第78回桜花賞 レース回顧




第78回桜花賞(G1・阪神・芝1600m・良)

アーモンドアイ、お見事な追い込みでした。
これは参りました。

上がり33.2。
ラッキーライラック、リリーノーブルが並ぶ事無く交わされるとは思いもしませんでした。

そんな展開予想はこちら。

第78回桜花賞 展開予想

2018.04.07

馬場は乾いて良馬場。
同日古馬500万下でバティスティーニが出した時計とはいえ1:33.9。
自分が昨日思い描いていた馬場より少し回復が速いなと思いました。天気もいいですからね。東京は若干肌寒い日でしたけど。

ツヅミモン以外増減が二桁になる馬もおらず、ラッキーライラックは恐らく想定通りのマイナス6kg。
他も誤差の範囲ですし、さすがに桜花賞。中途半端な仕上げでは出てきません。

パドックと返し馬はラジオだったので良く分からん。
ラッキーライラックもリリーノーブルもアーモンドアイも誰も何もマイナス面は言われていないので大丈夫だったんでしょう。

桜は今年はあれだけ早いと持続されるのは難しかったみたいですね。自然相手は難しい。
緑の目立つ桜となりましたが、それでも桜花賞です。アマルフィコーストが出走取り消しで17頭でのレース。

スタートは最内ラッキーライラックがお隣がいなくなり余裕もあったのでしょう、好スタート。
一方で外枠のシルク2頭(プリモシーン、アーモンドアイ)はあまり良いスタートではありません。
他はまずまず揃ったスタート。

外を見ながらラッキーライラックが行くか行かぬかという探り合い。
レッドサクヤやアンヴァル、外からツヅミモンも行きそうな雰囲気はありますが、「先頭はちょっと…」という感じ。
そこを制してコーディエライトが一気に先頭に立ち、レースとしては流れだしました。

ツヅミモンが続き、アンヴァル、内で外に出そうと試みてそうなラッキーライラック。
レッドサクヤが続き、外にリリーノーブル、内でリバティハイツとハーレムライン。

中団にアンコールプリュにスカーレットカラー、逃げるかなと予想していたレッドレグナントが真ん中に。
マウレア、トーセンブレスにフィニフティ、プリモシーン。

後方2番手にアーモンドアイで最後方にデルニエオールという展開です。

馬場もありますが、自分が思ったより流れて34.5-46.6。
これより流れた時もありますし、平均より速いものの、全滅する流れでもありません。馬場も良いですし。

それもあり、道中は静かというか動きもない前半から中盤でした。
走りにくそうな感じもなく、17頭とも割と心地いい追走だったのではないでしょうか。

ラッキーライラックは好スタートから無理してあの位置を取った訳ではありませんし、道中も外に出せなかっただけで馬の後ろを楽に追走できています。
道中については文句のつけようがありません。
4コーナーでも外に出そうとはしていますが、早仕掛けは避けようという様子も見えます。

アーモンドアイはスタート直後促す感じで走っていますので、エンジンの掛かりが元々遅いということでしょう。
追走に苦戦する程でもないので、流れに乗るまででした。

後方でプリモシーンが出遅れから内に入れて少し行きたがるシーンがありました。
少しだけチグハグだったかなというのはこの馬位ですかね。あとはフィニフティもスタート直後にややクビを上げる瞬間もありましたが、すぐに収まりました。

4コーナーでラッキーライラックの外のアンヴァルが苦しそうというのもあり、余裕をもって外に持ち出しました。
そこでも追っておらず、意識して待って待っての追い出し。

直線前のコーナーでは促していたアーモンドアイは直線で一旦待つよう、ルメール騎手の動きが小さくなってフィニフティの外へジワっと持ち出します。
手綱が動かずにギリギリまで待っての追い込みでした。
解放してからのマウレアを並ぶ事無く抜き去り、ラッキーライラックが先頭に立とうとする中、リリーノーブルも飲み込みます。

最後は前脚が印象的な大きなストライドでラッキーライラックも一気に交わして後は栄光のゴールへ。
冒頭にも書いた上がり33.2。勝ち時計も1:33.1は桜花賞レコード。
関東馬の勝利はマウレアの姉であるアユサン以来。

ラッキーライラックも決して「止まった」とは言えない上がり34.5でしたが、アーモンドアイの破壊力は群を抜いていました。
4着まで追い上げたトーセンブレスで34.2ですから。これより1秒も速いのでは、太刀打ちできませんでした。

阪神JFの1着から4着にシンザン記念勝ち馬ですので、勢力図を変える程の強さはアーモンドアイを除いてなかったということです。
オークスもそれは大きく変わらないと思います。

勝ったアーモンドアイはシンザン記念以来のぶっつけでしたが、「クラシックのローテーション」というのを覆すような3戦です。
夏の新潟デビュー、東京で勝った後は3ヶ月振りのシンザン記念、そしてまた3ヶ月振りの桜花賞。
デビュー戦は8/6ですが、それ以降は2017/10/08→2018/01/08→2018/01/08と計ったかのように3ヶ月のレース間隔。
G1馬フサイチパンドラに初年度産駒が大活躍のロードカナロア。3頭桜花賞に送り込んでいますし、素晴らしい種馬になりそうな勢いを感じます。

