第95回凱旋門賞 レース回顧

第95回凱旋門賞(G1・シャンティイ・芝2400m・良)

毎年の事ですが、馬場が最高に良いのも加わり、驚きのグリーンベルトが出来上がっています。

マルセル・ブサック賞も前の3頭で決着。勝ち時計1:35.85。
ジャン・リュック・ラガルデール賞も逃げ切り。勝ち時計1:35.53。

レース前の雰囲気だけ言えば、後方から差せる感じがしませんでした。
まあ毎年の事だし他国のレースだから構いませんが、この馬場の作りもどうなんでしょうかね。

オペラ賞も逃げた馬が最後まで粘っているし、一瞬外出した1番人気のSo Mi Darが全く差が詰まりません。
「非常に」特殊な馬場です。エイシンヒカリやヤマカツライデンが出てくれれば…という感じすらします。

マカヒキは歩き姿は落ち着いていますね。
この馬はいい意味でぼーっとしている気がするので、常にこんな感じに見えます。

Siljan’s Saga(シルジャンズサガ)がちょっと熱くなっていたシーンがありました。Postponed(ポストポンド)も少し力んでいる感じがします。

キャンターでは少しHighland Reel(ハイランドリール)の汗が目立ちました。

 

スタートはHighland Reelが速いです。
Postponedもいい感じでした。マカヒキも積極的にスタートをしています。
ただ、左側にHighland Reelが張っているので、マカヒキは楽じゃありません。

The Grey Gatsby(ザグレイギャッツビー)もスタートが速かったのが驚きました。

Found(ファウンド)は非常に上手ですね。ライアン・ムーア騎手驚きの騎乗です。
もう下げて内を突くのは昨年通りですし、きっちりとそれを狙いました。
スタートから左のコーナーを右に回っています。これはスゴイわ。

Order Of St George(オーダーオブセントジョージ)がただ1頭外にポツンと。
そこからグーッと内に入りました。
この馬も斜めに走ってますね。さすがはデットーリ騎手。最短距離を走るとああなりますからね。

ざっくりとしたイメージ図です。
内に入り込むにはこうするしかないのですが、2頭の動きは綺麗でした。

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ペースメーカーが先頭に走り、外からOrder Of St Georgeが2番手、Highland Reelが3番手、それを見る形で外がPostponed、内でThe Grey Gatsby。
一番外にマカヒキがいて、その内側にLeft Hand(レフトハンド)、Harzand(ハーザンド)、その最内へFound。

その後ろが後方グループで真ん中がSilverwave(シルバーウェーブ)、内にSiljan’s Saga(シルジャンズサガ)、外にMigwar(ミグワール)。

最後方付近の外がTalismanic(タリスマニック)、New Bay(ニューベイ)。
最後方の内にOne Foot In Heaven(ワンフットインヘヴン)、最後方がSavoir Vivre(サボワヴィーヴル)。

ペースは1400m通過が1:22.57。

馬場が想定より大分良かったのもありますが、かなり良いペースです。
これは想定外です。馬場が良過ぎました。もう少しスローに落とすのではないかと思っていただけに、ここまで飛ばすとは…。
全く読めませんね。展開は。

マカヒキは終始外。
Postponedとの距離、先頭との距離は悪くなかったと思いますが、やはりコーナーを走っているだけで内のLeft Handに先んじられているように、楽ではありません。
来年もシャンティイですので、行くならそういう適性を持った馬ということになるかと思います。

ある程度前につけると思ったNew Bayはスタートは悪くなかったのですが、ギュッとコーナーで馬群が密集する地点でHarzandとの位置関係、外のLeft Handと共に苦しい位置でした。
もっと出しても内は取れないので、昨年に比べると大分失敗でしょう。残念です。

直線はマカヒキは早々に手応えが無くなりました。
FoundはThe Grey Gatsbyの外を回して直線です。直線入ってカメラが上からになって分かりにくいですが、Postponedは若干内にささっています。意識的かもしれませんが、内を締めました。
よくこれで抜いてこれるな、と。
ただ、僅かながらOrder Of St Georgeが内に寄っています。この辺のチームワークはさすがはオブライエン厩舎の1頭です。いくらデットーリ騎手とはいえ、役割はエースであるライアン・ムーア騎乗の馬を勝たせるのも役割です。本当ならあそこは抜けませんし、本来のデットーリ騎手なら閉めたでしょう。

