凱旋門賞のデータ分析。2000年以降16年間のロンシャン開催のもの(その2)




マカヒキがニエル賞を勝ち、馬券も売り出されるということで今後色々なデータが乱立してくるんじゃないかなって思います。
日本と違って路線が国を跨いでバラバラなので、力関係の把握が難しいから荒れるんだと思います。

該当の馬は最終的には出走するか分かりませんので、上位人気が予想される馬をピックアップしているものもあります。

父親、血統のタイプ

やはり欧州という事でノーザンダンサーが主流になります。
母系にMr.Prospectorが入っていることはありますが、やはり主流は父ノーザンダンサーです。

勝ち馬だけで見てみると、以下のような系列になります。
色付きになっている馬はノーザンダンサー4×4またはそれより濃いクロスがあります。

タイプ
Northern Dancer Grand Lodge シンダー
Caerleon マリエンバード
Montjeu ハリケーンラン
Dansili レイルリンク
Danehill ディラントーマス
Cape Cross シーザスターズ、ゴールデンホーン
Lomitas デインドリーム
Poliglote ソレミア
Motivator トレヴ(2)
Never Bend Bahri サキー
Darshaan ダラカニ
Blushing Groom Nashwan バゴ
Mr.Prospector Zamindar ザルカヴァ
King’s Best ワークフォース

16回中11回がノーザンダンサー系の勝ち馬になります。
また、過去16回でノーザンダンサーのクロスの馬が7勝しています。これは無視できない数字です。特に近年はよりその傾向が強くなってきています。

そう考えると、今年は異質な年です。

  • Postponed、New Bay、Left Hand:Dubawi → Mr.Prospector系
  • Almanzor:Wootton Bassett→Mr.Prospector系
  • La Cressonniere:Le Havre→Blushing Groom系
  • Harzand:Sea the Stars→Northern Dancer系
  • Silverwave:Silver Frost→Zeddaan系

マカヒキに至っては完全に異質な血統です。ヘイルトゥリーズン系なので、日本馬+スノーフェアリー以外はほぼ見かけません。
今年はノーザンダンサーだとガリレオ産駒が有力馬にも沢山いますが、その1で書いた通りこのレースの勝ち馬にガリレオ産駒はいません。

言うまでもありませんがガリレオとSea the Stars(シーザスターズ)は兄弟なので、Sadler’s WellsとCape Crossの差はあれど、母が一緒ですから。アーバンシー、偉大なり。
高速決着だったキングジョージを経て出てきたTaghroodaも届きませんでしたので、Harzandも…。

ガリレオ産駒が勝ったら史上初です。
ここ5年連続でノーザンダンサーのクロスが入っている馬が勝っていますが、今年の有力馬でそういう馬は見当たりません。今年のメンバーは血統はアテになりませんね。

なお、上位に来た馬はノーザンダンサーのクロス持ちは多いです。今年は居ないですが、来年以降のために。
3×4だと、Flintshire(フリントシャー 2着2回)、Intello(インテロ 3着)、Youmzain(ユームザイン 2着3回)、Aquarelliste(アクワレリスト 2着)。
4×4だと、Sulamani(スラマニ 2着)。
3×5だと、Taghrooda(タグルーダ 3着)。他にもいるかもしれないけど。

日本馬オルフェーヴルはノーザンテーストの3×4がありますので、似たようなものです。

 

フランスダービー馬(3歳と古馬)

該当:Almanzor(アルマンゾール)、New Bay(ニューベイ)

今年は2頭のフランスダービー馬が出走するかもしれません。
フランスダービー馬の成績はさほど良くありません。

3歳馬 【1.1.2.6】

4歳以降【0.0.0.3】

となっています。
地元馬頑張れ!という感じすらします。
16年でこれですので、いかに古馬になって走らないのか、ということもあります。

特に古馬は悲惨でHolding Court(ホールディングコート)は15着、Anabaa Blue(アナバーブルー)は7着、Vision d’Etat(ヴィジョンデタ)は10着。
そこまで現役を続けている馬はそもそも…なのでしょうか。

日本で言うならダービー馬がJCを古馬になって2000年以降3回しか走らず全て着外とかだとあまりにも…ねぇ。

勝ち馬はDalakhani(ダラカニ)のみ。

なお、2000年以降前哨戦で愛チャンピオンSを経由して出てきた馬はいません。どちらも初めての事です。
調べた以上は書きますが、データとしては使えないデータです。

 

9/18追記

今年のフランスダービー馬は英チャンピオンSへ向かうそうです。来年ですね。
このデータにあるように、来年はどうなんでしょうね。

ドバイシーマクラシック優勝馬

該当:Postponed(ポストポンド)

