第77回菊花賞 レース回顧

第77回菊花賞(G1・京都・芝3000m・良)

日本シリーズが始まり、秋の空気が漂いだしました。

このレースもそうですが、東京メインのミツバの謎の大逃げが面白かったです。しかも逃げ切るし。ゲームではないので、いきなり逃げられるものではありません。恐れ入りました。
ラニはスイッチが入った瞬間は分かりましたが、これからですね。どうせ2回位使わないと仕上がらんでしょ。

 

2016年のクラシック世代も同い年との最後の戦いとなりました。数えて77回目。
ダービーを戦った馬では既にリオンディーズがターフを去り、マカヒキは凱旋門賞で苦汁を嘗めされられました。

パドックはあまりイライラしていると3000mには好ましくありませんが、イモータル辺りはいつも通りなので、今更です。
コスモジャーベも気負っているとまではいかなくてもやや気合が出ているようです。ミライヘノツバサも。

サトノダイヤモンドは相変わらず綺麗です。
ディーマジェスティは後ろ脚の踏み込みが浅いのは特徴ではあっても気にはなります。

レッドエルディストとエアスピネルは雰囲気はありました。

返し馬はどんどん行ってしまうので難しい。
カフジプリンスは落ち着いていましたが、サトノダイヤモンドは少し持っていかれてました。
プロディガルサンはもっと入れ込みが酷くなってしまうかと思いましたが、ギリギリでしょう。

曇り空の下、さぁ菊花賞です。

スタートは久々が響いたのかジュンヴァルカンが大きく出遅れてしまいました。
対して内側が好スタートを。

カフジプリンス、ジョルジュサンク、サトノダイヤモンド、ミライヘノツバサ。そして外のエアスピネルが好スタートを切りました。
カフジプリンスは少しクビを下げてのスタートだったので、「こういうスタートだったかな?」とか思っているうちに先行争いが始まりました。

ミライヘノツバサが押して先頭を奪うも外からサトノエトワールが一気に先頭を奪います。
アグネスフォルテも行きっぷりが良く3番手まで上がり、ジョルジュサンクは結局すぐ4番手に。これはこれで良いんではないでしょうか。

サトノエトワールはスタートが五分よりやや悪いか?位だったのもあり、出していけという指示はあったんでしょう。
ペースメーカーの文化が日本にはないのもあり、賛否両論ありそうです。
アグネスフォルテは掛かり気味ですが、サトノエトワールはそうではないので、これはペースを意図的に流したはずです。
私は結果的に締まった流れになったし、これはこれで競馬だと思うようなタイプなので、そこまで否定的ではありません。
4頭出しとかだと萎えますが、きちんと権利を持っている1頭ですし、前走逃げている馬だと考えれば、これ位は予想する側が読まないといけません。

1周目の坂のでエアスピネルが5番手で少しクビを上げています。
スタートから出していったので、仕方ないですが、枠が内ならそこまでしなくてもよかったスタートを切ったので、僅かなロスではありますが、結果から逆算するとその僅かな差が2着3着を分けます。

その後ろの内側からサトノダイヤモンド、ミッキーロケット、ウムブルフといった展開でホームストレッチへ。

ミライヘノツバサが結局先頭でサトノエトワールが2番手。
大きく離れてアグネスフォルテ、ジョルジュサンク、エアスピネル5番手。
ウムブルフを前に置きサトノダイヤモンド。外からマウントロブソンも早めに動きました。

内でカフジプリンス、ミッキーロケット、レッドエルディスト。
こちらも最内ピッタリをシュペルミエール、その隣にディーマジェスティ。

後方に少し離れてレインボーライン、更に離れて内にコスモジャーベ、プロディガルサン、ジュンヴァルカン。最後方にイモータルという展開で最初の1000mを通過しました。

ペースは35.3-59.9。

特に入りの3Fはこれは流れました。最近だと最も速いですし、2000年以降だと2002年のヒシミラクルの時にローエングリンがぶっ飛ばした34.6に次ぐものです。
ただ、後方組は前と離れているので、後ろは菊花賞としては多少は流れている程度です。
目測ではありますが、最初のゴール板通過が前2頭が1:06.5位で通過し、サトノダイヤモンド辺りが1:08.0付近で通過しているので、+1.5秒程度でしょう。

