レース
スタートはキタサンブラックは無事に出ました。
内からヤマカツエースが押していたのが印象的です。
外でシュヴァルグラン、サトノクラウンは普通でしたが、スワーヴリチャードが出が悪かったです。このスタートだと14番枠だと後方にならざるを得ません。
ブレスジャーニーやレインボーラインが下げるのもそうですが、ルージュバックがかなり思い切った後方待機策。オールカマーの時は前に行っていいレースをしていましたが、今回は末脚に賭けたんですかね。サウンズオブアースは後方に。
シャケトラも前に行きますが、カレンミロティックはキタサンブラックと並ぶまでには至らず。
カレンミロティックは押していますが、十分前に行けませんでした。さすがに年齢ですかね。
ヤマカツエース、シャケトラ、カレンミロティックの後ろにクイーンズリング。こう見るといいレースをしています。
最初の100mが6.8でそこから11.6-11.9という「この馬にしては」随分ハイラップな入り。
昨年のマルターズアポジーで11.3-12.0。一昨年は11.7-12.2。有馬記念としては30.3というのは特に珍しくもありませんが、キタサンブラックにしては随分しっかりした入りという印象でした。
ある程度リードを保ったまま最初の4コーナー、ホームストレッチへ。写真のブレが…。
後方でスワーヴリチャードが抑えています。
ちょっとここではスムーズではなかったですね。
ペースを落とし過ぎずにキタサンブラックのペースでレースが進みます。
シャケトラが2番手、内からかなり積極策のヤマカツエース。クイーンズリングが内で外にカレンミロティックという先行集団です。
後ろに逃げたい馬がいるわけではないので、多少落としても並ぶまででしょうが、コーナーで落とせるこのコース。適度にペースを保っていました。
キタサンブラック周辺です。
きっちりと手綱が張られ、元気よく前に行っているなという走りに見えます。
後ろのシャケトラも引っ張る位の勢いがあり、少なくとも前走よりはいい感じに見えました。ヤマカツエースは狙い通りの最内ですが、結果的には少し前半の無理が祟ったか?
ライバルの3頭です。
サトノクラウンの外にシュヴァルグラン。
それを見る形となっているスワーヴリチャード。ミッキークイーンやレインボーラインもこの位置。
スワーヴリチャードはスタート+外枠で出すに出せないホームストレッチになってしまいました。
歓声を浴びて1コーナーから2コーナーへ向かいます。
ここからキタサンブラックのペースに完全になってしまいました。
前半1000mが1:01.6という流れ。大体予想通りですが、
逃げるキタサンブラックにシャケトラが2番手。
内でヤマカツエースがおり、外からカレンミロティックという隊列は変わらず。
クイーンズリングが馬群の中で5番手。外から抑えきれない感じでトーセンビクトリーで内でサトノクロニクル。
サクラアンプルールがいて、シュヴァルグランがその後ろ。サトノクラウンの前に出ます。
内でブレスジャーニーがいて、サトノクラウン、まだ少しぎこちない感じのスワーヴリチャードと内でレインボーライン。
後方にサウンズオブアース、ミッキークイーン、最後方にルージュバックという展開です。
映像見ると思いますが、武騎手の手綱が向正面で目に見えてダラダラというか、遊びが出てきました。
これは楽に逃げているなと思うのは当然で、13.3-13.2-12.8とコーナー付近からガクンとペースを落としました。
スタミナがあり、切れ味勝負になると分が悪いがロングスパートは大得意。こうなるとキタサンブラックが負ける姿が想像できなくなりました。
後方組は捲るなりなんなりしないと。あれだけ手綱ゆるゆるでリラックスして走られては苦戦は必至です。
とはいえ並びかけるというのは簡単ではなく、キタサンブラックより後ろから一足先にロングスパートをするにしても相手は残り1000mからスパートできるスタミナの持ち主。
それを超えるスパートは他のライバル達でも現実的ではありません。
残り1000m付近から一気に上げました。
これだけきっちり「グン」と加速できると、乗り手は楽でしょうね。
後ろは「そろそろ並んでも」と思った所で並べません。内を走っている強みもあります。
