどうなのか分からない不安はありますが、この調子ならJCでも同じように見せ場は作れそうに感じました。

最後はリアルスティールに1馬身半という差をつけての完勝。
「左回りが下手?余計な心配してないで俺を信じてりゃいいんだよ」というような走りでした。
特に手前が替わってからのストライドの伸びは、安田記念とは異なるいい走りでした。右回りだと何度も見たのですが、左は初めてだと思います。

行きっぷりの良さを失わせずに抑え込み、直線伸びる場所で爆発させました。他の馬はモーリスにこんなレースをさせちゃいけません。
正直言えば他の馬にはプレッシャーを与える位の事が見たかったです。かなり自由に走らせてしまったと思います。

ゴール板のライトの前を通った瞬間にシャッターを切れたので、綺麗に撮れた1枚。個人的には今年1番。
走りはガタガタしているように見えますが、キックが強く跳ねるように走りながら、それでいて頭が上がらない(上へスピードが逃げていない感じ)ため、スピードに乗るとストライドが大きく感じます。

これで2000mも克服しました。
ややスローでややパワーのいる馬場というのも味方したと思いますが、それでもこの勝ち方は文句のつけようがありません。

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負けた組だとルージュバックが勝負ありの所からようやく伸びてきて上り34.0を切って7着。
リアルスティールに蓋をされちゃったのもそうですし、不完全燃焼ですね。
展開1つで2着、3着はあったと思います。それ位の力の差しかありません。こういう事もあります。残念ですが。

アンビシャスは苦しい所を走ってしまった分でしょう。
枠の巡りは少し悪いのを承知で、外に持ち出せるかと思い本命にしたものの、悪い方に出てしまいました。
1馬身以上差がありますが、当然ながらそんな差はありません。

エイシンヒカリは前半から行きっぷりが悪かったのもありますし、こういう逃げだと日本だと勝てないと思います。
昨年は2番手でしたが、今年もこのペースなので大体同じようなものです。
2年連続で同じように走り、同じように負けてしまったので、「天皇賞に縁のない馬」と言えばそれまでですが、それだけで終わりにしたくない馬でもありますし。

この馬が最も輝いた(?)アイルランドトロフィーの走りがもう1回見れなかったのは残念でなりません。
直線で斜めに走れということではなく、ハイペースの逃げを打ったらどうなっていたんだろうというのは謎のままでした。

 

ウイニングランでもニコリともしない様子で、仕事人ライアン・ムーア騎手を背に戻ってきたモーリス。
でも頭をなでなでしていましたので、そりゃG1ですから。凱旋門賞のような事はなくても嬉しいものでしょう。
終わってすぐ飛行機で次へ移動ということで、世界を股にかけるジョッキーだなということをまざまざと感じました。

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それにしても一気に秋から冬のような季節でしたし、日の入りも一気に早くなってきました。
天皇賞後の競馬場の風景も、まるでJCの時みているよう。
曇り空でしたので、最後は夕日が差して良かったものの、「この季節になってしまったか…」と。
明日からも頑張りましょう。

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