それでもここが大きく読み違いました。
1つはミライヘノツバサがサトノエトワールを前に行かせなかった事ですね。
すんなり譲るかと思いましたが、結果的に併せ馬になってしまい、最初の1周目をゆったり前の2頭は走れず。

エアスピネルやレインボーラインも気を張って走っているっぽく見えましたが、こういう馬なのかもしれません。
時計に比べて後ろは特別に速い流れではないので、きちんと抑えていればなんとかなったのでしょう。

エアスピネルは2周目に向かうコーナーでもクビを上げていたので、なかなか気分良く走れていそうには見えませんでしたが、だからといって前に行ってしまいそうにも見えませんでした。

向正面に入りレースがあれこれ動きます。
去年もそうでしたが、今年も13秒台のラップが2度続きます。

ここで動く馬、動かない馬が出てしまいました。
どっちが正解とは言い切れません。馬の力もありますし、立場もあります。
ただ、そこで我慢できなかった馬というのは、「長距離の適性」という点でやや劣ってしまうとも言えるのかもしれません。
昨年も各馬がガツガツ動く中、内でジッとしていたキタサンブラックが勝っていますし、今年もレインボーラインなどは一時は後方3番手まで下がりましたが、一切動きませんでした。

まずは内からシュペルミエールが抜いていきます。つられてウムブルフも力んでしまいました。
その後ろからコスモジャーベにプロディガルサンと同じように内を突いて動きました。プロディガルサンも持っていかれている感じの上がり方です。

対してサトノダイヤモンドもディーマジェスティもレインボーラインも動かずでした。
レインボーラインはサトノダイヤモンドとの距離は離れていませんので、番手がいくら下がろうともあのままだったでしょうね。
動かないというのも立派な騎乗ですので、割り切って勝負している強さ、不気味さは感じました。

道中に動かない方が良いのは確かです。
ある程度流れの中できちんとポジションが取れていれば、そもそも動く必要ありませんから。
「遅くなった時に差を詰めないといけない」という状況を作ってしまった時点で、後手になってしまっています。
流れに乗って動くベきポイントで動く馬が安定して勝てる馬でしょうし、菊花賞などの長距離レースはそれがモロに出ます。

4コーナーでサトノダイヤモンドが外のディーマジェスティに被せられない距離を保ちながら入りました。
対してエアスピネルはバテたサトノエトワールの内側を滑るように内に入り込みました。武豊騎手渾身の騎乗です。
ずっと内側にいたものの、馬がどんどん押し寄せたのもあり、外に出したウムブルフがミライヘノツバサの後ろへ進出しました。

直線はサトノダイヤモンドがディーマジェスティを振り切り、半ばで勝負あり。最後まで脚色衰えることなく駆け抜けました。
エアスピネルが内で頑張っていますが、レインボーラインがゴール前まで伸びて並びましたがそこまで。ディーマジェスティは最後止まったような負け方でした。

 

サトノダイヤモンドは本当に強かったです。
4コーナーの加速具合がきさらぎ賞で感じた時よりも、今回の方が「G1馬としての迫力」を感じました。
あの時点で「勝負あり」を感じた方も多かったと思います。

勝ち時計3:03.3。上がり34.1。
走りもゴールまで全くブレませんし、少し道中気合が入っていたようにも見えましたが、4コーナーの反応は素晴らしいの一言。
最後も11秒台3つ続くレースをきっちりと後続に2馬身半差ですので、着差以上に余力というか奥深さを感じる走りでした。

2000年以降菊花賞で2馬身差以上差をつけた馬は父であるディープインパクト(2馬身)、オルフェーヴル(2馬身半)、エピファネイア(5馬身)の3頭。
何れの馬も世界最高級のレーティングを保持し、世界でも活躍できる馬でした。
それに近いイメージができる勝ち方でしたし、馬体もさることながらその自在性、そしてゴールまで加速を止めない闘争心。
この17頭との差は少なくとも長い距離ではという条件付きですが、大きな差を感じました。