抜いてから先行するペースメーカーを抜き去りました。
Postponedとの間からSiljan’s Sagaが伸びてきましたし、そこでPostponedをHighland Reelが抜くというシーンです。かつてあそこまでやられてたのに。分からないものです。

大外からピンクの帽子のNew BayやOne Foot In Heavenも伸びてきましたが、さすがに内の馬が有利な馬場。止まりません。
ラストが12.39 -12.35 – 11.89。
ラスト1Fが最後に加速した凱旋門賞でした。JCでもなかなか見れないラップです。

最終結果です。

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3歳馬の不振が目立ちますね。
ペースメーカーとして参加したVedevani(ヴェデヴァニ)が最後まで粘っていたので、驚きでした。
下手したらHarzandに先着しちゃうんじゃ…と。

オブライエン厩舎のワンツースリー。
ガリレオ産駒のワンツースリー。
あまり凱旋門賞ではその実績を見せつけることがなかった2つの巨人が一気に鬱憤を晴らしたような結果になりました。

勝ち時計の2:23.61は日本でもなかなか見られない時計です。

マカヒキに関しては、負けるとしても惜しい負け、もしくはNew Bayみたいな負け方かなと思っていただけに、残念です。
枠順から考えると悪い位置取りじゃないですが、One Foot In HeavenとかSiljan’s Sagaに本来は負ける馬じゃないはずです。前の3頭は置いておいても。

とはいえ、私はマカヒキはスローの方が向いていると思っています。
展開予想でも、「少し遅くなれば」と書きましたが、後半1000mが加速するレースの方がしやすいはずです。

レース上がりが36.63という勝ち時計から考えると欧州らしかならぬ消耗戦となってしまったのは、最悪のレースだったと思います。
皐月賞もほぼ最後方でしたし、ダービーも途中緩んでラスト1000mが58.0というレースでした。
この馬の瞬発力を存分に生かせるレースが続いていたので、この流れは避けたかったですし、こうなるとは思いませんでした。
むしろスタミナの削り合いに慣れている馬の方が今年に関しては向いていましたね。

「欧州って前半から削り合う激しいレースになるんだ。さすが本場は違う。これだから日本馬は…」とかではありません。
これは例外中の例外です。
ある程度欧州競馬を見ている人でこの展開を予想できた人はいないと思います。

前半ゆったりの上がり勝負が欧州競馬の基本。本来マカヒキにとっては欧州競馬は願ったり叶ったりのレースになるのが「普通」です。
今回はあまりにも違った展開。恐らく前が止まらない馬場なども影響したんでしょう。

この日の1400mのG1であるフォレ賞を勝ったLimato(リマト)の勝ち時計が1:21.83。
前半が僅か0.7秒しか違いません。フォレ賞の2着馬に3馬身差だったことを考えると、G1短距離の2着馬とほぼ同タイムで1400mを通過したことになります。

Postponedは案外でしたね。
この馬もドバイでの走りなど見ると、上がり勝負の方が向いているんですよね。
外回って走り切るスタミナが足りなかったというべきでしょう。

Order Of St Georgeは大外から最短距離を走ることで先にポジションを取りました。
スタミナ勝負はお手の物ですし、ある程度出していった作戦も成功したと思います。

Highland Reelは高速馬場が好きで前に行けるというのが大きなメリットでしたが、最後差してくるとは…。
本当にわかりません。逃げて粘るイメージはありましたが、プレッシャーのかかる位置だったと思うのですが、立派だと思います。

勝ったFoundはこれで19戦6勝。G1は3勝目。2着が多い馬ですが、今回は見事に勝ち切りました。
スタート直後の位置取り、そして内を突く騎乗。
Order Of St Georgeが多少手助けしたとはいえ、それでもこの着差で勝つんですから。

私は2014年にマルセルブサック賞でこの馬を見ています。
あの時は「ふーん」って思っていましたが、凱旋門賞を勝つとは。出会いは分からないものです。

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ちなみに、グリーンチャンネルでは41億円売れたと言われていました。
最初なので、目新しさもあるでしょうが、東京大賞典が「27億4963万900円で地方競馬レコード!」でしたので、相当です。驚きなのはむしろこっちの気がします。

マカヒキは無事に戻ってきてくれればまずは良いと思います。
書いた通りここまでレースが向かないと仕方ない面もあります。

それにしても凱旋門賞は難しい。