2017年東西金杯 レース回顧




第66回 中山金杯(G3・中山・芝2000m・良)

今年の中央競馬の初重賞である金杯です。
1回行ってみたいですが、毎年仕事で無理です。

今年は13頭立て。
トミケンスラーヴァの51.0kg~クラリティスカイの57.5kgまでとハンデ戦らしいメンバー構成。

4歳馬のストロングタイタンやドレッドノータスなども人気しているように、これから期待したい馬もいます。そういう時期です。

馬場は9Rのジュニアカップで45.9-48.8と強烈な前傾ラップで1:34.7。
12Rの古馬1000万下も45.9-48.1と前傾ラップの1:34.0。

ペースもそうですが、ラスト時計がかかり気味。
年末年始を挟みましたが、大きな体重の増減なく出走してきました。お正月太りみたいなものはさすがにこのクラスだとありません。

スタートは最内シャイニープリンスが非常に良いスタートです。
昨年逃げたマイネルフロストは少し悪く、お隣カムフィーも出がイマイチでした。

真ん中からダノンメジャーがすんなり先頭を奪い、外目からマイネグレヴィル、トミケンスラーヴァも早めで1コーナーへ。

目に付いたのはクラリティスカイでしょうね。
皐月賞は逃げた馬ですが、精彩を欠いて久しい状況です。
後ろから行っていい馬ではないので、枠もそうですが、少し促してポジションを取りに行きました。
内で3番手を取れて1コーナーというのは理想的なレース運びだったと思います。

ダノンメジャーが逃げ、トミケンスラーヴァと内で行きっぷりがいいクラリティスカイ。
外枠で1コーナーまで主導権を取れなかったマイネグレヴィルがポツン4番手。
ストロングタイタンは道中プレッシャーのかからない理想的な位置ですし、ドレッドノータスもそう。

内でシャイニープリンス、シャドウパーティー。それを交わすようにマイネルフロストが1000m通過少し前位から仕掛けます。

後方にロンギングダンサー、ツクバアズマオー。後方にカムフィーとラムズトゥフェイムという展開です。

前半が36.1-60.4。
馬場は比較的読みにくいですが、平均ペースだと思います。
昨年はダラダラと走っていましたが、さすがにそこまでではありませんでした。

向正面でマイネルフロストが動いたというのはレースに及ぼす影響として、特にストロングタイタンにとっては厳しくなってしまいました。
1000m通過後位から一息入れたかった所でそうはさせまいと一気に外から進出。

そこでマイネグレヴィルも反応し前の馬の外へ。
前に入られ、外から被せられては敵わんという思いもあったのでしょう。ストロングタイタンも一緒に外からジワジワと前に。
マイネル2頭に挟まれ、グレヴィルの方を力で押しのけて位置を取りましたが、終わってみたらその2頭はビリとブービー。

後方で無視していた組が好走しています。そんなスローではない中でレースが動いていますので、無茶しない所はじっくり待てれば…と言うのは簡単ですね。
一緒に動きましたが、結局マイネルフロストに前に行かれてるし、そんなに勝負するポイントではありませんでした。

内でじっくりとしていたクラリティスカイとシャイニープリンス。
ワンテンポ遅らせてドレッドノータスとツクバアズマオーが外から進出。
ドレッドノータスはもっとスーッと行ってくれないと、上で戦うには厳しい感じは受けます。

直線入り口でストロングタイタンは外はドレッドノータスがいて、前にはマイネルフロスト、内にはシャイニープリンスに先んじられ、その後のコースもロンギングダンサーに塞がれもがいている様子でした。
対して外からスッと反応したツクバアズマオー。
直線は外から一気に交わし、ゴール前粘るクラリティスカイを半馬身差振り切りました。勝ち時計2:00.6。

勝ったツクバアズマオーはオールカマー3着ですし、さすがにここに入ると安定しています。
上がり35.6とクラリティスカイより1秒も出てますし、2016年は重賞で2回馬券になっている調子そのままに初重賞勝ち。
前が動いてもじっくりと待ち、自身もあったのでしょう。
前と後ろの分断されていた所の一番前。誰からも突かれることもなく、自由にレースをしていた印象です。
中山は走りやすそうですし、AJCC辺りならG2も一気に…という位置にいると思います。

クラリティスカイも57.5kg背負いながらも後続を2馬身半つけていますし、G1馬として十分格好はつけました。
決め手に欠ける所があるので、もどかしいですが、一時期のスランプは脱したとみていいかなって思います。
内枠だったり、小回りで器用さが求められるようだと、十分走れます。まだまだ5歳ですし。
今回も内でペースが上がった時もダノンメジャーの後ろで待っていられましたのも良かったでしょうね。
東京良馬場で上がり34.0を切るレースは向かないので、どうにかそういう馬場じゃない所での走りを。

シャイニープリンスは最内から好スタートでこちらも道中は一切動かず。
4コーナーで注文通りの内を突き、シャドウパーティーをハナだけ差し切り。
マイネグレヴィルがバテてできたスペースをほぼ無理なく取れたので、展開も向きました。
重賞はなかなか壁が厚い。

