北米の真夏のダービー。2016 トラヴァーズSと他。

2016 Travers Stakes(G1・サラトガ・ダート1 1/4 m)

「真夏のダービー」でお馴染みの3歳限定のG1であるトラヴァーズS。
昨年はキーンアイス相手に唯一黒星が付いたアメリカンファラオ。あれから1年です。

トラヴァーズS出走馬

今年は14頭立て。Majesto取り消しで13頭ですね。
アメリカは少ない頭数になることも多いですが、このレースは毎年10頭位出てきますし、今年もきっちりと出てきました。

プリークネスS馬であり、前走ハスケル招待も勝利したExaggerator(エグザジェレイター)が人気の中心です。
そのハスケル招待で2着だったAmerican Freedom(アメリカンフリーダム)や3冠未出走組だと前走カーリンSという一般戦を勝って3連勝中のConnect(コネクト)も意外に上位です。
また、ケンタッキーダービーのポイントリーダーだったGun Runner(ガンランナー)もハスケル招待5着から巻き返しを狙います。

他にはジムダンディS組では勝ち馬Laoban(ラオバン)を筆頭に、巻き返しを図るベルモントS勝ち馬であるCreator(クリエイター)やベルモントS2着だったDestin(デスティン)などなど。

まずまず揃いました。さすがに出てきます。

レースは驚きの結果になりました。
最内からArrogate(アロゲイト)、外目からピンクの勝負服のAmerican Freedom(アメリカンフリーダム)Laoban(ラオバン)、大外のGun Runner(ガンランナー)といった馬が前に行きます。
スタートで前をカットされたのもありますが、最後方の内に下げたExaggerator(エグザジェレイター)。

1コーナーではArrogateが最内のコーナーワークを利して先頭に。そしてペースが流れます。

ラップは23.23 – 23.61 – 24.01 という前半の1200mです。
実況も「pace very fast!」と言っているように、さすがにこれは「速すぎる」という風に思うのが当然です。

1Fを12.0を切るラップですので、普通なら前後半で前が入れ替わるじゃない?と思わせる流れです。
後ろに12番のCreator、4番のGovernor Malibu(ガバナーマリブ)もいますし、彼らがそう簡単に前を逃がす訳ないと。

ところが、前が止まりません。このペースで行ってラスト800mが 24.67 – 23.84 と直線さらに加速しました。
これでは後ろはどうしようもありませんでした。

終わってみたらArrogateが13馬身半差の圧勝劇でした。
勝ち時計1:59.36 はサラトガ2000mのトラックレコードです。

ブラッドホースに

“We ran into a freak today,” said Steve Asmussen, trainer of Gun Runner and Creator. “I thought 2:02 would win it.”

とありました。大体2:02.00位が勝ち時計だろうと思っていたら…というコメントです。
そりゃそうでしょうね。
昨年Frostedがかなり執拗にAmerican Pharoahに絡んでペースが上がった時で勝ち時計が2:01.57ですから。

速いペースだと追いかける方も辛いというのは良くあります。
ランナーズハイになるという訳ではないでしょうが、前でキックバックも気にせずに走っている分には楽だと。
後続はついていかないといけないので、結局同じペースに巻き込まれているため、直線での余力の差は著しく小さく、差がつまらないというケースです。

今回に関してはArrogateが後続を完全に潰した挙句、直線も全く止まりませんでした。
終わってみたら4コーナーで1,2,3番手がそのままです。
後方から追い込んできたのはGovernor Malibu位です。この馬はよく追い込みました。

トラヴァーズS結果

1番人気のExaggeratorは勝ち馬から33馬身離れた11着。
ベルモントS馬のCretorは21馬身3/4差の7着。

勝ったArrogateは調教師さんがBob Baffert氏。American Pharoahの調教師ですので、昨年の借りを返したような結果です。
Bayern – American Pharoah とBCクラシック連勝中ですが、今年はこの馬で3連勝を狙う感じですかね。

ジョッキーはMike E. Smith。こちらはSongbirdの主戦です。50歳を超えてなお一線なのはすごい事です。
オーナーであるJuddmonte Farmsはソードダンサー招待のフリントシャーもそうですが、連勝しました。

父はUnbridled’s Song、母父がDistorted Humor。
見た目は分かりにくいですが、エイシンヒカリみたいな感じの芦毛です。
2014年のキーンランドのセールで$560,000(約5700万円)で取引されました。高い馬です。