ご存知の通り欧州競馬は4月~11月位に行われ、それ以外は基本休み(というか主だったレースは無い)です。
従って3月末のG1を走るという事は、約1年間状態をキープしなければならず、常識的に考えると楽ではありません。

2002年以降、ドバイシーマクラシックで5着以内に入ってからの凱旋門賞はというと、

【1.4.0.6】

勝ち馬は2002年のMarienbard(マリエンバード)のみです。
多くの勝ち馬が3月から走っていませんが、Marienbardのみが3月末から走り、凱旋門賞を制しています。

Postponedはドバイシティオブゴールド(3月上旬)から走っています。
始動は早いですが、今年に入って5戦目。少し休みも入っているので、余力の心配はないでしょうね。

2着が多いのはYoumzain(ユームザイン)Flintshire(フリントシャー)という欧州切ってのシルバーコレクターがドバイも出ているためです。
これ位強い馬なら関係ないんでしょうけどね。
そのFlintshireはアメリカで無双していますので、BCターフが今年はハードになります。

 

凱旋門賞の巻き返し

該当:New Bay(ニューベイ)3着、Erypt(イラプト)5着、Found(ファウンド)9着、Silverwave(シルバーウェーブ)10着

これも難しい事で知られています。
当然古馬の方が斤量が大きくなるため、昨年より順位を上げる事は楽ではありません。

2着→2着とキープした馬は「順位を上げた馬」で計上しています。

順位を上げた馬:18頭/内3着以内に上げた馬:延べ9頭(7頭)

Pride(プライド)が13着→7着→2着、Flintshire(フリントシャー)の8着→2着→2着の2頭が着外からの巻き返しです。

他の馬は基本的には上位から上位です。

  • High Chaparral(ハイシャパラル) :3→3
  • Youmzain(ユームザイン):2→2→2→(10)
  • Soldier of Fortune(ソルジャーオブフォーチュン):5→3
  • Orfevre(オルフェーヴル):2→2
  • Treve(トレヴ):1→1

どれもこれも凱旋門賞を彩る名馬です。

さて、今年の馬たちはというと、New Bayは連続3着以内はありそうですね。
また、Foundはあると思います。これは勘ですが、それっぽい馬ですし。

10着以下から一足飛びに巻き返した馬がいないので、Silverwaveはマイナスですかね。
また、維持した馬がほとんどで、順位を上げて馬券内に来た馬は2000年以降は3例しかありません。

順位を下げた馬:26頭/内3着以内から下げた馬:10頭

こっちも一杯います。

  • Egyptband(エジプトバンド):2→8
  • Aquarelliste(アクワレリスト):2→6
  • Cherry Mix(チェリーミックス):2→12
  • Youmzain(ユームザイン):2→2→2→10
  • Cavalryman(キャヴァルリーマン):3→8
  • Workforce(ワークフォース):1→12
  • nakayama festa(ナカヤマフェスタ):2→11
  • Sarafina(サラフィナ):3→7
  • Shareta(シャレータ):2→9
  • Treve(トレヴ):1→1→4

下がったものの3着を確保した馬は

  • Bago(バゴ):1→3
  • Hurricane Run(ハリケーンラン):1→3

 

フランスダービー馬の古馬の成績が悪いので、New Bayは下がる方が率としては高いです。
下がっても着順を確保した馬は前年の勝ち馬ですし。

 

乗り替わり

乗り替わって勝ったのは16年で2頭。
どちらもスミヨン騎手からの乗り替わりです。

  • Solemia:スミヨン→ペリエ
  • Rail Link:スミヨン→パスキエ

凱旋門賞を勝つような馬なので、当然乗り替わりはほとんどありません。
少なくとも前走と同じ騎手が多いのは当然と言えば当然です。

2着馬としては、Flintshire(シュミノー→ギュイヨン)、Shareta(ルメール→ジャルネ)、Youmzain(ヒューズ→ヒルズ)、Westerner(パスキエ→ペリエ)、Cherry Mix(ジレ→スミヨン)、Sulamani(バリー→テュリエ)の6例。

今年はなんか上位人気陣はない気がします。
怪我で乗り替わりなどでもない限り、大丈夫でしょう。

 

前走1馬身以内の勝利

マカヒキの前走の勝利が少差(クビ差)だったということもあり、「いい前哨戦だった」という声もあれば「あの勝ち方だと…」という声もあります。

データとか関係ありませんが、「勝つとマークがきつくなる」とかは無いと思います。
「日本ダービー馬でレーティング121ポンド」だと勝っても勝たなくてもマークされます。そういう馬です。

