写真で振り返る 第85回日本ダービー レース回顧




レース

スタートは大体は出ました。
立ち上がってしまうとかはありません。多少エタリオウが出が悪かったですが、それ以外はほぼ互角。
スタートしてスーッと内に切れ込む様に走った外のジェネラーレウーノと最内ダノンプレミアム。

エポカドーロはスタート直後の動きを見ていると決めていたかのような動きです。
外からジェネラーレウーノやサンリヴァル辺り、もしくは内のテーオーエナジーも考えられましたが、皐月賞馬があれだけ行っていれば、そこは目標にするという動きになってしまったかもしれません。
出しているように見えて12.7。平均位ですし、決して無理な先手ではありませんでした。

スタート直後だと驚いたというか目に付いたのはエポカドーロと内のダノンプレミアム。そして大外からサンリヴァルよりも前に行ったワグネリアンでしょう。
特にワグネリアンはジェネラーレウーノの作った走路をスイスイと走り、オレンジ帽の連中が軒並み下げたのもあり、すんなり外目の中団を取れました。
ダノンプレミアムは前が行くのを待つ感じで抑えます。ここまでは誰が前に行くかは別にして、大体想定通りの動きには見えます。

写真を撮りまくったので、写真をふんだんに使いながら。使わないと仕方ないし。

エポカドーロが先頭で、テーオーエナジーがかかる様な動きでそれに反応するようにガッと行きそうになったダノンプレミアム。
我慢できたとは言え、もう少しだけでもスムーズにエポカドーロの後ろを取れたであろうだけに、前半無駄な体力を使ったかもしれません。

中団付近はダービーの1コーナーらしくごちゃごちゃして、コズミックフォースや内のゴーフォザサミット辺りは結構窮屈な場所です。
この後ろではブラストワンピースとジャンダルムが並んでいましたが、ジャンダルムが行きっぷりが良過ぎてずっと抑えていました。ジャンダルムはここまで行く馬だっけ?性格もマイル位の馬になってきてしまったのかも。ホープフルSの時とか長手綱でダラダラ走れてたのに。

Cコースで馬場が良くなったとはいえ、ここまでパサパサだと土煙が舞います。
キックバックで芝が舞い、これも晴れたダービーらしい1コーナー。
サンリヴァルが外に膨らんでいますが、テーオーエナジー→コズミックフォース→ワグネリアン→サンリヴァルと玉突きを起こしたためです。
テーオーエナジーの動きが序盤は大きく、ダノンプレミアムやゴーフォザサミット辺りも動きに影響されているように見えます。

後方勢にグレイルやステルヴィオ、エタリオウ、キタノコマンドールにアドマイヤアルバといった馬達が後ろに控えます。

1コーナー過ぎでゴーフォザサミットの蛯名騎手が立ちあがる感じに。
テーオーエナジーが前に行くかどうかという所で、行かせるのは良いのですが、後ろに付けるのに苦戦しています。
誰が悪いという事ではなく、流れの中ですからね。ただ、こういうのが蛯名騎手にあると、「あぁ、今年もか」と思わざるを得ません。流れは大事です。

ダノンプレミアムはまだ力の入った走りには見えますが、それ以外は大体落ち着くころですので、目立って折り合いを欠く馬はいません。

大歓声を背中に受けながら、静かな向正面へ入ります。

逃げる皐月賞馬エポカドーロ。
2番手にジェネラーレウーノと内にダノンプレミアム。
その後ろにコズミックフォースとテーオーエナジー。その外にワグネリアンと間ブラストワンピース。

ゴーフォザサミット、タイムフライヤーやサンリヴァルと続きます。この辺りが中団前目。
ステイフーリッシュにオウケンムーン、内にジャンダルムと続き、後方にはオレンジ帽子のエタリオウが内から進出し、ステルヴィオ、グレイル。
後方にキタノコマンドールとアドマイヤアルバという展開です。

横には最大3頭位ですし、ペースは前半が36.0-48.4-60.8。
馬場を考えればこの流れではスローに分類されるでしょうね。
8Rの青嵐賞は1000m通過時点からペースが徐々に上がり、1200m通過が1:11.4。それに対して1:13.1。道中前の馬達の少し下げたいという思惑通り、レースが進んだ印象があります。
昨年の様に13秒台に落ちるでもなく、無理に仕掛けるには得策とは思いにくい絶妙な12.2~12.4位の流れ。エポカドーロの刻んだ流れが非常に上手でした。

1600m通過時点でざっと目測で1:37.0付近(実際は1:37.3)でしたので、そこから800mを46.0(11.5-11.5-11.5-11.5)ならダノンプレミアムは行ってくれるだろうと思う流れでしたので、大体4コーナーでは後続勢はアウトだろうと思いながら直線手前を見ていました。
やはりある程度前の流れでした。かかる馬もおらず、順位の入れ替えも少なく、淡々と進んでいった印象しかありません。