走りは道中は流れに乗るまでやや鈍いですが、どんくさい感じではなく、気持ちスロースターター程度なのもよいですね。
4コーナーであれだけ後ろなのに待つ余裕すらある直線。グリーンチャンネルで見ていて、タイミングを計るように直線で乗っているルメール騎手を視界の端で見て、ゾッとしました。「やばい。炸裂するかもしれん。」と。
後はこの走りは鮮やかですね。
走りが特徴的で、前脚がピョンと上がる感じで若干リズムが違う気がします。説明つきませんが、前脚でグワンと掻き込むようなそんな印象。参りました。
オークスのペースでも道中は問題ないですが、これだけの切れ味を1800m走って残り600mで発揮できるのか?というと桜花賞程簡単ではないでしょう。

ラッキーライラックは負けたけれども1番人気で1番枠で上手に乗ったと思います。
これは仕方ないですね。少なくとも今年の桜花賞では逆転するには難しいものの、それでもしっかりと2着を確保しました。
「外枠なら変わったか?」というと「No」ですので、前を交わすタイミングも悪くありませんし、ラストも11.9で走っていますので、これで差されたら仕方ない。
初めて負けてしまいましたが、スタートも悪くないですし、道中もしっかり走れています。
オークスなら十分逆転の可能性はあります。4年連続で単勝2.0を切る馬が負けていますが、今回は責められません。

3着のリリーノーブルは道中前にラッキーライラックを見ながら好枠を十分に活用した走りでした。
ゴール前でラッキーライラックに迫ったのは強さの証ではありますが、やはり何か足りないですね。
直線の追い出しも無理にしなかった分、最後まで垂れなかったですが、交わすにはもっと無理するしかなさそうで。そうなると惨敗もあり得るだけに難しい。
道中しっかり折り合いもつきますし、スタートも悪くありません。オークスで心配になる要素が少ないので、引き続き狙いたい。

トーセンブレスは予想で3番手評価でしたが、頑張ってくれて4着。
馬券にはならなかったものの、力通りしっかり走りました。
馬の特徴ではありますが、追い込み一手なので、最後伸びてもこんな感じになりそうです。
直線で外のフィニフティを押し出すような進路取りで、厳しい中でも最後の末脚は確実です。
追ってから鈍いので、阪神より長くなる東京はプラスだと思いますが、こちらもどこまでの距離ならこんな脚が使えるか?は未知数です。

4着から9着までタイム差無しでなだれ込み、最後のオークス優先権を鼻差もぎ取ったマウレア。
ラッキーライラックから0.4秒差ですし、力通り走ったということでしょう。
可もなく不可もなくですね。

後方勢だとプリモシーンがスタート遅れから内に入れての直線でしたが、直線で戸崎騎手が後ろを気にして外に持ち出すシーンがありました。
流れが悪いですね。騎手の。
直線もアンヴァルの外に出すのは良いですが、最後はレッドサクヤとリバティハイツに進路を塞がれて10着。
タイム差を考えると、流れ1つでリリーノーブルと差のないレースもできそうな走りに見えました。オークスは長い気がしますので、できればNHKマイルへ。そこなら十分見直したい1頭です。

ハーレムラインも期待はしたんですが、力及ばずです。
アネモネSは地雷なのは承知の上でしたが、持ち時計含めてもう少しやれてもいいと思ったのですが…。
残り200m位まで頑張っていたのですが、なかなか前を抜けず、後ろから差されるで馬も戸惑ったでしょうね。止まってしまいました。

 

オークスはどうなのか?というのはあると思います。
今年は「マイルが限界。将来はスプリント。」みたいな馬が上位におらず、オークスも勢力図は大きな変動はないと思います。
ただ、アーモンドアイのこの勝ち方は鮮やかすぎるが故に思う事もあります。

後の2冠馬って結構辛勝が多いんです。「比較的マイルじゃ短い」みたいのが2冠馬になる事が多い。
マックスビューティみたいな例外もいますが、1990年以降ざっと主だった馬を並べるとこんな感じに。

  • アグネスフローラ 1馬身1/4差⇒オークス2着
  • シスタートウショウ 2馬身差⇒オークス2着
  • ニシノフラワー 3馬身1/2差⇒オークス7着
  • ベガ クビ差⇒オークス1着
  • キョウエイマーチ 4馬身差⇒オークス11着
  • ファレノプシス 1馬身1/4差⇒オークス3着
  • テイエムオーシャン 3馬身差⇒オークス3着
  • ダンスインザムード 2馬身差⇒オークス4着
  • スティルインラブ 1馬身1/2差⇒オークス1着
  • ブエナビスタ 1/2馬身差⇒オークス1着
  • アパパネ 1/2馬身差⇒オークス1着
  • ジェンティルドンナ 1/2馬身差⇒オークス1着
  • レッツゴードンキ 4馬身差⇒オークス10着

もちろん桜花賞辛勝でオークス負けも多いですが、鮮やかな勝ち方をした馬は沈んでいる印象があります。
2冠馬はスティルインラブは1馬身以上の差がついていますが、それ以外は1馬身と差をつけていません。
3馬身4馬身と桜花賞で差をつける事ができてしまうと、マイラーとしての完成度の高さ故の走りの場合が多く、オークスは沈むイメージが多いです。

その中間の1馬身3/4差。どうでしょうかね?