ジャパンカップにはどんな馬が来れば満足なの?




問題点ばかり言われてるけど…

【ジャパンCを考える】と称してスポーツ報知が記事を書いています。

【ジャパンCを考える】<1>外国馬たった3頭…現状と課題を分析

【ジャパンCを考える】<2>内外が問題視する日本の検疫制度

【ジャパンCを考える】<3>複数の距離部門設置すれば魅力増す

 

ここで<1>にとても気になる1文があります。

今年は、凱旋門賞馬や北米の芝路線で活躍する一流馬の姿はなく、エントリーしたのが3頭と寂しい顔ぶれ。

あっさりと書いていますが、これは気になる書き方です。
3頭というのは置いておいて、「北米の芝路線で活躍する一流馬の姿はなく」という所。

これを書いた人に、「具体的にどの馬の事を言っているの?」と聞いてみたいです。

イラプトが勝ったカナディアン国際Sのメンバーを見てるのでしょうか?
北米の芝中距離路線にどれだけのレベルを求めているのか分かりませんが、現実は厳しいものです。

 

北米の芝中長距離事情

現役を引退したFlintshire(フリントシャー)がNo.1である(あった)事は間違いありません。
元々は欧州の馬ですが、実績からも当然でしょう。この馬を今更「北米の一流馬」と称するのは失礼です。世界最強クラスの芝中距離馬ですから。

ではNo.2以降は?というと中々難しい順列になります。

  • アーリントンミリオンで10着と崩れた以外はG1で4戦1勝2着1回3着2回、マンノウォーSを勝利しているWake Forest(ウェイクフォレスト)
  • ウッドバインでのG1であるノーザンダンサーターフSを勝利した昨年のアーリントンミリオンの勝ち馬The Pizza Man(ザピッツァマン)
  • マンハッタンハンデ(G1)ではFlintshireの3着でG1のユナイテッドネイション勝っているWorld Approval(ワールドアプルーヴァル)
  • ソードダンサー招待でFlintshireの2着があり、ユナイテッドネイション2着、マンノウォーS2着のMoney Multiplier(マネーマルチプリアー)
  • ソードダンサー招待でFlintshireの3着、ジョーハーシュ・ターフクラシック招待(G1)でもEctot(エクトー)、Flintshireの3着だった古豪Twilight Eclipse(トワイライトエクスプレス)

この辺りになると思います。
核となるG1を勝利している馬、好走している馬が該当します。

そんな中、3頭が出走したカナディアン国際S。

1着イラプト。
2着も欧州からキングジョージ3着はあるもののG1未勝利のDartmouth(ダートマス)

3着にWake Forest、4着にThe Pizza Man、5着に愛ダービー2着のIdaho(アイダホ)、8着にWorld Approval

つまり、北米の主要な芝長距離G1馬が顔を揃えた1戦ですが、ポッと出の欧州馬にやられました。

 

BCターフはFlintshireも元欧州ですので、そう考えると上位4着まで欧州馬。
素質は評価されていたとはいえ、レベルが疑問視されている2016年英ダービー12着のUlysses(ユリシーズ)が4着です。

北米の最先着はAshleyluvssugar(アシュレイラヴズシュガー)が5着。G1未勝利でG2を2勝の馬。
Money Multiplierは6着、Twilight Eclipseは10着。
イスパーン賞で大敗し、クインアンSでもエイシンエルヴィンの後ろの11着だったMondialiste(モンディアリスト)がビリ。
この馬は2016年シーズンで現在まで『アーリントンミリオンしか』勝っていません。欧州ではG2も勝利できていない馬です。

この辺のレベルが「北米の芝路線で活躍する一流馬の姿」なのです。
Flintshire以外で、「おお!この馬が来た!」と日本の競馬ファンが喜ぶ馬がいますかね?