ダノンメジャーはもう少し楽な逃げができれば違うでしょうが、早めに来られて苦しかったと思います。
OP特別などであれば、巻き返しするでしょう。
逃げはスタートからの反応も良いし、この馬にとっては合ってそうです。

ドレッドノータスは伸び悩んでますね。4コーナーでのツクバアズマオーとの差を見ると、現時点だと重賞は荷が重い感じ。
京都の軽い馬場でどうなるか?でしょう。まだ4歳です。

ストロングタイタンは期待していましたが、レースがチグハグで最後ほぼ追わずに9着。
次人気が下がれば注目したいという負け方でした。
道中の運びが悪い方、悪い方へといってしまったので、こうなると余程力が抜けてないと厳しいと思います。

 

第55回 京都金杯(G3・京都・芝1600m・良)

エアスピネルは皐月賞4着、ダービー4着、菊花賞3着ですから。
こんな所では負けていられないということでしょう。

ブラックスピネルに最後詰め寄られましたが、ハナ差でもきっちり凌いで勝てるのが強い馬です。

道中クビを上げて左右に振りながら走っていましたが、そんな消耗している感じもないし、ある意味ではあれで収まっているのであれば、個性でしょう。
今回前半が33.9-45.9と流れたにも関わらずなので、スプリント戦でも同じようになると思います。

馬群に入ったり、包まれたりするとダメっぽいですね。
馬の中からダンツプリウスの外へ出すと同時にその素振りが無くなっていますし、菊花賞も内に入れた2コーナーで1回ガツンとなっています。
終始後方で1頭で走っていた神戸新聞杯はそんなこともなかったですし、そういう癖があるのかな。

反応もいいですし、自在性がありそうな一方で、そういう走り。
内側でジックリが案外できなそうで、加えて抜群に切れる感じでもない。G1だと負けて強しで誰かにやられる姿が・・・。

4コーナーを外回して早め先頭。
後続を凌いで横綱相撲で勝っていますし、時計も1:33.0を切ってきました。
ほぼ言う事ない結果ではありますが、マイル戦だとやや切れ味不足が心許ないのもあります。

安田記念1本は当然ないでしょう。むしろ大阪杯とか宝塚記念とかで注意したい馬です。
勝つには勝っていますが、「これぞマイラー!」という走りには感じませんでした。
馬がばらけるレースでみたいので、距離は少し長く、馬が少ない方がいいと思います。少頭数になった場合の宝塚記念とか、香港の2000mとかでの激走があるかも。

 

ブラックスピネルは1枠から待って待っての追い出し。
道中速くなっても全く動じず。
もちろん誤差ですが、最後の脚を見ると、気持ち早く追い出していたら…と思わせるだけの走りでした。

道中の走りを見ていると、もっと長い所でも全く問題なさそうですが、路線の強弱をみるとマイル路線の方がやりやすいので、そうした方がいいかも。
55kgのハンデは決して楽ではない中、フィエロに先着したのは大きいでしょう。
1:32.8と時計の対応もできました。ただこの馬も勝ち味に遅そう。

フィエロはもう8歳になってしまいましたが、頑張っています。57.5kg背負って力通り走っています。
阪神カップから中1週。また3着。
乗っている位置取りもコース取りもそんなロスがあるところでもない、最後まで止まっている訳でもない、でも勝てない。
1回勝てば大きく変わりそうな雰囲気もありながらここまで来てしまいました。
安田記念後は「さすがに年齢がなぁ」という状態になったかと思ったらまた復調してきました。悩ましい馬です。

アストラエンブレムはスタートから下げてスルスル内へ。
速いと言ってもマイル戦。ある程度流れに乗れないと厳しいのは確かです。前がそれでパタッと止まる馬ではありません。
後ろ過ぎだと思いますが、それでも直線でかなりスムーズに外に出しての追い込み。

それで54kgで1馬身以上フィエロとの差。
相手なりに走る馬ではありますが、レースの流れには乗っていないので、何とも評価しにくいです。
そういうマイラーは過去いますが、その手の追い込み馬は10秒台の脚を繰り出すとか、迫力満点ですからね。それらと比較してしまうとやはり現時点だとまだまだかなぁという印象しかありません。
でもまだ10回走っていないし、これからでしょうけど。

マイネルハニーは前走も流れた中での勝利でしたし、今回もそういうレースに。
スローで生きる馬じゃないので、こういう馬が出ると締まります。
今回はペイシャフェリスが逃げましたが、行かなければこの馬が行ったでしょう。
マイルは少し忙しいですね。2000mまで距離を伸ばせれば、面白い馬になりますが、エプソムカップとかかなぁ。

ダンツプリウスは果敢にいきましたが最後エアスピネルと並んだのは一瞬だけ。
エアスピネルもそんなに切れない馬ですが、この馬も切れません。
3戦連続で6着です。ここで1つ壁がありますね。2000mまでこちらも伸ばして欲しいです。

ブラックムーンはスタートから出していき、いい位置にいますが、前走とは違う走り。
逃げ勝っている事もあるミッキージョイのあの走りも全く分かりませんが、あれに近い感じで思い切って下げてもらいたかった。
持ち時計が無いので、自分の時計分走ったとも言えなくもないものの、位置取りの雰囲気が良いだけで馬本来の良さは出ていないと思います。