また、ペースがきちんと落ちたということもあり、潰れるかなと思ったトーセンビクトリーやクイーンズリング、ヤマカツエースもあれだけ出して行ったのに全く離されずに4コーナーまでついていきました。これも後続勢からしたら誤算というか、苦しくなってしまった原因の1つかな。
抜くために外を回らざるを得なくなり、内側で渋滞も起きやすくなります。
サトノクラウンは内から抜くのを諦め外へ。
カレンミロティックが真ん中で加速についていけず、その外へ力としては足りないと思ったトーセンビクトリーが元気なもんだから後ろのサクラアンプルール、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードはカレンミロティックを交わすために1頭分外へ。トーセンビクトリー分も僅かに外へ。これもキタサンブラックやクイーンズリングにとっては有利に働きました。
直線に入り、11.2というハイラップで後続につけいる隙を与えません。
ここまでの走り全てがキタサンブラックのためにありました。
大外からシュヴァルグランに並びかけるスワーヴリチャードはロスが大きすぎましたし、キタサンブラックの後ろのシャケトラもペースがペースだけに潰れませんが、並びかける脚はありませんでした。
西日に押されるようにキタサンブラックがゴールへ向かって走ります。
残り200m付近でスワーヴリチャードが内に切れ込み、クイーンズリングが外に膨れたため、サクラアンプルールやトーセンビクトリーが酷い不利を受けました。
もちろんスワーヴリチャードは起点ではあるものの、流れの中の不利だとは思います。
で、到達順を考えると、1着は無影響であり、不利を与えたシュヴァルグランがスワーヴリチャードを差し返しているため、変更なしというのは分かります。
が、サクラアンプルールはかなり大きな不利に加え、クイーンズリングも対象になっているのだから、審議ランプは灯してもいいと思います。
多少確定が遅くなるのは仕方ありません。JRAは「審議」は点けないという確固たる意志があるのか?
サクラアンプルールは大きく遅れてしまいました。
キタサンブラックとの差はゴール前でも詰まりません。
鬣を靡かせ、漆黒の馬体が疾走していきます。
ライバルが後方から追いかけていますが、差は詰まらず。淡々とゴールへ向かうキタサンブラックと武豊騎手。
有馬記念は2500mを競うレースであり、ルージュバックの上がり34.3は素晴らしいですが、600mを争うものではないというのがまざまざと見せつけられました。
敗れた組については、クイーンズリングは驚きの走りでした。
確かに内枠からじっくりと乗っていたので、良いレースはできそうな雰囲気ではありましたが、まさかこのレースで2着とは。
桜花賞のレース回顧で以下の様に書いていました。
こちらも距離が長くなるのがメリットにはならなそうな気はする。
エリザベス女王杯を勝っているものの今年は少し精彩を欠いていたので、枠順の有利さはあれど、分からないものです。
きっちり息を抜けたのと、外のカレンミロティックが遅れてきっちりスペースが出来たこともあるとは思います。
それにしてもフィリーズレビューを勝った馬が有馬記念で同期のライバルであったミッキークイーンやルージュバックにここで先着して引退です。
シュヴァルグランは昨年とは馬が違っていました。やはり強いです。
スタートからある程度ポジションを取れたのもありますが、直線でぶつけられてもしっかり最後まで伸びています。
ベストな舞台ではないですし、2着は取れた勢いでしたが、これだけ走れれば普通の相手ならそう簡単に負けません。
長めの距離でサトノダイヤモンドとの再戦が見たいですが、天皇賞は出ないかな。大阪杯→宝塚記念って言ってるし。
スワーヴリチャードはかなり行儀が悪かったです。降着でも文句は言えないでしょう。
走りそのものは4コーナーで一気にシュヴァルグランに並びかける勢いは素晴らしい素質を見せてくれましたが、直線はフラフラ。上がり34.5とシュヴァルグランを0.3秒上回りましたが、直線最後は差し返されているように、ラストは止まりました。
スタート、前半の力んだ走り、直線。完成度、競走馬としての総合力でG1を勝つにはやや物足りないです。
まだ8戦しかしてませんが、古馬となればそうは言ってられません。春は左回りはありませんので、ドバイに行くか?