 

カナディアン国際Sに出走した面々は、北米の芝長距離のG1を勝利しておきながら、地元の1大イベントのBCターフすら回避した面々です。
悲しいかなそれが最上位クラス。

アメリカ芝の2番手は、現状BCターフでは出番がなく、回避してまで出走したカナディアン国際Sでも欧州馬にやられてしまいます。

そんな馬たちがBCターフと互角以上のレースレーティングを誇るジャパンカップに出走する気になると思いますか?
勝ち馬であるイラプトやドバイシーマクラシック3着のラストインパクトが脇役に押しやられているメンバーです。あのレースの4着はハイランドリールです。

ジャパンカップに出走する訳ありません。検疫、輸送以前の問題。

従って当然ながら香港ヴァーズにも彼らの名前はありません。
地元北米の貴重なG1レースで、イラプトやダートマス、ユリシーズと互角以下のパフォーマンス。
彼らより欧州で上の実績を誇るHighland Reel(ハイランドリール)やSilverwave(シルバーウェーブ)、Big Orange(ビッグオレンジ)の名前がある香港にも向かうはずがありません。

少なくとも今の状況を考えると、北米の芝中距離に期待をするだけ無駄です。
北米の芝中距離を走った馬で、ジャパンカップに来るのを「輸送、検疫」にまで結び付けられる位置にいるのは引退したFlintshire以外はいないと思います。

 

レーティング118が一流馬じゃない?

今年も凱旋門賞馬は出走しません。

しかし、イラプトとイキートスはレーティング118ポンドを保持しています。
118ポンドという数字は並みの馬が貰えるものではありません。この数字の意味をどれ程分かっているのでしょうか?

パートⅠ国のG1馬でないとその数字を得る事は困難です。
もちろんハイレベルG2勝ち、ハイレベルG1の好走でも到達できる数字ではありますが、その辺の馬がポンポンと出せるものではありません。
これで「一流馬じゃない」とか言われたらパートⅠ国のG1馬の立場がありません。

例えば昨年の2015年シーズンで118ポンドという数字は75位タイに位置付けられています。今年もそんなものでしょう。
芝ダート、そして距離別と分けられていますので、ジャパンカップと同じカテゴリの「L」でというと、大体118ポンドで20位前後です。

つまり、少なくとも国際的にその距離においては上位20頭と評価される馬にしか与えられないものです。
その馬がいて「一流馬の姿がなく」とは何を言っているのでしょうか?

その中からマカヒキ、サトノダイヤモンド、ゴールドアクター、キタサンブラック、ラストインパクトといった日本馬と既に引退した馬を除くと、現役では大体上位10頭と評される馬に与えられるのが「118ポンド」という数字です。

この馬を「一流馬の姿がなく」と言えてしまうのがジャパンカップと言えばそれまでですが、そんな姿勢ではいけません。
各国に戻ればその距離では5本の指に入る馬です。それは立派な一流馬。
118ポンドの意味を認識して観戦してもらいたいと思います。

質を求めるか?量を求めるか?

今年は3頭でした。
イラプト、イキートス、ナイトフラワーです。

恐らくもっと増やすことは可能だと思いますが、その場合は2010年のブエナビスタ降着のレースの下の方を埋め尽くした海外馬のような結果になると思います。
この時期になるとさっさと引退してしまう馬も多く、実際無事の馬だけでも層が薄い年が続いています。

よく比較される香港ヴァーズ。
今年の欧州の馬は以下の通りです。

  • Highland Reel(ハイランドリール)
  • Silverwave(シルバーウェーブ)
  • Big Orange(ビッグオレンジ)
  • Garlingari(ガーリンガリ)
  • One Foot In Heaven(ワンフットインヘヴン)

イラプトはラストランとの話もあったので、ここは出ないと思って外しています。

G1馬は上の2頭だけ。
オッズはというと、断然の1番人気がHighland Reel。
2番人気がヌーヴォレコルトとBig Orangeが大体同じくらい。
次に出てくるのがスマートレイアーとSilverwave。

地元の馬はHelene Happy Star(ヘレンハッピースター)が1番上の人気ですが、この馬はラブリーデイも出走したQE2世Cの7着馬。これが地元のエースで登場。
スマートレイアーより芝2400mのカテゴリーで評価が低い馬がJCに何頭いますか?
これが香港ヴァーズです。

この5頭が来れば満足するか?といえば、満足すると思いますが、それはHighland Reelの力だと思います。
それ以外の4頭がプラスして来た所で、満足する人は少数じゃないかなって思います。

Silverwaveにどれだけ心躍るでしょうか?
ただ、この馬はフランス古馬中距離では恐らく2番手集団の先頭付近の馬です。イラプトと同じ位。

量を増やせば「またこんな訳わからん馬を連れてきて」になりますし、質を求めると恐らく日本の競馬ファンを満足させる馬で、芝2400mを走りそうなの現役馬は以下の3頭しかいないでしょう。

  • Postponed(ポストポンド)
  • Highland Reel(ハイランドリール)
  • Order Of St George(オーダーオブセントジョージ)

絶対数が少ないので、そりゃ来る可能性は必然的に下がります。
これが来ないと「レベルが低い」と判断してませんかね?

