ジャパンカップの新しいあり方を考えてみよう




私はかつてスポナビブログで2つの記事を書いたことがあります。

2つのブログを書いた時も感じていますが、はっきり言って「外国の一流馬を呼び込む」のはかなり難しいと思います。

時期、検疫、日本馬の強さを考えると、ジャパンカップというレースそのものが、生半可な馬が来てどうこうなるレースではありません。
今年も遥々来て頂いた外国馬には大変申し訳ありませんが、多分出番はないでしょう。

東京芝2400mで外国から参戦して勝負になる馬なんてほぼいませんので仕方ありません。
ファウンド、フリントシャー、ポストポンド、ハイランドリール位ですかね。しかも2頭引退してますし。そりゃ無理です。
アルマンゾールは距離が長いので消し。マインディングも距離で消し。実際問題として両手で数える程度。

最高レベルのレースは日本馬オンリーの芝2400mで十分実現しています。
ゴールドアクターにキタサンブラック、ディーマジェスティと120ポンド級がゴロゴロいる2400mのレースは世界でもほとんどありません。
悲観的になる理由はどこにもないレベルのレースが行われるのは確実で、私は純粋に楽しみです。

とは言ってもせめて1つ前のレースは重賞にすべきだと思います。
東京スポーツ杯2歳Sを条件変えずにそのままJC当日にやるだけでいいと思うのに、なんでやらないかなー。

 

レース時期を変えるのは非常に難しいし、同じ日にG1をわんさか作っても効果はどうでしょうか?
やってみないと分かりませんが、海外の超一流を呼ぶのはそもそも難しいと思います。

 

そんなこんなでジャパンカップ設立の役割は既に終えています。
そこで、新しい「ジャパンカップのあり方」を少し変えて考えてみたらいいのかも。

どうにもならないジャパンカップは放っておいて、別の方法で盛り上げるというのも手です。
「日本のジャパンカップはこういうもの」という新たなものを作るのもありでしょう。

 

案1:ワールドスーパージョッキーズシリーズを大々的にやる

この時期欧州、北米、豪州の平地はお休みの時期です。
馬は休み中ですが、ジョッキーはまだまだ違います。
マイルCSの出馬表にはライアン・ムーア、ミカエル・バルザローナ、アンドレアシュ・シュタルケ、アンドレア・アッゼニ、クリストフ・ルメール、ミルコ・デムーロ、武豊と国際色豊かです。3人は日本の騎手ですがそれはそれ。

この時期「馬」はどうであれ「騎手」は動けるはず。
世界で最も高い賞金額があるじゃないですか。
いい歳ですが今年BC3勝したマイク・スミス(米)、ビクター・エスピノーザ(米)やウィリアム・パイク(豪)、ジョアン・モレイラ(香)、ムーアだけだと可哀そうだからヘナファン。ついでにデットーリなどなど。

シャーガーカップを超えるような世界的なジョッキーのお祭りにしてみたらどう?
その中でメインレースにはジャパンカップもある、というような感じ。

それ専用の馬券も用意し、ジャパンカップ当日の雰囲気のままレースで大盛り上がりであれば騎手冥利に尽きるのではないでしょうか?
1日に6レース位ドカンとやって、メインの11レースはそういうの一切無視したジャパンカップ。

「それだとジャパンカップが外国人騎手オンリーになってしまう」となってしまうのを防ぐ目的で「ジャパンカップはJRA所属もしくは短期免許のみ」とすれば解決。

日本には芝もダートもあります。
東京であればダート1300m~芝3400mまでなんでもござれ。これを使わないのはもったいないでしょう。
菊花賞、秋華賞、天皇賞、アルゼンチン共和国杯の負け組などには出走して頑張ってもらいましょう。重賞格にしなくても賞金をつければいいんです。
ハンデ戦にしちゃえば力の差はある程度は誤魔化せるでしょ。

そして表彰式はジャパンカップとジョッキーシリーズを行い、盛り上がってもらう。
夏のシャーガーカップ、冬のジャパンカップとかなればそれはそれでいいでしょうし。

2014年にやったんですが、良くも悪くも普通なんですよね。
もっと大掛かりにやってみたらいいんじゃないでしょうか。

 