レインボーラインはサトノダイヤモンドとの距離を保ちつつ、動かずにじっくりと直線に賭けたレースでした。
ロスというロスはありませんでしたが、サトノダイヤモンドと1頭分外を回った所で離されてしまいました。これは仕方ないですね。
それでもディーマジェスティを交わし、内を突いたエアスピネルを差し切っています。
道中で下手に動かなかったのが良かったと思います。伊達にモーリスに迫っていません。

エアスピネルは直線は内から伸びましたが、スタミナ+切れ味でサトノダイヤモンドに及びませんでした。
好スタートから前に行き、スタートから出していったのもあり、クビを上げていましたが、それでもスタミナをロスする程ではなかったと思います。
抑えていたので、ギリギリ保てていました。
それでもディーマジェスティに先着していますし、クラシックは立派に走ったと思います。
5着入線→4着入線→3着入線と1つ1つ順位を上げていますし、1つでもタイトルを獲ってほしいと応援したくなる馬です。
サトノエトワールがバテるのを待ち、開いた瞬間にスライドするように内を突いたのは見応えがありました。

ディーマジェスティはサトノダイヤモンドマークで走りましたが、下り坂で離されてしまいましたし、ゴール前も鈍りました。
イスラボニータなどと一緒で全身使って走る馬なので、距離が長くなるとゴール前垂れてしまいます。
セントライト記念などを見ていると、中山とか阪神とかは向いている気がしますので、来年の大阪杯の走りに期待します。
負けたものの3:04.0を切っていますし、有馬記念で見たいです。

ミッキーロケットも馬群の真ん中でじっくりと待ちました。
ただ4コーナーの反応がスッとせず、マウントロブソンを抜くまでにも時間がかかってしまいました。
春に比べると大分良くなりましたが、まだまだっぽい馬ですね。この馬は将来走ると思います。

最終的に3番人気に支持されたカフジプリンスはやはり内枠で自由がありませんでした。
内が有利、外が不利という単純なものではなく、馬のタイプを考えて内枠の有利不利を見極める必要があると思います。
毎日王冠のルージュバックは本来不利な外枠が最もいい枠でしたし、今回のカフジプリンスやダービーのディーマジェスティの最内は決して有利ではありません。
直線はウムブルフとマウントロブソンに挟まれてほとんど追えていませんし、少なくとも暫くは少頭数の長距離でもう1回立て直してほしいです。

レッドエルディストも上がり34.8止まりでは厳しいでしょう。
長い距離は走れるとは思いますが、馬券になるのにワンパンチ、勝つにはツーパンチ位必要だと思います。

ウムブルフは4コーナー2番手は想像通りでしたが、そこまでが掛かり通し。
内もシュペルミエール辺りに取られてしまってから、外へ持ち出したり、全体的に上手くいっているようには見えず。
自己条件からやり直して来春には重賞へチャレンジしてほしい馬です。

「掲示板外に負けたけど見応えがある」というのをクラシックで3回続けたマウントロブソン。
今回も大外から地味に頑張って7着。今日は少し痩せてアスリートっぽくなっていました。
マカヒキではなく、この馬が海外に行けばいいんじゃないか?と思っていますが、この馬は勝つには苦労しそうです。
こちらもディーマジェスティ同様に中山、阪神向きなのは間違いありませんし、ディープの仔だけど、ダートとかで覚醒しないかななんて思っています。

 

これで2016年クラシックも終わり、3冠全て違う馬でディープインパクト産駒が制するというとんでもない結果に。
菊花賞の上位6頭がディープインパクト2頭、ステイゴールド2頭、キングカメハメハ2頭。
こう考えるとステイゴールドがむしろ立派に見えます。

今年のクラシックは秋に脱落してしまった馬も出てしまいましたが、非常に面白い年でした。
来年以降もこの世代が引っ張っていけるだけの駒が揃っていますし、勝負付けはダービー馬ともついていません。
サトノダイヤモンドの勝つシーンに1回も立ち会っていませんので、是非どこかでみたいなと思わせる勝ち方でした。

皐月賞とダービーは勝てなかったので。

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ちなみに、予想は単勝だけ。相変わらずのダメ具合です。勝ち時計1秒近く外すと別のレースですので、言い訳できません。
そこしか自信なかったので、弱気の少しプラス。
「カフジプリンスは8着」と予想してそこは当たりました。

第77回菊花賞 展開予想

2016.10.20