第35回ローズステークス レース回顧




第35回ローズステークス(G2・阪神・芝1800m・良)

好メンバーに加えて台風が接近しているというのもあり、なかなか難しいレースになったと思います。
春の有力馬の多くは休み明けでプラス体重。

ファンディーナは526kg。確かに春減り続けていたものの、22kg増だったので、随分と戻したなぁって思いました。
リスグラシューも小さい馬で馬体重そのものに変化が少ないタイプなので、褒められていたものの436kg。まぁ増えればいいってものでもないですし、こんなものでしょう。
オークス2着のモズカッチャンもプラス14kg。

パドックはレーヌミノルが相変わらず落ち着きっぷり。2400→1800は確実にプラスではあるものの、どうでしょうか?という戦前の評。
ファンディーナは落ち着き払って歩くタイプではないですが、乗ってキャンターすればそれなりにガス抜きができるので、あれ位なら許容範囲です。

カワキタエンカ位しか逃げ馬は見当たりませんので、極端に流れる感じもしませんが、そこはトライアル。何が起こるか分かりません。

スタートは外側がポンと前に。
カラクレナイが素晴らしかったので影に隠れましたがカワキタエンカも好スタート。ヤマカツグレースにファンディーナも前に。
すぐカワキタエンカが先頭に立って、ファンディーナは下げます。
リスグラシューはオークスは遅れましたがここはこの馬にしてはまずまず。五分に出ていますので、「スタートが…」の言い訳はできません。

隊列は早々に決まり、カワキタエンカ先頭でヤマカツグレース2番手。
ブラックスビーチにスタートが決まり過ぎてやや行きたがっているカラクレナイ。
サトノアリシアと白帽子モズカッチャン、外からファンディーナとレーヌミノルが並んで走り、内でクイーンマンボにミスパンテールが外、更に外でメイショウオワラ。

中段からアロンザモナにリスグラシュー、ラビットランが続き、メイズオブオナー。
後方にミリッサにハローユニコーン、最後方がポツンとブライトムーンという展開です。

馬場はやや重からスタートして良に回復しているように、パンパンの良馬場ではないものの、台風の影響をほぼ受けませんでした。

スタート直後カワキタエンカが内に切れ込む際に、カラクレナイが前を追いかけてしまう感じになっていましたので、スタートが良過ぎも考えものですね。
道中は見た目淡々と走っているようでも流れて34.6-58.6。

3F目まで流れた後で徐々に落としていったものの、前2頭はそれなりに離れていきました。
流れた3F目まで各馬ついていきましたね。後方でミリッサは促しているシーンもあり、やや戸惑う前半だったかも。ミリッサにしたらそれが良かったのでしょうが。

ペースを落としながらヤマカツグレースの後ろが離れていき、体力を使いたい所と温存したい所を自由に選んでカワキタエンカが使っていました。
それが逃げ馬の特権ですし、それができるかどうかは馬にかかっていますので、素晴らしい逃げだったと思います。

ファンディーナとレーヌミノルが並んでいましたが、先に動いたのがファンディーナ。
レーヌミノルはファンディーナの内側にいたものの、先に行かせてから4コーナーで外に持ち出しています。
リスグラシューは後方でじっと待機。前に行こうにも詰まっていますし、外から馬に被せられているため、動きにくかったのもありますが、エンジンの掛かりが遅い馬なので、若干待ちすぎの感じはしました。

直線はカワキタエンカが粘ります。
外からファンディーナが追いかけますが、前を抜けません。
内から馬群をするすると縫ってモズカッチャンも順位を上げていますが、抜群のキレという感じもしなく、「こりゃ逃げ切りか?」と思った所で外から殺到。

大外からラビットランがレーヌミノルとメイショウオワラと並んで左鞭一発でグンと突き放し、前を追いかけました。
その後ろからミリッサと大外リスグラシューとキャロットの勝負服2つ。
ゴールに向かうラビットランの末脚はかなりの切れ味でした。上がり33.5。カワキタエンカが35.1ですので、素晴らしい追い込みでした。

直線でミリッサが外に行きながらミスパンテールが立ち上がるシーンもあり、ミスパンテールとしては不完全燃焼というレースでしたかね。まぁあのまま走っても先着はできないでしょうけど。
ファンディーナ6着、モズカッチャン7着、レーヌミノル9着、カラクレナイ14着と春の重賞馬が悉く掲示板を外す結果に。
ほぼ言い訳の利かない馬場、枠の有利不利の少ない阪神外回り。秋華賞は混戦ですね。