 

一体誰が来れば満足するの?

日本の競馬ファンは目が肥え過ぎています。贅沢過ぎるのも考えものです。
海外馬券も売り出して、ますますその目は肥えてくると思います。

例えば今年のJCが以下の3頭だったらどうでしょうか?

  • Jack Hobbs(ジャックホブス)…2015年愛ダービー馬。英チャンピオンS3着。
  • Journey(ジャーニー)…ブリティッシュチャンピオンズフィリーズアンドメアーズS1着。
  • Silverwave(シルバーウェーブ)…サンクルー大賞1着。凱旋門賞13着。

ここがぶれていると、そもそも話が嚙み合わないと思います。
「これ位なら満足」なのか、「これよりもう少し上がいいな」とでは天と地ほど違います。

まぁ雪もあり、当日は雨マークもあるので、意外や意外の好走があるかもしれませんが、敬意をもって見るものの、馬券的には「うーん…」って感じですかね。

予想そのものが難しいですが、展開予想も書きたい所です。




2 件のコメント

  • こんにちはー。
    ふと思うのが、おおざっぱにいうと
    日本競馬界は「凱旋門賞・キングジョージを勝ちたいのか」 
          「凱旋門賞・キングジョージ馬に勝ちたいのか」
    みたいな風潮があるような、ないような。
    世界のレースってそれだけじゃないよって思うのです。
    欧州のトップオブトップのレースでの好成績の馬。(外国馬10頭を個人的にP/UPしました。)
    Found(ファウンド)、Postponed(ポストポンド)、Winx(ウィンクス)
    La Cressonniere(ラクレッソニエール)、Highland Reel(ハイランドリール)
    Almanzor(アルマンゾール)、Minding(マインディング)、Harzand(ハーザンド)
    Tepin(テピン)、Order Of St George(オーダーオブセントジョージ)※凱旋門3着+チームオブライエン
    本気の本気でJCに呼ぶなら、まず1頭当たり契約金を1億以上は価値があるんじゃない?って個人的に思います。レーティングの評価もさることながら、やはり目に見えた価値は金銭。
    でも今や2000Mが主流の欧州に2400MのレースのJCへ来てとなると、まさゆきさんがあげた、
    Postponed(ポストポンド)、Highland Reel(ハイランドリール)、Order Of St George(オーダーオブセントジョージ)。絶対数が少ない=来る可能性は必然的に下がる。
    絶対に呼ぶとなるとレース賞金以外でのメリットを作らなきゃ来ない。それがなきゃ逆に行かない。
    まさゆきさんの「これが来ないと「レベルが低い」と判断してませんかね?」まさにそうで、
    じゃあ今回、イラプト、イキートス、ナイトフラワーが勝ったレースに日本馬が出走したとして簡単に勝てるレースかと言われたらそれはそれで違うし・・・。
    もうごちゃごちゃですね。
    私だったらもうイカレて、批判は受け付けない。もうマンスリーJCにして11月のマイルCSからJCには、
    金に糸目はつけずに全部呼んでやる!てやけになりそうです。

    • こんばんは。
      暫くお返事できずにすみません。ジャパンカップ終わりましたね。キタサンブラックは綺麗でした。
      イキートスは良く走ったので、さすがはバーデン大賞馬だと思いました。
      プーさんが仰る通り、ドイツの地であの馬をやっつけられるかは微妙ですね。それ位の勢いはありました。

      >私だったらもうイカレて、批判は受け付けない。もうマンスリーJCにして11月のマイルCSからJCには、金に糸目はつけずに全部呼んでやる!てやけになりそうです。
      それもありですね。
      もう少し多ければそれはそれで楽しいですし、1回位スポットで試してみても面白いかもしれませんね。テストで。

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