第21回 アンタレスステークス(G3・阪神・ダート1800m・良)
ダートに変わって4連勝となったアウォーディー(牡馬6歳。父ジャングルポケット)。古馬ダート中距離界で先頭に立ったと言っていい勝ち方でした。
道中はじっくり中段の外を回り、4コーナーで一気に加速。直線でアスカノロマン以下を差し切った勝ち方はほぼ完璧です。
57キロという斤量も骨っぽい相手となってどうか?と思われましたがなんのその。
アスカノロマンと斤量差が1キロありましたが、それが無くてもこちらが勝っていたと思う程のレース運びでした。
弟のラニがUAEで輝き、兄もしっかりとここで決める。
ヘヴンリーロマンスは下がアムールブリエとラニ、そしてアウォーディーと3頭続けて素晴らしい馬を輩出しています。
是非アメリカンファラオの子供が見たい所です。
それではレースの振り返りを。
展開
スタートで伸びあがるようにスタートしてしまった②サージェントバッジ。
外の馬たちが非常に積極的で、前走マーチS逃げ切りの⑮ショウナンアポロンと⑯アスカノロマン。そして⑬トウショウフリーク辺りも押して出て行っています。
内側は③ロワジャルダンが好スタートからスーッと先手を伺う一方で、最内①クリソライトは出鞭を入れて位置取りを。
クリソライトは確かに距離短縮で前半の位置取りが課題でしたが、出鞭が入った割にもう少し前が欲しかったのではないかと思います。
最内枠なので、どうしても外から速い馬に被せられると苦しくなる。桜花賞のメジャーエンブレムと同じではありますが、そのスタミナを生かすにはやや最内は恵まれてはいなかったかもしれません。
アウォーディーより外側が前に行きながら内に入っていったので、アウォーディーは難なく外へ。
マイネルクロップも外目にいますが、こちらも前に行っているため、無理なく中段へ行けたのはこのレースを進めやすくした結果でしょう。
ある程度前に行く馬がいたため、ごちゃつく事無く、9番からスムーズに外へ出して1コーナーへ入った所が勝負の決め手のような気がします。
⑮ショウナンアポロンが先頭で⑯アスカノロマンが2番手で向正面へ。
⑭センチュリオンも前で積極手に進めてはいます。③ロワジャルダンは多少掛かり気味ですが、この馬は横山騎手が乗ると掛かり気味になる気がします。
中段最内に①クリソライトで外に⑫ソロル、その外へ⑨アウォーディー。
それをマークする形で⑪ローマンレジェンドがいて、④イッシンドウタイ、⑦トップディーヴォ、②サージェントバッジといて、⑥ヴァンヌーボー、⑤サンマルデューク、最後方が⑧キングヒーローという隊列。
ペースなど
ラップは以下の通りでした。
12.4 – 10.7 – 13.1 – 12.1 – 12.1 – 12.1 – 12.2 – 12.3 – 12.9=1:49.9
道中の中弛みもなく、スタミナが要求される流れというべきでしょうか。
ほとんど隊列が変わらないのは、さすがに一通り位置取りが決まってから12秒台前半が続けばそう簡単に前を抜けません。
こうなると前も後ろも同じペースで走らないといけませんので、後ろとはいえスタミナが一定の水準にないと厳しいです。
上位人気の馬、前走重賞勝ちや重賞で好走、OP勝ちなどの馬で占められているように、力差がはっきり出たレースと言えると思います。
もう少しスローの上がり勝負とか、前半が流れて後半に前と後ろが入れ替わった、というレースであれば多少は解釈の余地は生まれると思いますが、このレースではほとんどないでしょう。
上位の馬が強いです。
印象的なこと
3コーナー手前でアウォーディーからしたら、前のマイネルクロップの外に出すのはいいけど、外から被せられると厄介だと思っていたはずです。
後ろにローマンレジェンドがいて、他の馬は邪魔しそうにありません。
パトロールビデオ見るとわかりますが、武豊騎手が残り600m付近でチラッと後ろを振り向いています。
- 前をカットしないため
- 後ろの馬の手応えを確認するため
でしょうが、さすがに歴戦の武騎手。あれだけ離れていれば動いたら前をカットするかどうかは分かると思います。
恐らく手応えを確認し、「無理にここで仕掛ける必要ないな」と思ったはずです。あれで被せられそうであれば、恐らくそこで動いたと思いますが、待って待って直線手前から加速することで、マイネルクロップをコーナーで外から抜く必要がなく、直線に入ってから抜きました。非常にスムーズな走りが印象的でした。
感想
アスカノロマンは外枠も好スタートから2番手を走り、ゴール前まで粘って2着。
やはりマイルよりレースはスムーズでしたが、最後は決め手の差でしょう。
ただ、昨年末からの安定感は素晴らしく、今回は58キロ背負っての2着。一度崩れましたが、よくぞ立て直しました。
書いている通りペースもいいので、どう走れば勝てるとかは具体的には見つかりませんが、馬場がもう少し締まって時計勝負になるようだと、自在性もある馬の強みが出てくるのではなかろうか?と期待します。
サージェントバッジはデムーロ騎手が上手に乗りました。
前半出遅れもあり後方でしたが、4コーナーから綺麗に外に出せました。センチュリオンとソロルの両方に脚が残っていなかったのも幸いしていますが、溜めた分を余計なエネルギーで消費しなかったのが良かったと思います。
追い込むにはこれしかないという騎乗。さすがですね。
クリソライトはスタミナ勝負になったのはいいものの、スピードがここに入ると少し足りない気がします。
最後までバテている様子はなく、走ってはいますが上がりはアスカノロマンと同じ37.4。
この感じだとこの時計での戦いだと一歩遅れる印象は拭えません。
ロワジャルダンも悪いレースではないですが、前半のかかり方や最後クリソライトにジワジワと離されているように、100m位長いかもしれません。
もっと軽い馬場になったら…とかもう少しスローで決め手が生かせる流れになれば…とか条件が色々ありそうです。
あと一歩という感じです。
ショウナンアポロンは人気はありませんでしたが、外から先頭を奪って逃げて粘って6着。
マーチS勝ちはラッキーではなさそうです。
行き切った方がいいように見えます。このペースでスタスタ逃げられるようであれば、非常に貴重な逃げ馬です。
ただし、この流れにしてしまうと、力勝負になるので、紛れにくくなります。力でこの上にいる馬+αを考えると、大きいレースで勝つためには何か別の作戦や展開の助けが必要です。
勝ったアウォーディーは文句なしの競馬だと思います。
ラニと一緒にケンタッキーへ行ったらどうですか?と言いたいですね。
時計も1:50.0を切ってきましたし、上がりもしっかり37.0を切る時計を出しています。
馬場は違えども昨年のチャンピオンズCでノンコノユメが36.7の上がりですから、ダート1800mで上がり37.0を切るというのは1つの目安になります。
次はどこだかわかりませんが、帝王賞とか面白いレースがありますので、大いに盛り上げていって欲しい所です。
4コーナーの雰囲気がとてもいいので、勝ち切れないというタイプではなさそうですし、レースも上手。
連勝街道はまだまだ続きそうな予感がします。
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