ルージュバックはミッキークイーンに初先着しました。
終始内の最後方。直線で上手に外に出し、ほぼ真っ直ぐ伸びてきました。
かつての天才少女も5歳となり、G1のチャンスはもうほとんど残っていないと言っていいですが、最後の末脚はきさらぎ賞の時のように軽やかに見えました。それだけで十分です。
上がり34.3。きっちり「らしさ」を出してくれました。
シャケトラも復活を感じさせる6着。
日経賞を勝った時は「これは有馬で狙える」と多くの方が思ったはずで、直線それを少し夢見させてくれました。
ずっとG1で結果が出なかったですが、きっかけ1つのようにも見えるので、もう1回立て直してほしいです。
割と期待していた人が多かったヤマカツエースは10着。
前半勢いよく出ましたが、結果的にはこの馬には向かないロングスパート勝負となり、力尽きてしまったのかな。
昨年は徐々にコーナーで順位を落としているように、スパートについていかなかったのですが、今回はついていきました。1000mの脚を使うタイプじゃないので、流れに乗り過ぎてしまったという印象です。
サトノクラウンは良馬場なら仕方ないと思える馬になってきましたね。
4コーナーでJCの時は見せ場があったのに、今回はそれもなし。
弥生賞を勝った時は「中山の鬼、有馬記念で狙える。」と思っていた自分をきつく問い詰めたいです。
気難しいのかなぁ。ある程度勝負できる位置にいないと良い所が全くなくなってしまうので、やる気スイッチがどこにあるのか分からない。
キタサンブラック、G1勝利7つ目となる歓喜のゴールへ。
もう文句なしの勝ち方です。
これ程強い馬になるとはだれが予感したでしょうか?
私は3歳のフェブラリーステークス同日にこの馬を見ているはずですが、写真も残っておらず、記憶にもほとんどありません。3馬身差の圧勝だったはずなのに。
思い出は別途書こうと思いますが、ペースの作り方もそうですし、ギアチェンジの鋭さ、そして直線簡単にバテないリズミカルな走り。
今回の有馬記念は単純なスタミナ勝負や切れ味勝負に持ち込むことなく、適度に前半から出し、長めのブレイク。そして1000mのロングスパート。
スタミナ勝負に持ち込みたければ天皇賞春のようなレースもできますし、強い先行馬の神髄を存分に見させてもらいました。
ゴールした時、少しだけジーンとしました。
馬券の相性は悪かったですが、それでも特別な馬でしょう。G1をこれだけ取るとか普通じゃないです。
2017年は「G1しか」走っていないという効率の良さも最近ではありません。
競馬場不問、馬場不問。恐らくダートでも問題なかったでしょう。一見地味ですが、凄まじいサラブレッドでした。
ゴール後、「ユタカコール」が。
そして北島三郎さん、清水調教師、武豊騎手。
お別れ会もなかなか面白かったです。
とても綺麗な馬で、ダービーの時のブログでは以下の様に書いています。
黒い馬体でとても綺麗。乗るなら文句なしでこの馬を選びたい。
最後までそう思いました。それだけは変わりません。
キタサンブラックの思い出は別途書きますが、お別れ会での「まつり」のシーンを。
長い有馬記念でした。
ブログも翌日(書き終わったのは翌々日)ですが、それも仕方ありません。疲れます。このレースの観戦はマジで疲労度が違います。
観戦記とキタサンブラックの思い出は別途。
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