レース
スタートは遠くて全く見えません。
というか競馬場のどこからも(スタート地点は入場口の「外」ですので、外の人は見えると思いますが…)見えないというのは造りとしてどうなんでしょうね。
スタート直後内側(コーナーなので外側)へすっと動く芦毛がウィンターです。
昨年のファウンド同様に、ムーア騎手はひたすら内へ。
当然仮柵が外されていますので、馬場が悪かろうが直線内が伸びるのが鉄則の凱旋門賞。勝つためには当然の策です。
ユリシーズやエネイブル、出遅れ癖のあるブラムトも前に行きます。
アイダホがスタートから外へ行きながらコーナーワークを利していこうという作戦ですかね。
間から手が動いてオーダーオブセントジョージ辺りも前に。
サトノノブレスもスタートは悪くなかったですが、少しはエネイブルとオーダーオブセントジョージとの間で苦しい感じ。
その後ろにいたウィンターがイキートスを吹っ飛ばして内側へ行きます。ウィンターはずっと首をあげている感じ。落ち着いて走っている様子ではありません。
アイダホが予想通り先導します。
その後ろにエネイブルがつけ、オーダーオブセントジョージが昨年同様に前目。
ユリシーズや内からブラムトが上がっていき、サトノノブレスの外からチンギスシークレット。
最内からウィンターで青い勝負服がクロスオブスターズ、プリュマティック。
その後ろの外にサトノダイヤモンド。結局内に入れませんでした。
内からイキートスやザラク。
サトノダイヤモンドの後ろからカプリやワンフットインヘヴン。
ドーハドリーム、セヴンスヘヴンにシルバーウェーヴという展開です。
各馬が大厩舎を横目見ながら坂を下ります。
サトノノブレスとサトノダイヤモンドの動きはうまく連動できていたか?というとサポートらしい動きはできていなかったと思います。
距離が微妙でもっと近ければ直線で前を開けることもできますし、遠ければそれこそペースを上げて潰すなどの動きになるでしょう。ただ、どうしてもあの距離だと内を開けようものなら他の馬が入ってしまいます。
一番遠い地点だとこんな感じになります。
やはり1周2000m位が限界ですね。広けりゃいいってものでもありません。
向正面は入場料は要りませんので、そっち専用のカメラマンの方もいて面白い。直線は直線の良さ、3コーナーはその良さがあります。マニアックな世界ですが、そういうものです。
ペースはあの画面のを信じると1:27.10で1400m通過です。
馬場差が3秒近くありますので、極端なスローではないですね。オーダーオブセントジョージもいますし、きっちり流してきました。
エネイブルはがっちり抑えて3番手で4コーナーへ。
サトノダイヤモンドは真ん中から外を回していきました。内に入れるタイミングもないので仕方ないですが、ただでさえ外が伸びにく馬場ですので、どうしても楽ではなさそうでした。
直線はアイダホが粘るところをオーダーオブセントジョージが前に行きます。
コーナーをきつく回り、なるべく外に膨れないようにしていたエネイブルが先頭に。サトノダイヤモンドはここで苦しそうでした。
結局この段階でもサトノノブレスとサトノダイヤモンドとの内外すら入れ替えられないのであれば、ノブレスは出るだけで文字通り一緒に走っただけでした。
残念ですが、ペースメーカーというか世話役は何もできてないに等しいと思います。
最内に入ったウィンターは追えませんが、これはファウンドでも見た光景ですので、仕方ないと思います。
追えれば違うかどうかは置いておいて、一発勝負であればこういう作戦もありですし、一発逆転を狙うならリスクはもとより承知でしょう。
エネイブルが先頭に立ち、サトノダイヤモンドはノブレスとイキートスに挟まれてしまいました。
不利があったとかではなく、ノブレスと少し馬体が接触したように見えたけど、まぁ本来の姿ではなかったということですね。サトノノブレスとサトノダイヤモンドが同じ位置でゴールするなんて正直考えていませんでしたから。騎手もそうでしょう。
後ろに男馬を引き連れて(ウィンターは牝馬ですが)、エネイブルが突き放しにかかります。
この段階でもう勝負ありです。
エネイブルがデットーリ騎手の鞭に応え、ストライドをどんどん伸ばします。
重馬場の鬼だろうと思っていましたが、そういうこっちゃありませんでした。
ユリシーズやオーダーオブセントジョージやアイダホ、クロスオブスターズやブラムトといった面々が追いかけていますが、粘るだけ。ストライドがここまで違うとどうしようもありません。
それ位違ったと思います。私の見る目がなかったということでしょうね。相馬眼を磨くにはどうしたらいいのでしょうか?
