第78回菊花賞 レース回顧

第78回菊花賞(G1・京都・芝3000m・不良)

台風がほぼ直撃が避けられず、何かと大変な衆議院選挙日です。
もう何もできません。困った週末です。

京都5Rの新馬戦。芝2000mの勝ち時計2:12.9。こんなの記憶にないです。
京都3Rの未勝利戦。芝1600mの勝ち時計1:40.6もさることながら、最下位入線が1:49.0。ダメな馬は走る前から無理という馬場です。
かつてロジユニヴァースのダービーの時もそうでしたが、走れない馬は走れません。

普通でもまともに決まりそうにないメンバーに加えてこの極悪馬場。
ペースとか関係なく、走ってるだけでスタミナを消耗するため、ペースが遅くても後ろから前の馬を抜く事が困難な場合が多いです。

1つ前のレースで内側がほぼ壊滅という感じでしたので、どうなるのか?という状況に。
ここまで近代日本競馬の馬場で悪化するというのはとても貴重です。現地観戦した人は特殊な経験をしたと思います。

パドックは私が本命にしてしまったトリコロールブルーやベストアプローチ、サトノクロニクル辺りは落ち着きを欠いていました。
それが普段の状態であったとしても、あまり好ましい状況ではありません。

返し馬はそんなにしっかり見ておらず。
とにかく雨が降ってるなという位です。これで馬に乗るというのは本当に大変だと思います。

当然ながら人は少なく、画面から見てもG1とは思えない感じの隙間が見えました。
良馬場でもそこまでそそられるメンバーじゃないのに、台風が来てしまったら競馬なんてやってる場合ではありません。
「これが来週の天皇賞だったら行ったか?」と問われて「もちろん」と即答できない位の天気だったので、行った人の決意には敬意を表したいです。

展開予想はしましたが、こうなると誰がいつどこで動くのか分からず、馬場を一杯に使うために各馬動けてしまうため、予想せずに見るレースです。

スタートでプラチナヴォイスが大きく遅れましたが、ブレスジャーニーやサトノアーサー、キセキも悪いスタートです。
一方で狙い通りの好スタートを決めたウインガナドル。

それにアダムバローズはそこまで競りかけず、スティッフェリオの外にベストアプローチ。
そのまま隊列が決まれば前はもう少し楽できましたが、マイスタイルがかかってどんどん前へ。ベストアプローチはこれに引きずられるかのように行きたがる素振りを。

ダンビュライト、アルアインも少し持っていかれ気味。
とはいえ一周目は例年こんな感じになる事も多く、マイスタイル以外は一応は許容範囲でしょう。

クリンチャーも前に行くかと思いましたが、スタート直後から押して押して前に行かず、そのまま抑えて中段へ。
結果的には素晴らしい判断でした。内に包まれる事無く後方でジワジワと外に持ち出せました。

1周目ホームストレッチをマイスタイル先頭で走ります。
2番手にウインガナドルにアダムバローズ、スティッフェリオとベストアプローチ、内目にトリコロールブルー。
その外にダンビュライトがいて、外にアルアイン、内でサトノクロニクル。
アルアインを見る形でミッキースワローとポポカテペトル。

離れてクリノヤマトノオーとキセキ、クリンチャー、サトノアーサーと続いてマイネルヴンシュ、ブレスジャーニーで最後方がプラチナヴォイスで1周目。

前半64.1と出た時はこの馬場にしては割と流れていると感じました。
とても馬場差4秒なんてレベルじゃないので、前半楽をした感じには見えませんでした。

映像を見ると脚から水煙が舞い、一応地面に芝が生えていますが、湿地帯を走っているような感じだったのではないかと。
スピードを出すというのも怖いですので、ギャロップでモンキースタイルで乗る騎手ってすごいなぁとしみじみと思いながら2コーナーへ。

2コーナー過ぎでマイスタイルが早々に潰れてしまったのがレースを大きく動かしましたかね。
あのまま一定の距離を保ったままであれば、後続勢は前に前にの流れになったか分かりませんが、あと1F位は待ったのではないかと。
思わぬ形で先頭に立ち、前と後ろとの差が一気に詰まったため、各馬が動きやすくなってしまったのかなと推測します。

そしてこの馬場ですので、早めに動いての心理は働いて当然です。
ゆっくりで順位は大幅に入れ替わっていないものの、徐々に加速していき、動けない馬はどんどん脱落していきました。
サトノクロニクルを見ていましたが、手綱を動かし、ついていくのがやっとという感じです。
ペースとしては14.5-14.3-13.5と加速していきます。

レース全体を動かしたクリンチャー。
アルアインを交わして前にいったため、ベストアプローチやダンビュライトはそのまま行かれてしまうと自分も苦しくなってしまいますので、ある程度動いていかないといけません。
そこが坂の上りで13.0と速いラップが刻まれています。
動きがありますが、順位の入れ替わりは案外少なく、差が詰まったり離れたりの中、この馬だけは順位をしっかり上げていたと思います。