4コーナー手前から外からコズミックフォースが一足先に動きます。
その後ろの内でダノンプレミアム、真ん中ブラストワンピース、外にワグネリアンと有力各馬が前3頭を追います。
ジェネラーレウーノの手が動き、早くも失速。ジェネラーレウーノは道中おかしい雰囲気もありませんでしたが、ここまであっさり沈むとは想定していませんでした。

皐月賞馬エポカドーロが先頭で直線へ。その外から先頭に立つ勢いのコズミックフォース。
今日の馬場はCコースとはいえ最内ではなく、数頭分開けて走る馬が目立ちましたので、内に包まれっぱなしは好ましくありません。
「ダノンプレミアムはどこで出てくるか?」と思いながら見ていました。

残り400mでも悠々と先頭に立つエポカドーロ。
ダノンプレミアムと内外入れ替わるようにエポカドーロが内へ、ダノンプレミアムが外へ行こうとしましたが、そこで外からコズミックフォースが締めます。
ダノンプレミアムは若干苦しいか?と。

その外からワグネリアンが一気に差を詰め、ブラストワンピースは一旦内に入れるも外へ。
大したロスではないですが、先に動かれてしまった分の差かな。
大外に持ち出しているキタノコマンドールやステルヴィオは残り400mで前の勢いを考えると、厳しい位置になっていました。

エポカドーロ、コズミックフォース、ワグネリアンが内で3頭並び、その後ろでダノンプレミアム。
行き場がないというのもそうですが、そもそも前を捕える感じもせず、開けばいつでも抜け出せるという走りではなさそう。

ゴーフォザサミットとブラストワンピース、内から上手にコーナーを走ったエタリオウが後続勢で伸びてはいますが、前とは少し差があります。
ステルヴィオもこの距離もあるのでしょう。抜群のキレ、とまではいかない様子。

残り200mで前の4頭の戦いになります。
先に脱落しかけているのがダノンプレミアム。

ブラストワンピースも残り200mの地点で3馬身位ありますので、この辺りでは厳しいですし、ゴーフォザサミットも同じ。
エタリオウが最後を考えると相当伸びてきましたが、残り200mで勝つには簡単ではない位置にいました。

ゴーフォザサミットはスタートから1コーナーまでがもう少しスムーズに前を取れたら結果はもう1つ2つ上はあったかもしれません。
テーオーエナジーに前に入られてしまい、1列後ろになったのは誤算だったと思います。
自分の時計分位は走れていますが、勝ち切る程の上昇度はなかったということですかね。運も含めてですが。

ステルヴィオも上がり33.9と出ているものの、スタートから下げての追い込みでの数字です。
こういう高速馬場の2400mともなると、やはり直線一気では辛いものがあります。
距離は持ったというと微妙です。結局勝負には加われていないので、この走りでは2400mだとこれ以上の結果は相当恵まれないと難しいと思いました。

キタノコマンドールは後方で大外ぶん回して勝てる程甘くないでしょう。
デムーロ騎手は昨年のアドミラブルでもこんな感じで負けていますが、前半からもう少し出せないと…。内でどんどん前に入られ、ズルズルと後退。
それで大外ではレースとしては何もできなかったに等しいです。
ただ、返し馬でも感じましたが、ここで終わるか?という感じも受けません。自己条件できっちり勝ち上がり、遅くとも年明けには重賞で見られると思っています。

サンリヴァルは不利がありましたが、その前に差してくる競馬でどうこうなるとは思いませんので、枠含めて向きませんでした。
本当に勝てるならエタリオウに寄られた段階では前に行ってないといけません。それが出来なかったのでは勝つのは難しいです。
9日間のボウマン騎手の停止は結構厳しいなという印象を受けました。
ダービーは崩れましたが、菊花賞はこの手の馬は気をつけないといけないと思っています。枠1つで粘り込みも考えたい1頭です。

ステイフーリッシュは10着に。
期待していましたが、良い所がなかったですね。
もう少し前に行くとか、いっそ下げるとか思い切った騎乗があるかなという期待も込みでしたが、こちらも淡々と回ってきました。
ステルヴィオにさっと交わされてしまっていますので、切れ味では劣りました。前に行って粘り込む系の走りがいいのかなぁ。

残り100mでエポカドーロを射程に入れたワグネリアン。

5着に負けたブラストワンピースですが、思っていたより走りました。
大きな身体で大きなフォームでグイグイと伸びてきて、最後まで大きな失速なく0.2秒差まで追い詰めました。
初めて負けてしまいましたが、大きい馬の割には素軽く、成長次第ですがプチ・キタサンブラックみたいな馬になれる可能性も感じます。
大きなストライドを余すことなく使い切れれば、化けるかもしれません。