これで5戦4勝。
デビュー戦の1200m戦は3着に敗れましたが、そこから3戦はダート1700mを3連勝。
どのレースも1:42.0を切る時計で走っているので、力はあったんでしょう。
とはいえ前走は3頭立て。完勝したとしてもそこまで大っぴらに評価されにくいと思います。

これでどんなレーティングが出てくるのか楽しみですし、恐らく向かうであろうBCクラシックでカリフォルニアクロームとの戦いが楽しみになりました。

 

2016 Sword Dancer Invitational(G1・サラトガ・芝1 1/2m)

アメリカの芝だなというメンバーです。
ソードダンサー招待Sは昨年の勝ち馬で北米中距離の芝だとほぼ絶対の存在になっているFlintshire(フリントシャー)の登場です。

ソードダンサー招待ステークス出走馬

他は前走上位陣が相手でしょう。
ボーリンググリーンHcpの2着馬Grand Tito(グランドティトー)はフリントシャーには2連敗中。
昨年の3着馬でG1でここの所いい勝負しても勝つまでに至らないTwilight Eclipse(トワイライトエクリプス)。

レース前の予想だと「フリントシャーの盤石」というようなメンバー構成です。

スタートから後手を踏んだペースメーカーをドンドン前に行かせて最後方にじっくり待機しました。
4コーナーで逃げたペースメーカーの内を開けさせ、1頭Roman Approval(ローマンアプローバル)の進路を妨害して出てきました。

まぁこれが欧米の競馬っちゃそうですが、本来なら内は開きませんので、どうなんでしょうね。
フリントシャー恵まれ過ぎじゃないですか?と。

2着がMoney Multiplier(マネーマルチプリアー)。
日本語訳は金がどんどん増えるみたいなもんですかね。

3着がまたまたTwilight Eclipseという結果です。

ペースは 22.98 – 24.48 -25.07- 24.63 – 22.71 = 2:23.45。
中盤緩んだといえばそうなりますが、25.07というのでさえ平均が12.5ですので、かなり良いペースです。
サラトガの夏は良い馬場で行われると最近は時計が出ます。昨年も同じくらいでした。トラックレコードが2:23.20ですので、限りなくそれに近い時計です。

まぁ今更このメンバーを何度やっつけてもフリントシャーの評価が上がることはないですが、下がることもないです。
次は1回間に挟むかどうかわかりませんが、今年はBCターフです。

2016 Ballston Spa(G2・サラトガ・芝1 1/16 m)

約1年ぶりにターフに戻ってきたLady Eli(レディイーライ)。怪我(蹄葉炎)明けです。
多くの馬はこれが原因で死にますので、復帰してきただけでも素晴らしいと思います。

それでもここまで6戦負け無し。1年振りでも連勝記録を伸ばせるか?が大注目です

ボールストンスパ出走馬

相手は今年G1であるメーカーズ46マイルステークスを勝ち、前走のダイアナSでは人気になるも4着に敗れたMiss Temple City(ミステンプルシティ)が筆頭です。
他には前走一般戦を一叩きして勝ってきたSentiero Italia(センティエロイタリア)は昨年のBCフィーリーズ&メアターフの4着馬と実力があります。
ヌーヴォレコルトの相手となる馬達です。

ペースメーカーが作ったペースが流れた中、前の集団を見て5番手。
スタートをゆったり出て徐々に外に持ち出しました。

半マイル通過が45.55だとさすがに速いです。
1000m通過が58.0を切るかどうかの時計ですので、ペースメーカーとしては申し分ありません。

4コーナーから外を回してジワジワと上がってきて、昨年までの姿に近い感じがしました。
そこから大外から伸びてきて「勝ったか?」と思った所でさらに外から道中最後方にいたStrike Charmer(ストライクチャーマー)が差し切りました。

勝ち時計が1:38.77というのもかなりのものです。1700mですから。

勝ったStrike Charmerは前走ダイアナS5着、その前のジャストアゲームSは8着とG1になると荷が重い感じがしましたが、ここはペース含めて向いたんでしょう。

2着だったLady Eliは負けたけど悪いレースではなかったし、昨年のようなレースをしていました。
切れは復帰前には及びませんが、並んでから抜かせなかった闘争心はあるので、これはこれで良かったのではないでしょうか。
1回挟むかどうか不明ですが、目標はBCフィリーズアンドメアターフです。