勝ったエネイブルはこれで2400mのG1をほぼ総なめです。
スタートの良さに加えて道中の位置取りのスムーズさ。もちろん枠もありましたが、それでも3番手をしっかりキープできたのはこの馬ならではでしょう。
直線は圧巻でした。生で見た凱旋門賞のトレヴとは違う迫力でした。トレヴは脚の回転の凄味はありましたが、エネイブルは全身を使ったストライドが他の馬を圧倒しています。
今回の凱旋門賞で撮れた1番いい写真です。
目をぱっちり開いて、全身を使って走っていました。
2着のクロスオブスターズは頑張りましたね。
フランス勢は弱いと随分けなしていましたが、しっかりと存在感を見せました。
直線で行き場がなくなっても慌てず、チンギスシークレットとユリシーズの間のスペースをついてきました。
直線で無理に動いていたらチグハグになったでしょうが、ある意味では暫く開かない状態だったので、割り切って2着を取りに行ったのかもしれません。
3着のユリシーズはエネイブルには2戦とも完敗ですが、勝負に行ってのことですし、今年1年で随分と強くなりました。
昨年のBCターフでは上3頭(ハイランドリール、フリントシャー、ファウンド)には到底かなわないと思っていましたが、今年の走りであれば逆転できる馬になってきた印象です。
1年で馬はいろいろと変わるものです。
オーダーオブセントジョージは4着も昨年くらいは走りました。
若干短いですが、先手を取れるスタミナ馬というのは強いです。
ブラムトは出遅れなかったため、内の前を取れたのが大きかったですね。
フランスダービーのような末脚は出ませんでしたが、あんなレースをしていたら勝てるものも勝てません。
やはりある程度前で頑張るのが理想です。
ウィンターは前が開いても伸びなかったので、距離でしょう。
1800mまでしか勝っていないというのではさすがに苦しかったと思います。
勝ち馬から7馬身半では完敗です。来年以降現役を続けるのであればマイル~10F戦になるでしょうし、英愛の1000ギニー馬とオークス馬はもう巡り合うことはないでしょうね。
サトノダイヤモンドに関しては残念です。
関係者はもっと残念でしょうが、体調が戻っている感じがしなかったのが残念です。
フランスまで行き2回重い馬場走りでは秋は難しいと思いました。
天皇賞上位陣のその後があまりにも崩れているので、各馬が死力を尽くしてしまったのかなぁ。
ただ、やはり日本馬が目指すのは凱旋門賞しかありません。
これは時期もそうですし、賞金もそう。無理に他のG1なんて目指さなくてもいいと思います。
今回は大きく負けてしまいましたが、海外遠征はファンも何かと面白いので、続けていってほしいです。
凱旋門賞の売り上げが30億円を超えているそうで、それなら毎年必ず送り込めばいいと思うんですけどね。
日本馬は誰でもいいので。JRAがこのレースだけは補助出してさ。
G1勝ってなくても全然OKだと思っています。
レース後のウイニングランも落ち着いていました。
息は当然乱れているはずですが、しっかりと停止し、写真を撮られています。
強い馬って感じですね。
そして表彰式では英国の国歌が流れます。
いつか「君が代」が流れる時を待ちながら。
また来年からロンシャンですので、シャンティイは時計が出るから日本馬大丈夫というのは幻想でしたかね。
そういうものではないというのが2年でよくわかりました。
私は3回観戦に行っていますが、トレヴ→トレヴ→エネイブルと全て牝馬が勝っています。
なにかがあるのかなぁって思いました。
現地時間0:12にブログ書き終わり。
フランス遠征の全てが終わった感じです。疲れる旅行だわ。
最後にフランスの夜景を。
凱旋門へ続くシャンゼリゼ通りです。
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