2016 パリ大賞 レース回顧




Grand Prix de Paris(G1・サンクルー・1m4f・Soft)

フランスの3歳馬の非常に重要な1戦であるパリ大賞です。

今年は8頭。最終のエントリーは9頭でしたが、Shogun(ショーグン)が取り消しました。

メンバーとしては正直低調です。
前走G1できっちりと壁に1回ぶつかった馬たちの残念ダービー会みたいな様相を呈しています。

パリ大賞

前走フランスダービーで1番人気も8着に敗れたMekhtaal(メックタール)、割と見せ場ありの4着だったTalismanic(タリスマニック)。
英国ダービーで8着に敗れたCloth Of Stars(クロースオブスターズ)に、英国ダービー6着→愛ダービー4着のRed Verdon(レッドヴェルドン)。

この辺の馬が上位人気です。

新興勢力としては、キングエドワード7世Sで2着したBeacon Rock(ビーコンロック)が筆頭ですが、負けてますしね。
勝ち馬であるAcross The Stars(アクロスザスターズ)は英国ダービー10着馬なので、うーん…という所でしょう。
着順はG2で2着というのはいいと思いますが、そこまで強調できるか?というとちょっと強気にはなれません。

前走G3のリス賞を勝っているSpring Master(スプリングマスター)も勝負強い勝ち方ではありましたが、目立った勝ち方ではありませんでした。
2走前にはTalismanic(タリスマニック)に敗れて2着だったので、力関係としては、そこにやや及ばない勢力とみるべきかなと思います。

レースはこういう感じでした。
音がないので、非常に静かです。

逃げたのはBeacon Rock(ビーコンロック)です。
途中掛かり気味に外からSpring Master(スプリングマスター)が上がっていき、3番手内の紫帽子がMont Ormel(モントオーメル)です。
4番手位の外にいる赤帽子が人気のMekhtaal(メックタール)。

後方組は外側にいる全身青がTalismanic(タリスマニック)、内の白帽子の青がCloth Of Stars(クロースオブスターズ)。
後方にいる赤っぽい派手な勝負服がRed Verdon(レッドヴェルドン)、内にManiaco(マニアコ)という展開です。

多少途中出たり入ったりはありますが、およそそういう流れです。

直線に入って早々にBeacon Rockが潰れてしまい、最内をするするとMont Ormelが先頭に立ちます。
Mekhtaalも伸び掛けますが、思ったより弾けません。

内からCloth Of Starsが差を詰めようとするもそこまで差が詰まらず、変わって大外から一気にRed Verdonがいい脚で伸びました。

が、前を捉える事ができずに早め先頭から押し切ったのが最低人気Mont Ormel(モントオーメル)です。
これで7戦3勝です。前走はリッジウェイ賞という一般戦を6馬身半差で勝ってきましたが、言うなれば500万下を圧勝してG1に出て来たという位のインパクトでしかありません。

父はAir Chief Marshal(エアチーフマーシャル)。5000ユーロ(58万円位)の種付料です。
仕上がり早で2歳リーディングをフランスで取っていると書いてありますが、地味は地味ですね。

母はLidana(リダーナ)という馬です。
母父はキングズベスト。母の母はLidakiya(リダキヤ)という馬で、娘にはLinngari(リンガリ)という馬がいます。つまりこの馬のお姉さんです。

思い起こすは2007年のドバイデューティーフリー。
アドマイヤムーンとダイワメジャーとの間にいるのがリンガリです。

と、まぁそれ位です。

レースとしてはメンバーもそうですが、2番手集団の戦いとしてもそれほどパッとしないレースだったと思います。
パリ大賞は最近は…と言われてしまうようなレースでした。

Mekhtaal(メックタール)にCloth Of Stars(クロースオブスターズ)、Red Verdon(レッドヴェルドン)。
この辺りは2番手集団ですが、ここでも大きくパフォーマンスが変わった様子がないので、これ位なんでしょうね。

これが3歳牡馬の欧州の現実です。
「これはマカヒキやサトノダイヤモンドでは勝てません」と誰も思わないでしょう。

でも例えばRed Verdonなんかは愛ダービーでは4馬身差の4着でゴールしているし、パリ大賞2着。この距離なら世代で上位なのは間違いありません。
JCに来てもお客さんでしかなく、特にフランスはこの春の少し長い距離のG1は「うーん」というレースばかり見ている気がします。