案2:トップじゃない馬を呼び寄せる

2010年に行われた第30回ジャパンカップ。
ブエナビスタが降着だなんだと揉めていた裏で、ひっそりと16番人気で9着入線した若き日のシリュスデゼーグルの姿がありました。
後にG1を7勝しますが、当時は普通の馬。ジャパンカップも当然ながらこんな結果でした。

「ジャパンカップは来たい奴だけ来い」にして、ちょっと格が落ちる馬を招待します。
それをきっちりと日本のハンデキャッパーなどが選んだ先がありそうながらも燻っているのがベスト。
日本の重賞と海外の重賞の賞金額の違いは言うに及ばず。1000万下よりも低い賞金で走る重賞なんて山のようにあります。

例えば日本の1000万特別は1着賞金が1500万円位。
ロイヤルアスコット開催のG2であるキングエドワード7世Sは1着賞金が122,210ポンドなので、日本円で1600万円位。
このクラスのG2でこの金額ですから、他はもっと低いのが相場です。

そこをエサに使います。

日本で層の厚い所は1600万下です。ここは本当に強い。ここの上位であれば、整えば海外重賞(G3や低レベルのG2)でも勝ち負けになります。
ピカレスクコートだって頑張りましたし、そういうものです。日本馬のホームであれば返り討ちできます。

なので、ジャパンカップ当日に、招待競走で1000万下、1600万下、オープン特別を充実させます。今あるレースでいいんです。
相手は日本のトップではなく、そのクラスの馬。
それで勝てばその分+上乗せの賞金が出ると分かれば、自国のG3勝ち位でG1だと大苦戦中の馬からしたら、日本の2ランク下の馬相手で勝てば重賞級の賞金が出ると分かれば目の色変える馬もいるかもしれません。
遠征費もタダ。

例えばざっくりと以下のようなルールにします。
ただし、レースの格がありますので、国際レーティングなどを加味して決めます。

  • 重賞なし … 1000万下から出走可能
  • G3勝ち … 1000万下から出走可能
  • G2勝ち … 1600万下から出走可能
  • G1出走(5着以内あり) … OP特別から出走可能
  • それ以上 … ジャパンカップ出走可能

と出走条件をすれば、海外の馬からしたら「格下挑戦」が可能になります。それでいて賞金は地元の下手な重賞よりはるか高い。
検疫など苦しいだろうから、外国馬への「ハンデ」を与えてあげるようなものです。

今年だったらファウンドやハイランドリールなど、来もしない馬にアプローチしません。今更実績に傷がつく馬でもない馬を狙うのがポイントです。

狙いはタイムテストやダートマス、ウィングオブデザイア、ミッドターム、ユーエスアーミーレンジャー、ムーンライトマジックとかです。ここを全力でアプローチします。
この辺がジャパンカップではないOP特別に出てきたら面白いでしょう。ジャパンカップとは違う面白さです。
恐らくここで名前を挙げた馬は、ジャパンカップで無条件で消しでもおかしくありません。
ダートマスはちょっと強いかな。スカイハンターとかガーリンガリとかの方がいいか。

まぁでもこの馬たちがOP特別に出走するとなると話は別です。
これ位実績が違う海外馬がいると馬券で悩むでしょうね。
楽に勝てると思ったら大間違い。特に1600万下からは甘くない戦いが強いられると思います。
日本の3歳馬だって1600万下で苦戦を強いられている馬も多いので、G1ノンタイトルの3歳馬が楽に勝てるわけがありません。

「何を楽しめばいいんだ?」という疑問は必要ありません。

馬券です。

今のジャパンカップはほぼ無条件で外国馬を外すという状況になっているから面白味がないんでしょう。
ダートマスが芝2500mのOP特別に出てきてライバル筆頭がジャパンカップをパスしたトーセンバジルだとしたら、外す選択ができるか?それがミッドタームなら?ユーエスアーミーレンジャーなら?