勝ち馬で言うと2006年のRail Link(レイルリンク)がニエル賞半馬身差でした。
凱旋門賞馬で前走勝利している馬の中ではこれが最も少ない着差です。

この時は2番人気のPapal Bullが重賞2勝も英ダービー10着、前走ヨークのG2を大敗してココ。
3番人気が準重賞→G2を連勝していたYoumzainが3番人気。将来は走る馬ですが、当時は普通の馬です。
この馬相手にパリ大賞馬が勝利したというなんてことないニエル賞でした。

これを半馬身差で勝った後、ご存知ディープインパクトが出走した凱旋門賞を制しています。
Rail Linkは4番人気で出走。マカヒキに被りますかね。

 

3着に入った馬で前走1馬身以内の勝利だった馬:6頭/28頭。

少ないと見るべきかもしれません。とはいえ実際はあまり着差は関係ありません。
負けた馬でも巻き返していますので、目安の1つです。

なお、この数字はレースの格関係なく集計しています。
この観点だけで言うと、Left Hand(レフトハンド)Almanzor(アルマンゾール)も、ドーヴィル大賞(G2)を勝ったSavoir Vivre(サボアヴィーブル)も1馬身以内の勝利に当てはまります。

前走1馬身以上勝ちだった馬で登録がある有力どころと言えば以下の馬しかいません。

  • Seventh Heaven(セヴンスヘヴン):ヨークシャーオークス(G1)2馬身3/4差
  • La Cressonniere(ラクレッソニエール):ノネット賞(G3)2馬身差
  • Postponed(ポストポンド):英国際S(G1)1馬身1/4差
  • Silverwave(シルバーウェーブ):フォワ賞(G2)1馬身差

Seventh HeavenはFoundを突き放していますので、出てくれば怖い1頭ですが、父はガリレオ。
3歳牝馬だとLa Cressonniereよりこちらの方が一発ありそうな気がします。

 

ポストポンドのペースメーカーは誰に?

データとは全く関係ないですが、欧州だと展開のカギを握る大きなファクターになります。

凱旋門賞はセン馬は出走できないので、これが私はとても気になっています。
昨年からPostponedはペースメーカーを欧州のレースでは使っています。が、最近使っているのは2頭ともセン馬です。

さて、凱旋門賞はどうするでしょうか?

Roseburg(ローズバーグ)が出てきたら普通に脅威になってもおかしくありませんでした。
コロネーションカップ3着馬であり、2着のFoundと互角に走ったペースメーカー。
出てきたらグリーンベルトを最大限に活用してギリギリまで粘るレースをしちゃうんじゃないかと。

セン馬ですし、出ません。今どこにいるんだろう?引退したんですかね?
もう1頭、英国際Sで使ったKing Boleteもセン馬。

新たな馬を持ってくるんだろうと思うものの、しっかりと役割を果たしている馬を変えないといけないのはイヤでしょう。

 

Harzandも前走はペースメーカー使っていますし、アガ・カーン陣営ですから出れば用意してくると思います。

これは前走と同じ馬かな。
Highland Reelを潰す役目は果たしましたが、少し前半流し過ぎたかもしれません。

Highland Reelが出てくれば豪華なペースメーカーをしてくれそうですが、どうなるでしょうか?
これは直前までみないと分かりません。

前走逃げ切った馬と言えば、ドーヴィル大賞を勝ったSavoir Vivreが逃げ切り勝ちです。
しかし、あまりにもスローの逃げなので、今回も逃げる事はないでしょう。まぁ出てくるか分かりませんが…。
ドイツダービーの時は後方から追い込んでいるので、あれはたまたまだと思います。

やはりHighland Reelには出走してもらって、豪華にキングジョージ馬に引っ張ってもらえるのがいいんですけどね。

 

その他

マカヒキは私は良い勝負はほぼ間違いないと思います。勝つかどうかは勝負事なので分かりませんが。
基準は「JCに出れば勝てるんじゃないか」だと思います。好勝負必死であれば、ここでも崩れる事は心配しなくていいと思います。

凱旋門賞は馬場のどこを通るかが勝負になります。
内側にグリーンベルトがかなりしっかりあるので、枠の理想は真ん中。
逃げ馬の後ろのスペースを日本ダービーの如く通りスリ抜けられれば勝てると思いますが、詰まるかもしれません。
むしろ詰まっても仕方ないという乗り方をしてほしいものです。

 

他のはこちらからどうぞ。

凱旋門賞のデータ分析。2000年以降16年間のロンシャン開催のもの。

2016.08.20

凱旋門賞のデータ分析。2000年以降16年間のロンシャン開催のもの(その3)

2016.09.27

CMなどはこちらから。

凱旋門賞のCMなどの映像集(まとめ)

2016.09.12