第13回ヴィクトリアマイル レース回顧




第13回ヴィクトリアマイル(G1・東京・芝1600m・稍重)

今年はヴィクトリアマイルには行きませんでした。

午後から降り出した雨が馬場を濡らし、稍重まで悪化した馬場。
時計は出ているので、得手不得手をどうこう言う馬場ではないかもしれないですが、無影響とも言いにくい。
ほんの僅かの差で決まる競馬において、馬場影響が及ぼすもしかしたら1%のプラスマイナスが勝負を分けているのかも。これを予想するのは至難の業です。当たれば何とでも言えるけど。

予想はこちら。
雰囲気はまたまたいい感じですが、例によって雰囲気だけです。

第13回ヴィクトリアマイル 展開予想

2018.05.12

パドックと返し馬はほぼ見てません。
ソウルスターリングが馬体を戻した、という感じのプラス8kg。
グリーンチャンネルはレッドアヴァンセ、リスグラシュー。アエロリット辺りが褒められていたかな。まぁあれは自分の予想通りに言ってる場合が多いので、聞き流すだけです。

スタートでクインズミラーグロが盛大に出遅れ。
前走も似たように遅れているので、クセになってしまいましたかね。エテルナミノルも出遅れ気味。内でミスパンテールもスタートとしては失敗の部類でしょう。

一方で外でリエノテソーロ、内でレーヌミノルとカワキタエンカがポンと出ます。
パトロールビデオではジュールポレールが少し躓くような走りをしていて、促しても前に行かず、徐々に外へ持ち出していました。
幸騎手は想定より一列後ろということを言っていましたが、確かに。もっと前に行かそうとはしていました。

スタート直後で早々にカワキタエンカが先頭に立ちます。
内でレーヌミノル、リエノテソーロと続き、外から楽な感じでアエロリット。ガッシリ手綱を押さえてレッドアヴァンセ。
ラビットランも早めに付け、内でやや行きたがる素振りを見せるレッツゴードンキ。

先行集団を見ながらジュールポレールが外、内にミスパンテール。
ここでミスパンテールがクビを振ったりしていて、抑えるのに苦労していそうな前半です。

中団にソウルスターリング、内でアドマイヤリード。
外目からじわっとデンコウアンジュが続き、リスグラシュー。内でエテルナミノル。

後方にメイズオブオナー、ワントゥワン、デアレガーロと続き、最後方にクインズミラーグロという展開です。

馬場は稍重とはいえ35.2-46.8-58.3。
先週のNHKマイルカップとほぼ同じような感じですが、この馬場だと平均位。
無理して出している数字ではないので、マイルなら最低これ位は流れてほしいという最低のライン。

道中ではミスパンテールが狭い所に入ってしまい、前のラビットランに乗りかかろうか位の勢いで抑えていました。
すぐ外にジュールポレールがいたため、いなければ早々に外に出して、ということができたと思いますが、枠の並びがあまりプラスにはなりませんでした。

ソウルスターリングも少しかかり気味に見えました。
ただ、無駄に順位を上げていくようなレース運びもしていませんし、前向きにしっかり走れていたということで。
リスグラシューもかかり癖のある馬ですので、いつも通り行きたそうな雰囲気だけはだしています。これもいつものこと。

4コーナーで出しにくそうなのはミスパンテールとアドマイヤリード、外のデンコウアンジュの動き次第ではリスグラシュー辺りももしかしたら苦戦するか?という位。
あまり不利になりそうな馬もおらず、適度にばらけていたなと思います。
先週みたいなことはないかなと思いながら見ていました。

4コーナーで外に行きたそうな走りでコーナーを走るカワキタエンカ。
その外からリエノテソーロ、外から馬場の良い所をじっくりとアエロリット。ペース、馬場、不利なくスムーズな運び。この段階では「アエロリット、ナイス」と。

直線でカワキタエンカが少し内を開けた所を、レーヌミノルが突っ込みます。
内からレーヌミノル、カワキタエンカ、リエノテソーロ、アエロリット、レッドアヴァンセと並びますが、レッドアヴァンセの走りが良いです。

ただ、ここで突き放せる性格ならとっくにG1を勝っているエリモピクシー産駒達。
兄貴、弟をなぞる様に、抜いてからアエロリットに粘られます。一瞬で抜き去る脚があれば…。

そうこうしている内にレッツゴードンキ、ミスパンテールも馬群を縫って割ってきましたし、後方ではアドマイヤリードも伸びてはいます。
しかし、外からジュールポレールが並びかけ、大外からリスグラシューが突っ込みました。
ソウルスターリングはその後ろで「阪神牝馬Sよりはマシ」という走り。

レッドアヴァンセと並びながら、外のリスグラシューの強襲を退け、ジュールポレールがG1もですが、重賞も初勝利でした。
ディープインパクト産駒の5歳牝馬。昨年の3着馬ですので、リピーターが強いレースという事で有名ではありますが、お見事なエスコートでした。

勝ち時計1:32.3。
前後半で46.8-45.5ですので、前半平均の入りであれば、後半しっかり伸びますね。稍重でしたが、そういう馬場でもありました。

勝ったジュールポレールはスタート直後何回か躓きかけて追走に苦戦していたようにみえましたが、内の馬が比較的前に行き、外が下げたというのもあってスルスルっと不利を受けない外へ持ち出したのは好騎乗でした。
ミスパンテールを蓋をし、ソウルスターリングをすぐ後ろに置き、前にレッドアヴァンセとアエロリット。
勝ったからだと思いますが、非常にスムーズな位置にいました。
直線はラビットランと馬体を離して4コーナー外目でしたが、ラビットランとジュールポレールの間が広くスペースが出来ており、その真後ろにいたのがリスグラシュー。
リスグラシューがすぐそのスペースに入れる位置にはいませんでしたが、真っ直ぐ走っていたらもしかしたら、という結果だったかもしれません。