日本の馬券文化を考えたら、外国馬という不確定要素を楽しむところ、海外馬券の比較などにも意味があります。
OP特別の勝ち馬には有馬記念の優先出走権を与えるとすれば、もっと頑張る陣営もあるかもしれません。

 

案3:ジャパンカップをハンデ戦にする

メルボルンカップはハンデ戦ですし、いっそ世界最高賞金額のハンデ戦として生まれ変わってみたらいかがでしょうか。
メルボルンカップが2.8億円位ですから、そのままでも最高賞金額です。
ただ、それじゃあインパクトがないので、1着賞金を4億円位積みましょう。

ある特定のカテゴリの中で世界一となれば、それはそれで価値はあります。

要は今のジャパンカップは外国馬からすれば勝ちにくいのが問題なので、それであればまだ可能性があるハンデ戦であれば来る馬が変わると思います。

問題は日本馬との比較です。
例えばキタサンブラックとゴールドアクターを58kgとしたとき、ハイランドリールを57kgとかにする訳にもいかず、強い馬からすると少し厄介ですかね。
外国馬にとっては「そこそこ勝てるぞ」と思わせないと来ません。

準一線級が来て日本のファンが楽しめるか?というのはあります。
しかもハンデ戦だと勝っても負けても「なんかなー」となるかな。

 

思うこと

同日に色々やるのは結構難しく、かつ時期を変えるのも相当の難題です。
私はこのブログで「こういうスケジュールにしたら如何?」という題で書いてみようかと思いましたが、途中から書けませんでした。
時期を変えるというのも同じくらい難題で、面白い時期はダービーを頂点とする競馬のスケジュールが埋まっています。

今のままでもいいっちゃ良いと思います。
ただ、やはり秋の東京開催最後を飾るレースです。
良いレースを期待しますし、一応は招待競走ですからそれなりの馬に来てほしいのは山々です。

英国ダービー馬であるハーザンドが引退した時、Facebookには「ツマラン。だから障害の方が面白い。」「いい加減にしろ」「金か…」みたいなのが並んでいました。
日本に比べて有力馬の引退も早く、北米もそうですが早々に引退しています。
今年の北米3冠の勝ち馬は全て引退しましたし、ハーザンド引退、ザグルカも怪我で引退。困ったものです。

日本はそれに比べて現役が長く、晩成の馬が花開くのも日本の方が多いと思います。

ジャパンカップはこれでもいいかなーと思いつつも、何かできそうな気はします。
ちなみに、私が楽しむなら完全に案2です。ジャパンカップ以外に呼べれば面白いかなって思います。




2 件のコメント

  • こんにちは。
    案2の方法はありですね^^
    重賞なし … 1000万下から出走可能
    G3勝ち … 1000万下から出走可能
    G2勝ち … 1600万下から出走可能
    G1出走(5着以内あり) … OP特別から出走可能
    それ以上 … ジャパンカップ出走可能
    この条件にプラスして、重賞勝ち鞍が、
    G3勝ちあり … 1000万の特別手当
    G2勝ちあり … 2000万の特別手当
    G1勝ちあり … 3000万の特別手当(3勝未満)格2つ落ち
             5000万の特別手当(3勝以上)格1つ落ち
    すでにあったらスイマセン。
    「トップじゃない馬を呼び寄せる」=3歳馬なら古馬になりトップになりうる馬を呼ぶと捉えて、
    今年のイラプト・ナイトフラワーのイメージですかね。
    まさゆきさんの案2であれば、ジャパンカップ招待1000万下、1600万下、オープン特別みたいなネーミングで行い、その勝ち外国馬が来年には、重賞もしくはG1勝ち馬として再来日というのもあるかも。
    適性もはかれるし、勝った馬は、特別手当も計算に入れてローテーションを組めば、
    イラプトで5着でも、賞金3000万+G3・G1特別手当4000万で、7000万になる計算です。
    ナイトフラワーも、 賞金3000万+G2・G1特別手当5000万で、8000万になる計算です。
    これなら帯同馬に「適性のありそうな馬」を選んで重賞勝ちなしでも出走可能な1000万下がOKに。
    そのうちセレクトセールで購入された「欧州馬のディープインパクト産駒やオルフェ産駒」が来日?
    なんてことも。 
    循環型ジャパンカップともいうべきか。
    長々とすいません。

    • そうです!
      素晴らしい補完。ありがたや。

      トップ対トップで戦うだけが面白い訳ではありません。
      未知の勝負だからこその面白さです。

      ニエル賞でマカヒキと競り合ったミッドタームと3着のドーハドリームが日本の競馬場に登場し、迎え撃つ日本馬がカフジプリンスとウムブルフとかだったら面白いと思うんですけどね。

      そこでおっしゃる通りいいレースができたなら、「来年はOP特別に挑戦しよう」「来年は本家JCを走ろう」となるかもしれませんし。

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