4着に追い込んだエタリオウも最後素晴らしい脚で33.5。
友道厩舎ワンツーもあり得るか?という末脚でした。
相手なりに走る馬ですが、ここまで相手なりに走るか…JCとか出ても4着位でゴールしそうです。
道中はスタートも悪くて後方でしたが、4コーナーまで内に入れ、直線ややばらけた真ん中を突いてこれた(不利を与えたけど)のが大きかったと思います。
長めの距離はもってこいでしょうし、菊花賞では怖い1頭です。

3着のコズミックフォースについては、223.7倍の単勝オッズでの走り。
当然すみれS以外崩れていませんし、プリンシパルSの勝ち時計1.58.2は立派ですが、ここまで走るか。展開1つでなんとかなるとは思っていましたが、如何せん手が回りません。
仕掛けが他の馬より僅か早かったのは馬場を考えると好騎乗だと思います。
直線は走りながらダノンプレミアムにプレッシャーをかけ、自由に外に行かせずにブロックしました。ミクロコスモスの、G1で見せ場のあった馬の仔ですから。参りました。

後続が殺到してきますが、グイッと前に出るワグネリアン。

2着のエポカドーロは皐月賞馬ですし、フロックでも何でもなかったです。
私は切れ負けの可能性を感じていましたが、確かに対ワグネリアンという意味では切れ負け。
ただ、前半から思い切って先手を取り、ペースを下げることなく上げることなく走り、1:13.1-1:10.6でまとめました。
数字の上では最後のラップは落ちていますが、それでも走りは大きくぶれずにゴールまで駆け抜けました。
自在性もありますし、長い距離はどうか?と思われがちな走りですが、多分大丈夫。たまたま逃げただけで、逃げなくても良いですし、自在性は大きな武器になります。こういう強いのがいると楽しみになります。

そして6着と掲示板を外したダノンプレミアムです。
もう少しのびのび走らせたらどうなっていたのかな?と思います。
抑えるのはできていたので、内から縫ってくるより、4コーナーでリリーノーブルのように外目に持ち出せれば…と。まぁ相手も違いますし、外に壁があり続けた以上仕方ありません。
どちらにしても最後走りに上下動のブレが大きくなってしまいましたし、休み明けを加味しても距離は長いですね。
別に2400mで強いのが世界で評価されている訳でもないですし、この馬の良さでもないでしょう。1600~2000で無双してくれた方が楽しいので、天皇賞秋でファンとしては会いたい。

ゴールは写真がぶれた。

ワグネリアンは前走の敗戦とアーモンドアイの走りを参考にしたかのような6番手から早め先頭を射程に入れる作戦で上がり34.3。
勝ち時計2:23.6も立派ですし、やはり「東京になれば」の走りでした。
東京スポーツ杯勝った時に、「クラシック確勝級」と思いましたが、その通り走ってくれました。まぁ馬券は本命じゃなかったけど。

一般的にダービーの外枠は不利ですが、オレンジ帽子軍団が軒並み下げたこと、サンリヴァルが思ったより行かなかったこと、ジェネラーレウーノが斜めに切れ込むように走路を作ったこと、馬場が最内から4頭目辺りが伸びる馬場だったこと、ペースが速過ぎずやや遅い程度だったこと。
全て噛み合った8枠17番からのスタートでした。

ディープインパクト産駒は春のクラシックは苦しんでいましたが、真打であるダービーは渡さないという父親の意地もありましたかね。
母の母はあのブロードアピール。この勝負服の血が流れているというのが、ダービー馬の近道なのか?
秋は東京を主戦にすると思いますので、天皇賞、JCでいい走りを見せてほしいです。

 

とてもいい雰囲気でのウイニングラン。

マカヒキの時に見たようなシーンですが、別の馬です。
福永騎手はここまで2着を2回。エピファネイアは勝ったと思いましたが、最後差されました。
ワールドエースやリアルスティールは届きませんでした。今回は見事噛み合っての勝利。おめでとうございます。

 

プレゼンターとして4名いらっしゃっていました。ダービーですからね。

 

ホープフルSの上位陣は軒並み二桁着順に沈みました。タイムフライヤー、ジャンダルム、ステイフーリッシュ。
朝日杯の上位陣も掲示板に入れませんでした。ダノンプレミアム、ステルヴィオ。
他の2歳重賞勝ち馬であるグレイルも沈んでいます。

エポカドーロは2月の段階であすなろ賞を使っているように、どちらかと言えば裏路線から。
コズミックフォースも京成杯→すみれS→プリンシパルSという昨年までダービーとは直接結びつかないであろうレースを選択しています。
エタリオウも青葉賞までは梅花賞→ゆきやなぎ賞。
ブラストワンピースはゆりかもめ賞に毎日杯からの直行。

ノーザンファームの使い分けなどあると思いますが、2歳戦の番組の充実とは逆を行くような結果になりました。
予想は相当難しい年だったと思います。
皐月賞も荒れましたし、ダービーも3連単で2,856,300円にもなるんです。

難しいダービーでした。