昨年3着した時に以下の様に回顧で書いています。

上がりがうずしおSで32.8も出ていますし、「スローの切れ味勝負で時計勝負ではない」という舞台設定も絶好でした。

今回もそれに近い戦いでしたので、レースは何度見直しても非常にスムーズ。
自分としては勝ち切る力はどうか?と思っていただけに、直線しっかり伸びてきて、「そっかー。ジュールポレールかー。」と思いながら。無印にしてますから。

2着のリスグラシューは仕方ないですね。
上がり32.9ですし、これ以上求めるのは難しいです。
強いていうなら、直線でジュールポレールの外に出すまでにワンテンポ遅かったかなという位。ただ、ゴール前は勢いが落ちていますので、ワンテンポ速くても差し切れた、とも言い切れないのがリスグラシューらしいですね。
これで4度目のG1での銀メダル。何かきっかけ一つで変わりそうですが、こんなもどかしい馬も珍しい。

3着はまたもエリモピクシー産駒。レッドアヴァンセ。この一族も本当にもどかしい。
道中積極的に進め、直線でアエロリットを交わした時は勝ったか?と思う走りでしたが、そこから突き抜けられないのがエリモピクシーの子供たち。
抜かす感じはあっという間に1馬身位差が付きそうなものでしたが、終わってみたらアエロリットと半馬身。
早めに仕掛けた分、ゴール前止まっていますが、それでもタイム差無しの3着。この差は大きいですし、この血は2着が遠い。

4着に本命のアエロリットでした。
4コーナーまでは完璧、理想通りのレース運びでした。ただ、想定より0.3秒位遅い前半だったので、もう少し流れれば…。
最後バテたというより、究極の切れ味勝負は不向きで、33秒台、32秒台を出す馬には及ばなかったという見方でよいのかな。このペースでは、ですが。
レッドアヴァンセに抜かれない位のリードを作れる位置で4コーナーを回れればまた違ったのかもしれません。それやろうとすると4コーナーで外回んないといけないですし、カワキタエンカを制して逃げるのがベストか?というと違う気もするし。
レースはスムーズでしたが、向いているかどうかで言うとちょっと違ったのかなと思います。

同じことがソウルスターリングにも言えると思います。
直線で内によれたシーンもありましたが、多分1:32.0みたいな時計は出せないんでしょうね。手前を何度か替えるのはオークスもそうでしたし、着順こそ7着ですが良い傾向です。
オークスをあれだけしっかり勝つ馬ですので、気持ち短いと思いたい。
0.4秒しか負けてないし、上がりも33.5出ていて、復活してきそうな雰囲気を醸し出して全然復活しない馬は沢山います。全く当てにならないのはそうなのですが、信じたくもなります。
かかっていますが我慢はできているので、2000m付近で。どうせなら凱旋門賞同日のオペラ賞とかにでも行ってみればいいのに。

ミスパンテールは最後伸びてきましたが5着まで。G1の壁は薄くないです。
スタートも後手で、道中行きたがる素振りがあり、内に包まれて厳しいレースになってしまいました。
それでも最後しっかり伸びていますので、負けてはしまいましたが力はあります。簡単に4連勝もできませんが、思ったよりいい走りでした。もっとダメかと思った。
前走逃げていますが、差しの方がいいでしょうね。

レッツゴードンキは内から徐々に外に進出して直線勝負。直線で岩田騎手が外と内を若干読み違えた感じもありましたが、迷わず行っても大勢に影響はなかったでしょう。
この馬もキレッキレの馬じゃないので、もっと溜めてどうこうなる馬場でもレースでもないです。
これ位は走れると思うものの、これ以上走るとなると条件が思いつかず。
過去3年のヴィクトリアマイルを振り返っても

  • 1:31.5の超高速決着
  • 1:34.1のしっかりとした稍重レース
  • 1:32.3の時計の出る稍重の馬場

どれもこれも向きそうで掲示板にも乗れていません。
スムーズに走れていて、過去3年の中でも良かった前半でしたが、それでいて最後まで伸びきれないのであれば、距離以外説明がつかない。

レーヌミノルは期待しましたが、内で一瞬だけ。
残り200mまでは頑張っていましたが、最後ゴール前で手前を替えてからバラバラに。
やはりこの距離だと100m長いか。1200mだとスプリント力で及ばず、1600mだと押し切れるだけのスタミナが少し足りない感じ。
走りは良いのですが、G1だと苦しいと言わざるを得ないです。

 

全体的には面白いレースだったと思います。最後までひやひやしたでしょうし、リスグラシューが1番人気だったのもあり、楽しめたはずです。
売上が前年比から108.5%ということで大幅増。
メンバーが波乱含みもあって面白かったですし、しっかりと昨年のタイトルホルダーが出てきてくれたのも大きかったでしょう。
それでいて上位8頭がしっかり8番人気で占める辺り、競馬ファンの予想の鋭さには感服します。
8番人気、7番人気、1番人気とはいえ4.3倍の馬の3頭で三連複が万馬券じゃないですから。「これで万馬券じゃないんだ」と嘆いた人は多かったんじゃないかなぁ。