坂を下るところでトリコロールブルーやウインガナドルは飲まれてしまいました。
どうしても直線大逆転が難しい馬場なので、3~4コーナーが激しくなります。

加えて京都の坂の上り下りがあるため、本当にハードです。
スタミナが問われたというよりは、馬自身の気持ちが耐えられたかどうかでしょう。全員ほぼバテてたと思います。

直線は内が伸びないのでダンビュライトが外に出して先頭ですが、クリンチャーが2番手から先頭、内からポポカテペトル。
外からミッキースワローも走っていますが、差を詰める程の差がでません。
それを後目にキセキがしっかりとした脚でゴールまで駆け抜け、クリンチャーとポポカテペトルに2馬身差の勝利でした。

勝ち時計3:18.9。
キセキのみが上がり40.0を切り39.6。
ゴール後ガクンガクンとなっていて、すぐ止めるという超ハードな消耗戦。

当然途中失敗した組は全然ダメでマイスタイルは3:30.0でビリ。
8着から3:20.0を超えていますし、まるでグランドナショナルを見ているようでした。

菊花賞の歴史でこの時計より遅いのは第2回、第4回、第6回、第7回と戦前及び戦後すぐ。
日本の水捌けのいい馬場で、ここまで悪化させるというのは信じられない事です。
1976年、第37回のグリーングラスが3:09.9で走って以来、1回も3:10.0を超えて決着したことはありません。2017年は異例中の異例のレースとして刻まれる事でしょう。
「キセキ」という3文字の名前が勝ったのも菊花賞史上初。

このレースを評価したり、分析するのは無理です。特殊過ぎて。

上位の馬、下位の馬、どういう影響を及ぼすのか?というのは興味がありますが、ロジユニヴァースのダービーを超えるであろう不良馬場です。
あのレースで後方から伸びてきたナカヤマフェスタが後に凱旋門賞で2着をしたように、そういう能力適性試験に近かったかもしれないというのを無理矢理考えると、キセキの直線の走りは近いものだったと思います。

夏の上がり馬という扱いにはなっていますが、春先から期待されていた馬ですし、力通り走ったということですね。
道中は後方でじっくり溜め、直線は大きなストライドで最後まで乱れませんでした。
菊花賞を勝ちましたが、3200mという感じもせず、2400m付近まででその末脚の力を発揮してくれれば。

ルーラーシップがいきなりG1馬をこういう形でも出しましたし、母父ディープインパクトとノーザンダンサーのクロスが5×5で発生することはありますが、母父ディープインパクトの優秀な牝馬の恩恵は受けられるし、日本の血統として続いていってほしいものです。

2着のクリンチャーは良い動きでした。
前半行こうとは思っていたでしょうが、切り替えて後方に。
この馬場ですごく長いロングスパートをかけ、最後まで頑張りました。
ただ、やはりこの馬はスタートからのスピードの乗りが悪いのが今後もネックになりそうです。
スタミナはあるはずなのですが、逃げる作戦に出るのも難しく、今後どういう馬にしていくのか?は興味があります。逃げでは難しいので、思い切った差し馬転換しかないかな。

ポポカテペトルはディープインパクト産駒として兄のマウントロブソンと同じように切れませんが、スタミナ十分の走りでした。
クリンチャーに一度は半馬身以上前に出られましたが、最後まで走ってハナ差まで追い詰めましたので、ガッツがあります。
今後も長めの距離で走りたいでしょうが、自己条件でもダイヤモンドSでも目標にしてもらいたいです。

マイネルヴンシュは馬券になっていませんが、期待通り走ってくれました。
前半後方からこちらも一旦はミッキースワロー以下に2馬身近く遅れましたが、そこから40.0というこの馬場では素晴らしい脚を使って追い込みました。
前半無理せず馬場の良い所を走れたのが良かったのでしょう。前に行っていたらこうもいかなかったと思います。

ダンビュライト、ミッキースワロー、アルアインと実績馬は最後疲れたように止まりましたが、止む無し。
幸いだったのは外枠だったということです。
例年と全く違うので、枠が外だったために前半から脚を取られる可能性が低い所を走れたのはプラスだったでしょう。

アルアインは最後バテていましたが、さすがに力のある所を見せましたし、ミッキースワローも切れ味は発揮できない中でも見せ場を作りました。
本来の舞台であれば全く違う走りができると思いますので、これで潰れなければいいですが…。

サトノクロニクルは道中からのめっている感じでしたので、馬場が決定的に向きませんでしたかね。
サトノアーサーの方も綺麗なストライドで走る馬ですし、きさらぎ賞程度の重ですら苦戦するようだとこの敗戦も仕方ありません。

私の本命だったトリコロールブルーに関しては、内で出られず終始馬場の悪い所のギリギリを走るしかなかったのもあります。
とはいえ下がり方から考えるとスタミナが相対的に劣っていたということでしょうね。残念ですが、気性含めて成長してからもう1回大舞台に出てほしいと思います。

 

非常に書きにくいレースでした。
良し悪しが分かりにくく、これで何頭かが脱落する可能性があるレースになってしまっていますので、そうならないように願うだけです。

馬券的には惨敗。
キセキを外したのは仕方ないにしろ、予想した馬ではなく、乱数で適当に選んだ2頭が来るというなんとも言えない気分です。。。