第51回スプリンターズステークス レース回顧




第51回スプリンターズステークス(G1・中山・芝1200・良)

日本の秋のG1開幕戦となるスプリンターズステークスです。
秋最後の中山開催。電撃の6F戦です。

香港からブリザードを加え、夏の上り馬、実績のある休み明けと非常に難解なレースになったと思います。

馬体重はメラグラーナがマイナス10kgと二桁増減ですが、もともと大きい馬ですし、心配するものでもないでしょう。
他の馬は休み明け含めて一桁の増減で出てきました。

一応やってみた予想はこちら。下手すぎて参ります。

第51回スプリンターズステークス 展開予想

2017.09.29

スタートはラインミーティアがやや立ち後れ、ブリザードもよくありません。
シュウジは思い切って脚質変換という勢いで下げます。悪いことではないと思います。
ファインニードルもスタートは後手でした。

先頭にはすんなりといった感じでワンスインナムーン。
もっと激しくなるかと思ったら1F通過することなく2馬身出るくらいの余裕の逃げでした。

ダイアナヘイローやフィドゥーシアが2番手3番手。
セイウンコウセイにビッグアーサーも外目からジワジワと。
ネロの外からかかり気味にファインニードル。スタート後手でこの様子ではスプリント戦でなくとも苦しいと思わせる前半です。

ダンスディレクターに馬込みを上がっていった緑の勝負服ブリザード。
狙い通りのイン差しレッツゴードンキに昨年と同じような位置からレッドファルクス。
外からモンドキャンノで内からスノードラゴン、間からメラグラーナ。

後方からラインミーティアに最後方からシュウジという展開です。

流れは激しい先頭争いをしなくても多少やりあって速くなるかと思ったら案外落ち着いて33.9。特に2F目の10.8というのはスプリント戦としては随分と落ち着きました。

ワンスインナムーンとしてみたら、1400m位の流れで最初の2Fを通過したのに後ろと離れた状態で走れているということで、非常に楽だったでしょう。
前に行ったダイアナヘイローやファインニードルやネロ、ダンスディレクター辺りも抑えているシーンがありました。

ブリザードが途中上がって行っていましたが、普通ならこれが正解でしょう。
スプリント戦で34.0位の流れであれば、逃げても34.0を切る上がりでまとめられるのが普通ですので、策も無く外回す気で後ろで待っていても多くの馬は届きません。

それ以上のキレを見せることができる(とおそらくデムーロ騎手は思っていた)レッドファルクスや最初から内を通るだろうレッツゴードンキのような事でもなしないと、この先差を詰めるシーンがなかった、ということになりかねません。

4コーナーでダイアナヘイローが手応えが悪く後退。
フィドゥーシアも並びかけることなくワンスインナムーン先頭で4コーナーへ。
ビッグアーサーはその外から。

直線で2馬身位リードを保つワンスインナムーン。
ダイアナヘイローがばてたので、各馬外を回すことになり、結果内がガラ空きに。
4コーナーでセイウンコウセイの内にすっと入り、内を詰めることもさせなかったレッツゴードンキ。
そのスペースを突いたレッツゴードンキ。この騎手もそうですが、この馬も内を走れますね。その後ろからスノードラゴンも恩恵を受けている感じです。

残り100m。差は3馬身位。さすがにレッドファルクスの加速が見えても差はあるように見えましたが、坂を上がり切り、ラスト50mの身体いっぱいに使った走りでゴール前で強襲し、内から抜け出したレッツゴードンキをクビ差交わしました。

勝ち時計1:07.6。レッドファルクスは上がり33.0です。
レッツゴードンキは上がり33.1とほぼ差がありませんが、「本当か?」という位の差がありました。確かに映像を見ると600m通過時点で身体半分レッツゴードンキが前でほぼ並んでいますので、同じであることはわかるのですが、それにしてもゴール前はすごい脚でした。

勝ったレッドファルクスはこれで連覇達成です。
かつての連覇したスプリンター達(ロードカナロア、サクラバクシンオー)に比べると地味さはありますが、それでも連覇、しかも追い込みで連覇というのは素晴らしいと思います。
道中は真ん中らへんにつけて、4コーナーでは外目に。
ここで外に並んでいたファインニードルが失速したのも助かったと思います。もしわずかでもファインニードルがスピードを維持できていたら、前がネロですので、外が開かずに終了も考えられました。
運もあるのが競馬ですね。

2着のレッツゴードンキは道中からずっと内。直線も内。
この馬もダイアナヘイローがばてた所で内を狙える馬をブロックし、フィドゥーシアとの位置関係が絶妙でした。
フィドゥーシアがもっとワンスインナムーンに並びかけるくらいであれば内を詰める馬もいたでしょうが、ワンスインナムーン、フィドゥーシア、ダイアナヘイローがV字隊列のような並びだったので、外の馬が入りにくかったと思います。
最後は差されてしまいましたが、さすがの実力馬です。

3着には粘ったワンスインナムーン。
スタートからスイスイと先頭に立てたので、楽に走れました。
最後まで頑張りましたが、G1となると差してくる馬がいますね。
それでも2連勝の勢いを感じる走りでした。

スノードラゴンは最低人気でレッツゴードンキの後ろから走って4着まで追い上げました。
ペースも速くなかったのもあり、レッドファルクスを除いて距離ロスなく走れた組が上位を占めています。

ブリザードも最後すごい追い方でしたが、5着に。
スタート後手でしたが、そこからしっかり巻き返し、ペースが遅いのも助かったと思います。
4コーナーから追い通しでしたが、下がらずに前の馬を交わしていましたので、思いの外走りました。少なくとも4コーナーの地点では苦しいかなと思っただけに。

ビッグアーサーは久々でスタートからの追走は悪くなかったですが、直線伸びきれず。
とはいえここまで頑張ったのは力のある証拠でしょう。6歳ですがまだ15戦。来年しっかり整って出てきてほしいです。

メラグラーナも上がりの数字は33.1と出ていますが、抑えて後方から外回して勝てるほど強くありません。
あの位置から追い込もうと思ったら32.5とかの脚が必要なので、土台無理です。
4コーナーの反応が悪く、加速するまで一苦労。もしかしたらスプリント以上の長い距離のほうがいいかもしれません。

セイウンコウセイは力負けのような負け方。
ブリザードと並んでからあんなに突き放されてしまうと函館SS位しか走れなかった、ということでしょう。

ファインニードルはスタート後手で道中かかってしまうというレースでは難しいでしょうね。
すっと先頭付近につけてくれればこんなことにはならなかったと思いますが、一発勝負で大幅マイナスなレースになってしまいました。

終わってみれば1番人気、終わってみればG1馬ですので、「簡単だよね」と言う人がいそうですが、私は難しかったと思います。スプリンターズステークスは夏のレースの取捨が難しい。