勝ったラビットランは道中じっくりと溜めて直線はスムーズな進路取り。
メイショウオワラと並んでから一気に突き放し、1馬身1/4差をつけて1:45.5。
前走500万下を勝ったTapit産駒ですからね。もちろん芝のG1勝ちも出していますが、日本のG2勝ちも出すとはさすがです。
勝ち時計1:45.5は3番目の好時計。秋華賞も激流になって追い込みが決まるレースが多いので、引き続き注目です。

このレースの勝ち時計が高速決着だった時の上位陣は以下の通り。意外に信用できる?のかな。そうでもないか。

2015年 1:45.2(1:46.0まで)

  • タッチングスピーチ(追い込み)→2番人気6着
  • ミッキークイーン(追い込み)→1番人気1着
  • トーセンビクトリー(追い込み)→4番人気8着
  • レッツゴードンキ(逃げ)→3番人気17着

2010年 1:45.8(1:46.0まで)

  • アニメイトバイオ(差し)→6番人気2着
  • ワイルドラズベリー(追い込み)→4番人気4着
  • エイシンリターンズ(差し)→9番人気15着
  • アパパネ(先行)→1番人気1着

2009年 1:44.7(1:45.0まで)

  • ブロードストリート(差し)→3番人気2着
  • レッドディザイア(追い込み)→2番人気1着
  • クーデグレイス(逃げ)→7番人気4着

ときっちり上位から勝ち馬が出ています。
しかし、本番で2番人気以上でないと…というとこで、リスグラシュー辺りがマッチするのかな?

2着のカワキタエンカはやや速い流れでマイペース逃げ。
「秋華賞は直線も短いし平坦になるし」というものではありません。
昨年のクロコスミアや一昨年のレッツゴードンキ、リラヴァティ、アドマイヤキッスに差されたシェルズレイなど、「穴っぽい」と見せかけて沈んでいます。
今回もこのままいけば伏兵での登場だと思いますが、歴史は繰り返される?かな。

3着のリスグラシューはこの舞台は絶好だと思いましたが3着まで。
4コーナーで外から被せられてしまい、ハローユニコーンを待つワンテンポがもったいなかったかなと思います。
本番も勝てそうな感じがしない一方で、誰よりも崩れなさそうな1頭なので、悪いレースはしないでしょうが、もう少しシュンと反応してくれないと秋華賞は忙しい印象も受けます。

ミリッサは前半追走に苦戦していたように見えましたが、直線はいい脚でした。
直線の進路取りも強引だったというのは言い方を変えれば隙間が無かったので、これでリスグラシューとハナ差なら本番も期待できます。
時計的な裏付けは十分取られているので、直線スムーズなら一発あるかも。4着なので何とも言えませんが、出れたら、です。

1番人気のファンディーナは6着。
確かにペースは流れていたとは思いますが、追っていいタイプではないですね。
皐月賞の時も4コーナーの雰囲気は良かったものの直線でパッタリ。今回も同じ感じ。
前半楽に追いかけて、4コーナーで楽に上がってきているように見えてもそれ以上の脚は使えないということなんでしょう。
ギアチェンジは早いので、それを生かしたいです。
となると、もっとゆったりの流れで一気にギアチェンジをするようなレースか、いっそ単調なタイプの逃げ馬になるか?なのかな。
力はあるし、比較的先行出来て何でもできそうなイメージに反して、走るスイートスポットは狭い気がしてきました。エリザベス女王杯の方が秋華賞よりは良い気がします。流れが向きそう。

モズカッチャンは伸びていたものの7着止まり。
レースは内枠も活かしていたと思いますし、直線で壁になるシーンもありませんでした。
完敗の割に力通り走った気もして不思議な馬です。
最後方から行く馬でもないので、あの位置取りでいいと思います。負けたとはいえ本番は侮れません。

桜花賞馬レーヌミノルは直線で全く反応なく9着。
距離が長いから負けてしまったとは思えません。
これで2戦連続の大敗です。桜花賞馬ですし、何かきっかけが欲しいですね。

カラクレナイも2戦連続の大敗。
やはりこの距離で先行してどうのこうのの馬じゃない気がします。
はまるかどうかは走ってみないと分からんけどね、という感じの難しい馬になると思いますが、とにかく短距離の差し馬として1400mのレースに出てほしいです。

 

ローズSは上位人気が勝つと信用できるのですが、そうでない場合が勝ち馬が繋がっていません。
このメンバーに紫苑SのディアドラやNHKマイルカップ勝ちもあるアエロリットが加わり、混戦に拍車がかかりました。
1番人気も誰になるか蓋を開けてみないと分からないので、すんなり決まる気はしません。
毎年の事ですが、難しい秋華賞になりそう。