札幌2歳ステークス レース回顧

第51回札幌2歳ステークス(G3・札幌・芝1800m・良)

北海道競馬のフィナーレを飾る札幌2歳S。
アイキャッチ画像は札幌競馬場に行ったお友達から頂きました。

今年も持ち時計が1:50.0前後の馬も出走していて、非常に楽しみなメンバーです。

全て父が違うというのもこの時期の競馬らしいですね。
タートルボウルやアイルハヴアナザーといった新種牡馬もいますし、新しい世代というのを感じます。

勝ったのはトラストでした。
見事な逃げ切り勝ちです。
逃げ切ったのは2004年のストーミーカフェ以来。

着差の2馬身半というのも非常に珍しく、1800mになってからだと3番目です。

  • 1998年 マイネルプラチナム 5馬身
  • 1997年  アイアムザプリンス 3馬身半

さすがに重賞ともなれば少なくともその世代の現時点の上位が揃うため、展開が恵まれてもそうそうできることではありません。
素晴らしい走りでした。

好スタートから先手を取り、柴田大知騎手が行く構えを見せました。
後ろからはあそこまで押していれば当然無理して追いかける必要もありませんし、重賞と言っても2歳戦。
後続各馬は「行ってくれるなら助かる」という気持ちもあったでしょう。

ジャコマル、アンノートル辺りが2番手3番手で1コーナーに向かいます。
200m足らずでコーナーなので、やはり外枠はなかなか楽ではありません。ブラックオニキスは少し出していったので、ややロスですが、いい位置を確保するのを優先した感じです。

スタート直後からタガノアシュラは頭を上げてフラフラしていました。
前走の新馬戦は9頭立ての8番で大外の9番が出遅れのようなスタートを切ったので、無理なく走れたのに対し、左右に馬が密集し、変なヒートアップの仕方をしました。

お隣のコリエドールも同じです。1コーナーまではかなり気の悪さを見せたように見えました。

最後方ではトリオンフもクビを上げてしまっています。前走はスタートをゆったり出ても大したロスではない走りができるメンバーでしたが、さすがに重賞だとあんなにもっさり出たらいい位置が取れません。でも下手に出してしまって、これまた変なクセが付くと前に行くしかできない馬になってしまう恐れもあります。
成長をさせつつ勝つ難しさもあるでしょう。巨人や阪神もそうですが、勝ちつつ若手を成長させるのが一番いいんですが、そんなに上手くいったら苦労しません。

トラストがあんなに押しながら逃げたということは、それなりに覚悟というか、前に馬を置くと掛かるのが治らない可能性があっても勝負にいったということもあるでしょう。
前走は出遅れて途中頭を上げる程抑えていたので、恐らく掛かってしまうタイプだと思います。
今回は明確に逃げに行っていますので、そういう走りを諦めたとは思いませんが、無理に抑える位ならある程度出してしまおうという思いもあったのかな。

これがどっちに転ぶかは分かりませんが、今後前に馬を置いた時でも大丈夫、とは言い切れないのも事実です。
そこは岡田さんの独特の秘策があるのかもしれません。
私は前に行った方がいいと思うので、こういうのも悪いとは思いませんが、安定して勝つには逃げるよりはある程度自在に作戦が組めた方が便利は便利です。

ペースとしては36.4 – 61.6。至って平均で流れています。
最終レースの1000万下も同じ位ですし、2歳戦としては悪くないです。さすがは重賞といった所です。

道中だとタガノアシュラは掛かっている感じですが、悪くなかったと思います。
むしろ1000m通過前後である程度落ち着いたように見えた以降の方が私としては印象が悪いです。前半から抑えっぱなしなので、前を追いかける気がなくなった様にも見えなくもなかったので。
ギアをずっとローのまま走ってたら勝負所で上げられなくなったような走りでした。

 

そんな後続を後目にトラストは途中ラップを少し落として、後半にかけて徐々に徐々にラップを上げていき、直線入り口で11.8を記録して一気に突き放しました。
逃げの王道の走りです。
ゴール前もそこまで脚色衰えずラスト12.2でフィニッシュ。

道中どう考えても苦しそうだったブラックオニキスが最後まで粘って2着。
これは…全然わかりませんが408キロの牝馬の根性が並外れているとしか思えません。
前走もやや重の馬場で頑張って時計も悪くなかったですし、このスピードに耐えられたという事だったんでしょう。

アドマイヤウイナーも4コーナーから上がっていきましたが、ブラックオニキスの外を回った分でしょう。
上がりは出てますし、2着と3着の差は結構大きいですが、仕方ないです。
ワークフォースもそろそろ重賞で連対できる馬位出さないと…という状況だと思います。

そして札幌は外回るとキツイので、やはり内を走れるのが有利です。
タガノアシュラもディープウォーリアも結局バテてしまったアンノートルといい勝負。

トラストが一定のペースで逃げたので、ある程度のスピードの裏付けと経験がないと振り落とされるレースだったとも言えます。
現時点での完成度、能力はハッキリ出たと思います。

持ち時計で単純に並べても、特に上位は50秒台の持ち時計がありました。

  1. トラスト … クローバー賞(やや重)で1:31.6
  2. ブラックオニキス … クローバー賞(やや重)で1:31.4
  3. アドマイヤウイナー … 函館1800mで1:50.8
  4. エトルディーニュ … 札幌で1:50.5
  5. フラワープレミア … 福島で1:51.0
  6. ジャコマル … クローバー賞同日の未勝利で1:31.1
  7. インヴェクタ … 札幌で1:53.6
  8. タガノアシュラ … 函館で1:49.9
  9. アンノートル … 中京で1:35.2
  10. ディープウォーリア … 札幌で1:52.1
  11. トリオンフ … 函館(やや重)で1:52.4
  12. コリエドール … 札幌で1:52.8
  13. コパノカーニバル … 札幌で1:52.9

1:52.0を超える馬は悉く沈んでいます。
時計を3秒近く詰めるような急激なレベルアップに耐えられなかっただけに見えました。

勝ち方にしてもアドマイヤウイナーはデビュー戦は14頭立てで2番からスタートでの勝利。
エトルディーユの未勝利戦は14頭立てで先行して押し切り。
フラワープレミアも未勝利戦が15頭立てで中段からの差し切り。

対してトリオンフやコリエドールのデビュー戦は良い勝ち方ではありましたが、10頭以下のレースでしたし、厳しさは少なかったでしょう。
終わってみたらですが、ある程度は時計を詰めるのにも限界がありますし、完成度を競う戦いだけにキャリアは重要だなと感じた1戦でもあります。

勝ったトラストは直線で左鞭で内埒にもたれるようなところがあって、その後右鞭入れたら今度は外へよれてしまいました。まだ改善の余地はありそうに思えます。
勝ち時計の1:49.9は水準やや良いという所です。
後々G1を勝っている馬と比較しても十分比較対象になります。

後はこの逃げが将来どうなるのか?ですね。私は案外いい方に転がる気がします。
G1勝てるかは別にして、ファンとしては楽しめるネタが増えたと前向きに捉えています。